スイス、米との関税協議の継続表明 金業界は深刻な影響警告

スイス政府は8日、トランプ米政権がスイスからの輸入品に課した39%の関税の引き下げに向けて協議を継続していると表明した。2022年7月、スイスの金精錬会社アルゴール・ヘレウスの工場で撮影(2025年 ロイター/Denis Balibouse)

[チューリヒ 8日 ロイター] - スイス政府は8日、トランプ米政権がスイスからの輸入品に課した39%の関税の引き下げに向けて協議を継続していると表明した。金地金の輸出が深刻な影響を受ける可能性があるとしてスイスの業界団体が警告している。

関税協議はスイス経済省経済事務局(SECO)のアルティエダ局長が主導。ケラーズッター大統領が関税回避に向けた交渉のために訪米したものの、関税は7日に発効した。

SECOは8日、ロイターに対して「米国との協議は継続中である」とし、「追加関税の引き下げに一貫して焦点を当てている」とコメントした。詳細は明らかにしなかった。

関係筋によると、8日には協議が予定されておらず、専門レベルの協議が来週続く予定だという。

スイスは世界最大の金市場となっている。スイス貴金属製造・貿易協会はロイターに対して「39%の関税が課せられれば、米国への金の輸出は確実に停止される」と語った。

KOF経済研究所のエコノミストは、米関税の影響によってスイスで7500─1万5000人が失業する恐れがあると推計。「時計、機械、精密機器などの業界では影響が深刻になるだろう」とし、「製薬業界も対象になれば、数値はさらに高くなるだろう」と言及した。

経済団体エコノミースイスの幹部は、米国の輸入業者は関税の影響を吸収するためスイス製品価格を引き上げる可能性があり、これによって販売減少や利益率の低下につながる可能性があると指摘した。

スイスの企業は米国の顧客と協議するとともに、スイスから欧州や英国への生産移転を検討している。

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