突然の連絡…胸に響いた小久保監督の言葉 2軍残留も、栗原陵矢が明かす"返答"

 同じような歩調でリハビリの道を歩み、12日にそろって実戦復帰を果たした今宮健太内野手と栗原陵矢内野手。そのわずか1週間後に今宮が1軍昇格を果たした一方で、栗原の姿は本拠地にはなかった。

 今季、栗原は小久保裕紀監督と固い約束を交わしていた。「3割30本」。指揮官の大きな期待を感じつつ、自身もその数字を目標に据えてシーズンに臨んだ。しかし、道のりは順風満帆ではなかった。3月10日の巨人とのオープン戦で右脇腹を痛め、離脱を余儀なくされたが、復帰後もその目標を追い求めた。その直後に待っていた現実は“再離脱”。どれほど悔しい思いを募らせたことだろうか。

 切り替えた目標は「今季中に昇格し、チームの優勝に貢献すること」――。ひたすらにバットを振り続ける男のもとに、指揮官からメッセージが届いた。「とにかくスタメンで出続けられる状態を作ってくれ」。その言葉を受け取った栗原は何を感じたのか。偽らざる心境を明かした。

「すごく期待していただいてることに関してはありがたいですし、それにしっかりと応えたいです。チームの力になりたいという思いが一番です」

 指揮官からの突然の連絡に、栗原は率直な感謝を口にした。小久保監督から直接メッセージが送られることは珍しい。だからこそ、その一言が心に響いた。「ありがたいです」と何度も繰り返す栗原の言葉からは、決意がにじむ。

 今宮が復帰した19日の西武戦、試合前に取材対応した小久保監督は栗原陵矢内野手への期待を隠さなかった。「優勝するために彼の存在は絶対に必要なので。9月に月間MVPを取るくらい大暴れして、『最後いいところを持っていったな』みたいなイメージでやってほしいですね」。単なる戦力としてではなく、リーグ優勝に向けた大事な終盤戦の“起爆剤”になることを強く望んでいる。

「監督がおっしゃっているのは、1軍に上がった時にずっと出続けられるように。スタメンで使い続けられるように、ということです」。求められているのは、1軍復帰だけではない。“結果が出せる状態”であり続けることだと栗原自身も理解している。

 メッセージに対し、「本当にそれを狙っていけるように、しっかりと自分で状態を上げてやります」と返事をしたという。シーズン前に掲げた「3割30本」の目標は現時点では厳しい状況にある。「そんなこと言ってられる成績でもないですし、立場でもないです」。その言葉には悔しさがにじむ。だが、その目標は来季以降に達成すればいい。今はただ、1日でも早く1軍に合流し、チームの勝利に貢献することだけを見据えている。

 どんな時でも前を向く栗原の姿勢は変わらないが、届けられた言葉がより一層その思いを強くする。「もう僕は自分の状態を上げて、“これで勝負できる”というものを作っていかないといけないです」。19日のウエスタン・阪神戦後も、一番に室内練習場へ駆け込みバットを振った。その姿からは強い覚悟が感じられた。背番号24がグラウンドで大暴れする日は遠くない。

(飯田航平 / Kohei Iida)

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