“高機能”レンズ一体型カメラ特集:富士フイルム GFX100RF

「GFX100RF」は、ラージフォーマットの撮像センサーを搭載するレンズ一体型デジタルカメラ。2025年4月に発売された。

ラージフォーマットを採用するGFXシリーズでは初となるレンズ一体型モデル。特異な存在に映るかもしれないが、かつてレンズ一体型の中判フィルムカメラを数多く手掛けてきた富士フイルムの歩みを振り返れば、本モデルの存在は決して突飛なものではない。

そこにデジタルならではの機能性を加え、現代的な撮影体験として再構築した点に、本モデルの意義があると言えるだろう。

外形寸法は133.5×90.4×76.5mm。質量は約735g(カード、バッテリー含む)。さすがに「小さくて軽い」と言い切れるサイズ感ではないものの、このボディの中に43.8×32.9mmで有効約1億200万画素のラージフォーマットセンサーが組み込まれていると考えると、むしろコンパクトにまとまっているといえるかもしれない。

搭載するレンズは、焦点距離35mm(35mm判換算で約28mm相当)、開放絞り値F4のフジノン単焦点レンズである。手ブレ補正機構は備えていないものの、レンズシャッターを採用しているため、作動時の振動や音は非常に小さく、結果として手ブレの心配を軽減している。また、4段分のNDフィルターを内蔵している。

本体には、アスペクト比を切り換える「アスペクト比切換ダイヤル」と、画角変化を直感的に操作できる「デジタルテレコン切換レバー」が備えられている。

アスペクト比の変更自体は特別な機能ではないが、「アスペクト比切換ダイヤル」により、4:3、3:2、1:1、7:6などを即座に切り換えられる点が重要だ。撮影の流れを止めることなく行える点に、本機の設計思想が現れている。

もうひとつの「デジタルテレコン切換レバー」は、固定搭載のレンズ本来の焦点距離35mm(35mm判換算で約28mm相当)を、レバー操作によって45mm(同約36mm相当)、63mm(同約50mm相当)、80mm(同約64mm相当)へと切り換えられる機能だ。アスペクト比切換ダイヤルと組み合わせて使うことで、フルサイズやAPS-Cサイズなど、異なるフォーマットの画角感を同一のカメラで再現できる。

名称の“RF”が示すとおり、レンジファインダーカメラを思わせる背面左上に、約576万ドットのEVF(電子ビューファインダー)を搭載。同社のX100シリーズなどに見られるハイブリッドビューファインダーではないが、表示は高精細で視認性も良好だ。フレーミングやピントの確認も行いやすく快適に使える。

液晶モニターは上下チルト式の可動タイプを採用している。約210万ドットと高精細で、再生時に全体像を把握しやすく、ピントや構図の確認もしやすかった。

約1億200万画素のラージセンサーに、最新設計の固定レンズを組み合わせているだけあり、画質に不満はない。ラージフォーマットならではの階調の豊かさと、高画素による情報量の多さが相まって、画面全体に余裕が感じられる描写だ。これほどの画質を、比較的気軽に扱えるボディで楽しめる点が、本機ならではの価値といえるだろう。

富士フイルム GFX100RF/35mm(28mm相当)/絞り優先AE(1/125秒、F8.0、−0.7EV)/ISO 500

ラージフォーマットのカメラとしては最短撮影距離が短く、予想以上に被写体へ寄って撮影できる(レンズ先端から約20cm)。レンジファインダースタイルの落ち着いた見た目だが、さすがは最新鋭機、こうした面でも高い撮影能力を備えている。

富士フイルム GFX100RF/35mm(28mm相当)/絞り優先AE(1/125秒、F4.0、−1EV)/ISO 125

アスペクト比を3:2、デジタルテレコンを45mm(35mm判換算で約36mm相当)にして撮影。この状態で、ほぼ35mmフルサイズデジタルカメラと同じフォーマットでの撮影が可能となり、画素数は約5,470万となる。なお、63mm(同約50mm相当)では約2,860万画素でほぼAPS-Cサイズ相当に、80mm(同約64mm相当)では約1,970万画素でほぼマイクロフォーサーズ規格に相当する。

富士フイルム GFX100RF/35mm(28mm相当)/絞り優先AE(1/125秒、F5.6、−0.7EV)/ISO 80

フィルムシミュレーションを「ETERNA/シネマ」に、アスペクト比を1:1に設定して撮影。リアルな6×6フォーマットではないが、中判カメラらしい雰囲気は十分に楽しめる。軽快にテンポよく撮れる反面、つい枚数が増えてバッファが埋まりやすい。高速かつ大容量のSDメモリーカードを用意したい。

富士フイルム GFX100RF/35mm(28mm相当)/絞り優先AE(1/125秒、F4.0、−0.3EV)/ISO 400

実際に使ってみると、ラージフォーマットセンサーを搭載するデジタルカメラならではの利点を巧みに活かした、新しいタイプのレンズ一体型デジタルカメラであることを実感した。

高画素化したレンズ一体型カメラでは「デジタルズーム」や「アスペクト比の変更」が一般的になりつつあるが、それらをレバーやダイヤルで直感的に操作できるようにした点は秀逸だ。ラージフォーマットとしてはコンパクトにまとめられており、実用性の高いスナップシューターとして成立している。

質感や高級感も高く、同梱されるアクセサリー類の完成度も十分だ。購入したその日から、このカメラの魅力を存分に味わえる1台と言えるだろう。

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