謎の巨大生物「ビッグフット」、米オハイオ州で目撃情報 長年の議論が再燃
(CNN)マイク・ミラー、ベンジャミン・ラドフォード両氏は、長きにわたり、全身が毛に覆われた正体不明の巨大生物「ビッグフット(別名サスクワッチ)」について語ってきた。しかし、両氏の立場は対照的だ。
オハイオ・ナイト・ストーカーズの一員として約20年にわたりイエティを追い続けてきたミラー氏にとって、サスクワッチ探しは一つのミステリーであり、その答えは身近な場所や、どこかの洞窟の中に潜んでいるかもしれない。
一方、民俗学者でスケプティカル・インクワイアラー誌の副編集長でもある、サスクワッチに懐疑的なラドフォード氏にとって、それは絶え間ない失望の源でしかない。
ラドフォード氏は「(サスクワッチが)本当に存在するのであれば、彼らは生き、呼吸し、排泄し、食べ、眠り、そして死ぬ。だとすれば、少なくとも一体くらいは発見できるはずだ」と述べ、さらに「彼らは一体どうやって人目を避け続けているのか。実在するなら、数千体はいないとおかしい」と付け加えた。
長年続いてきたこの論争は、3月に起きたある出来事をきっかけに再燃した。
今年3月、オハイオ州アクロンの東に位置するポーテージ郡の周辺、マホニング川沿いの森林地帯で平均身長約8フィート(約2.4メートル)の正体不明の生物を目撃したとの通報が急増した。ビッグフット愛好家たちは、こうした現象を「フラップ」と呼んでいる。
「そして、この現象は始まった時と同様に、あっという間に終わった」と語るのは、「ビッグフット・ソサエティー・ポッドキャスト」の司会者ジェレマイア・バイロン氏だ。同番組はこれらの目撃情報を収集・地図化しており、冬から春にかけての気象の劇的な変化により、ビッグフットの群れが移動した可能性があるとの見方を示している。
2026年の「オハイオ・フラップ」とも呼べるこの目撃情報の突然の急増は、北米で100年以上にわたり続いてきた論争を再燃させた。巨大な類人猿に似た種(専門的に言えばヒト上科)は、本当に我々の身近に存在しているのだろうか。
ビッグフットの謎、数十年に及ぶ探索の歴史専門家たちによると、北米に伝わる捉えどころのない謎めいた生物に関する民間伝承が広く知られるようになったのは、1960年に「トゥルー」誌に掲載された記事がきっかけだったという。その記事には、「一部は人間、一部は動物のように見える」背の高い毛むくじゃらの存在が描かれていた。
当初は単なる作り話にすぎなかったが、やがて新しい技術を用いた、より組織的な真相探しへと発展していった。
1967年には、ロジャー・パターソン、ボブ・ギムリン両氏が米国北西部で撮影した有名な映像が本物か偽物かという議論が世間をにぎわせた。その映像には、北カリフォルニアの森をゆっくりと歩く毛むくじゃらの存在が映っていた。その映像が捏造(ねつぞう)か否かをめぐり、その後何十年にもわたり論争が続いている。
この謎には、米連邦捜査局(FBI)も関心を示し、1976年に、オレゴン州で報告されたビッグフット遭遇事件から採取された15本の毛のサンプルを調査することに同意した。そして顕微鏡による調査の結果、FBIはこれらの毛がシカ科動物由来であると結論づけた。
しかし、米国の人気テレビシリーズでビッグフットに関するエピソードが取り上げられたこともあり、この長年語り継がれてきた謎の解明を求める声はさらに高まっていった。
今では、サスクワッチ探しは、デオドラントやビーフジャーキーといったさまざまな商品のマーケティングに利用されたり、エイプリルフールのいたずらの格好のネタにもなっている。
オハイオの怪目撃情報で再び注目集めるビッグフット騒動3月に「ビッグフット・ソサエティ・ポッドキャスト」に寄せられた目撃情報には、過去の目撃談との共通点が多く、毛深く、背が高く、体は茶色または黒色で、大股で歩き、独特の鳴き声を発し、小川沿いを移動していたといった特徴が挙げられていた。
「ビッグフットが小川に沿って移動しているのは、人目を避けるためだと考えている人が多い」とバイロン氏は語る。
しかし、ビッグフットを熱心に追い続ける人々は、簡単に信じ込まないよう心掛けているとミラー氏は語る。自身もハンターであるミラー氏は、「オハイオ・フラップ」を最初に聞いた時には懐疑的だったという。
ミラー氏は当初、現地で開催されるビッグフット関連イベントの宣伝目的ではないかと考えたが、目撃情報の内容やその共通する特徴を詳しく調べた結果、3月の目撃情報は作り話ではなく、厳しい冬の凍結状態が例年より暖かい雪解けへと移り変わった後に移動を始めたイエティの群れの痕跡かもしれないと考えるようになった。
「足跡は本物のように見えたし、目撃談を語る時、本当におびえているように話す人もいた」とミラー氏は言う。
バイロン氏もミラー氏と同様、すべての目撃情報をうのみにしているわけではなく、公表前に必ず本人に直接話を聞くようにしているという。
オハイオでの目撃情報が広まると、明らかな偽情報も増え始め、バイロン氏にもAI(人工知能)で作られた報告メールが大量に届くようになった。
しかし、最初に通報した人々と電話で話した結果、バイロン氏は彼らの証言は作り話ではないと確信したという。
真剣な議論の中にユーモアもサスクワッチハンターたちは、人から眉をひそめられることには慣れており、自分の活動を笑いのネタにしている人も多い。ミラー氏は、自身のフェイスブックのページに、森の中でビッグフットと肩を組んでいる自身のAI生成画像を掲載している。
オハイオ州の地元警察も、ビッグフットに関する広報活動を楽しんでいるようだ。ポーテージ郡のある保安官は、移民税関捜査局(ICE)がビッグフットを逮捕・拘束したが、カナダとの国境で逃げられたという設定のジョークを何度も投稿した。
ある投稿には、「警告:ビッグフットの写真を撮ろうとしても必ずぼやける」と皮肉交じりに書かれていた。
保安官は軽い冗談のつもりだったが、保安官事務所には投稿を見て不安を抱いた住民から問い合わせの電話がかかってきたという。
決定的証拠なくとも消えない発見への期待ビッグフット懐疑論者にとって、その存在を否定する最大の根拠は、過ぎ去った長い年月と技術の著しい進歩かもしれない。ほぼすべての人が常に4Kカメラ付きのスマートフォンを持ち歩く時代になっても、数十年に及ぶ探索の末に、イエティの鮮明な映像も骨格の標本も発見されていない。
「いずれはビッグフットの幸運も尽きるはずだ」
ラドフォード氏は「スケプティカル・インクワイアラー」誌にそう記している。
一方、ミラー氏は、自ら集めた写真や不気味な遠吠えの録音を挙げ、世の中にはまだ我々が理解していないものが存在すると主張する。そして、それらを記録することには意味があると考えている。
ミラー氏は、「主流の科学界は、この話題にあまり注目はしていないだろう」と述べ、「よって我々がその記録の管理人のようなものだ」と付け加えた。
2026年の「オハイオ・フラップ」が、また新たな「手詰まり」に終わるのか、あるいはこの謎の解明への扉となるのかは分からないが、探索者と懐疑論者はある一点において意見が合致している。
それは、好奇心と希望を持つこと自体は悪いことではないということだ。
ラドフォード氏は、「私が懐疑的なのは、ビッグフットが実在してほしくないからではない」と述べ、「もしビッグフットが発見されたなら、真っ先に見に行きたいくらいだ」と付け加えた。