「バンカーバスター」焦点に、トランプ大統領の対イラン戦略で選択肢

イランへの対応を現在検討中のトランプ米大統領は、中東および世界各地に多様な軍事資産を有している。トランプ氏は政権の外交政策上、最も重大な判断の一つに直面している。

  トランプ氏がイスラエル支援に向け、より直接的な介入を決断した場合は、長距離ステルス爆撃機や空母打撃群、強力な爆弾、部隊などを活用した複数の軍事手段が選択肢となる。B2爆撃機などは現在、米国本土に配備されているが、他の軍事資産は中東地域にすでに展開しているか移動中だ。

  米国の関与はイスラエル防衛の支援にとどまっていたが、トランプ氏がそれをさらに深めるかどうかは不明だ。トランプ氏は17日午後、ホワイトハウスで国家安全保障会議(NSC)の会合を開いた。

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  米政権は中東を管轄する中央軍の戦力を増強してきた。同地域にはすでに空海軍部隊が展開しており、米国がイランに対して軍事行動を起こす場合に極めて重要な役割を担う可能性がある。

  イランはすでに過去数十年で最大規模の攻撃を受けており、イスラエルの空爆によって核関連施設や軍事施設が破壊され、軍幹部も殺害された。さらに、今後、事態が一段とエスカレートし、米国が直接関与する場合に特に大きな打撃を及ぼすとみられている兵器がある。

  それは、世界最大の精密誘導兵器であるバンカーバスター(地中貫通爆弾、MOP)だ。米国のみが保有する重量3万ポンド(15トン)のこの爆弾は、ウラン濃縮施設を含むイランの核開発能力に決定的な打撃を与えることができる唯一の兵器とされている。

  イラン中部フォルドゥのウラン濃縮施設は地下60-90メートルに設置されていると考えられており、この施設に損害を及ぼすことができるのはバンカーバスターだけだと多くの専門家はみている。ボーイングが製造するこの爆弾は衛星利用測位システム(GPS)を使って誘導する。

  レキシントン・インスティテュートのアナリスト、レベッカ・グラント氏は、バンカーバスターは1個ずつ標的を設定して投下できるため、「同じ地点に連続投下することが可能だ」と説明。中東地域でのドローン(無人機)による監視が、投下時の「攻撃精度の調整」を助ける可能性があると指摘した。また、米国はフォルドゥを含むイランの核施設を長年にわたり調査研究してきたとも語った。

  この兵器を使用するかどうかは、トランプ氏にとって最も重大な決断の一つになるとみられる。イランの核開発の今後を左右する可能性があるほか、米軍機とパイロットが関与するため、米国が武力行使の主力となることを意味する。

  元駐イスラエル米大使で国防副次官補も務めたダニエル・シャピロ氏は「イスラエルの作戦によって同様の効果が得られるのであれば、それが最善だ」とした上で、「だが、フォルドゥの施設への攻撃に米国の関与が不可欠であるなら、トランプ大統領がそれを検討する必要がある」と述べた。

B2ステルス爆撃機

  バンカーバスターの実戦投入にはB2ステルス爆撃機が必要になる。B2はこの爆弾を2発搭載可能で、ミズーリ州のホワイトマン空軍基地からイラン領内深くまで飛行して爆撃を行うことになる。

  米国はすでに昨年10月、B2の攻撃能力を実証しており、ホワイトマン基地から出撃した爆撃機が、イエメンのイラン代理勢力フーシ派の地下兵器施設を空爆した。

  米軍の中東駐留部隊を統括する中央軍は、対イラン作戦の場合に中核的な役割を担うことになる。ヘグセス国防長官は、中央軍への「追加能力の配備」を指示している。国防当局者によると、米政権は新旧の空中給油機最大20機を非公開の地点に派遣した。

  米海軍もまた、対イラン軍事行動や、イスラエルの防衛支援で重要な役割を果たすとみられている。空母カール・ビンソンを中心とする空母打撃群はアラビア海地域に7カ月間展開している。

原題:Bunker-Buster Bomb Draws Focus as Trump Weighs Iran Options(抜粋)

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