米景気減速を一部FRB当局者が懸念、近い将来の利下げ示唆
米連邦準備理事会(FRB)が7月の会合で利下げ見送りを決定してから1週間足らずで、一部のFRB当局者から労働市場の冷え込みと景気減速に対する懸念の声が上がっている。FRBビルで7月撮影(2025年 ロイター/Jonathan Ernst)
[ワシントン 6日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が7月の会合で利下げ見送りを決定してから1週間足らずで、一部のFRB当局者から労働市場の冷え込みと景気減速に対する懸念の声が上がっている。
FRBは7月29─30日に開いた会合で、金利据え置きを決定。据え置きは5会合連続だった。ただ、その直後の8月1日に労働省が発表した7月の雇用統計で非農業部門雇用者の伸びが予想以上に鈍化したほか、過去2カ月分の雇用者数も大幅に下方修正された。
こうした中、ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁は6日、関税措置で米国のインフレ率が押し上げられ続けるかは分からないものの、米経済の減速を受け、連邦準備理事会(FRB)は近い将来に利下げを実施しなければならない可能性があると指摘。「経済は減速しており、近い将来に政策調整を開始することが適切になる可能性がある」と指摘。年末までに0.25%ポイントの利下げが2回実施されるとの見方について「妥当に思える」と述べた。
サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁は6日、関税による物価上昇は短期的な脅威にすぎないとし、連邦準備理事会(FRB)は近いうちに利下げを実施する必要があると指摘。労働市場は軟化しているとし、「労働市場は一度つまずくと、急激かつ大幅に落ち込む傾向があるため、一段の減速は望ましくない」とし、「こうした状況を踏まえると、向こう数カ月で政策調整が必要になる可能性が高い」と語った。
デイリー氏は4日にも、労働市場の軟化を示す証拠が多く出ている一方で、米政権が掲げる関税措置に起因するインフレが持続する兆候は出ていないことを踏まえると利下げの時期が近づいていると言及。年内に想定される利下げの回数については「2回を上回る回数の利下げが必要になる確率の方が高い可能性がある」と述べていた。
7月の雇用統計については、クックFRB理事が6日、雇用の伸びの鈍化が懸念されると言及。カシュカリ氏とデイリー氏と同様に、物価上昇が一時的なものなのか注視していると述べた。
カシュカリ氏とデイリー氏は共に今年の 連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持っていないが、 両氏の主張は、 先週のFOMCで 0.25%ポイントの利下げを主張し、金利据え置きに反対した ウォラー理事とボウマン副議長の 主張と共通するものがある。
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