NY市場サマリー(18日)CPI受け株反発、ドル/円下落 金利低下

<為替> 米ドルが日本円とスイスフランに対して下落した。米インフレが予想を下回る伸びとなったことが背景。欧州中央銀行(ECB)が金利を据え置いたことを受けてユーロは軟化した。

ドル/円は0.12%下落し155.50円、ドル/スイスフランは0.14%安の0.79405フランとなった。

米労働省の労働統計局(BLS)が18日発表した11月の消費者物価指数(CPI)は、前年比2.7%で、市場予想を下回った。ロイターが調査したエコノミスト予想は3.1%上昇だった。

ステート・ストリートのシニア市場ストラテジスト、マービン・ロー氏は「これほどの差異が出ること自体が疑問であり、今回のデータが従来の統計議論にどこまで反映されるかは不透明だ」と述べた。

その上で、「期待が大きく変わらない理由の一つは、市場がすでに向こう12カ月以内に米連邦準備理事会(FRB)が中立金利にすると織り込んでいることだ。よりタカ派に傾くか、あるいは中立を下回らせるような不況を強く織り込まない限り、状況は変わらない」とした。

ユーロは不安定な値動きの中で下落した。

ECBは18日に開いた理事会で、政策金利を据え置くと決定した。理事会に合わせて発表した最新の「スタッフ見通し」では、ユーロ圏経済についてやや明るい見方を示した。

これを受け、ユーロ/ドルは0.14%安の1.17240ドルとなった。

ドル指数は0.06%高の98.435だった。

英ポンドは0.09%高の1.33846ドル。

イングランド銀行(英中央銀行)は18日、政策金利を0.25%ポイント引き下げ3.75%とすることを決定した。

ただ、市場は追加利下げ予想を後ずれさせ、次回利下げ見通しは4月から6月に先送りされた。インベステックのFXトレーダー、トム・プリスコット氏は「金利市場は追加緩和の織り込みを縮小した。今後の決定が接戦になること、ベイリー総裁が『さらなる利下げ余地は限られる』と述べたことが理由だ。2026年に向けて市場が見通しを調整する中で、ポンドにはさらに上昇余地がある」と述べた。

NY外為市場:

<債券>米国の11月の消費者物価指数(CPI)の伸びが市場予想を下回ったことを受け、国債利回りが低下した。

労働省が発表した11月のCPIは前年比2.7%上昇し、伸びは予想の3.1%を下回った。43日間にわたる政府閉鎖により10月のデータが収集できなかったため、前月比は公表されなかった。

TDセキュリティーズ(ニューヨーク)の米金利ストラテジスト、ジャン・ネブルジ氏は、インフレは沈静化しつつあるとの見方が裏付けられたとし、「12月のCPI統計で今回と異なる方向性が示されない限り、全体としてはかなりハト派的だった」と指摘。ただ、連邦政府機関の一部が43日間にわたり閉鎖されていたことの影響で経済指標はなお完全に発表されておらず、遅れて公表された統計などに基づきこの先の連邦準備理事会(FRB)の政策の行方を占うことに慎重な見方も出ている。 FRBは9─10日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%ポイントの利下げを決定。利下げは9月と10月に続き、3会合連続だった。ただ、インフレは依然としてやや高止まりしているとし、労働市場と物価情勢を見極めるため利下げを一時停止する可能性を示唆した。

金利先物市場が織り込む1月27─28日の次回FOMCで利下げが決定される確率は27%。一方、3月17─18日のFOMCで利下げが決定される確率は50%を超えている。

米国債利回りはこの数カ月、FRBの金融政策の行方を見極めようとする動きの中、狭いレンジ内にとどまってきた。来週にクリスマスを控え、債券市場の取引は一段と薄くなるとみられている。

終盤の取引で10年債利回りは3.1ベーシスポイント(bp)低下の4.12%。12月11日以来の低水準を付けた。

2年債利回りは2.3bp低下の3.462%。一時は3.433%と、10月17日以来の低水準を付けた。

2年債と10年債の利回り格差は約1bp縮小の66bp。

米金融・債券市場:

<株式> 反発。11月の消費者物価指数(CPI)上昇率が予想を下回ったことを受けて米連邦準備理事会(FRB)の利下げに対する期待が高まったほか、半導体大手マイクロン・テクノロジーの業績見通しで好調な人工知能(AI)需要が示されたことを好感した。

米労働省が朝方発表した11月の消費者物価指数(CPI)は前年比2.7%で、市場予想を下回った。43日間にわたる政府閉鎖により10月のデータが収集できなかったため、前月比は公表されなかった。

USバンク資産運用グループの資本市場調査責任者ビル・メルツ氏はCPIについて「(FRB)当局者に対する圧力が弱まり始め、来年の利下げにより安心感を抱く可能性がある」と指摘。その上で「来月は政府閉鎖によるノイズが大きすぎなかったかどうか続報を見極めたい」と語った。

マイクロン・テクノロジー(MU.O), opens new tabが急伸。AI用データセンターに関連する需要の拡大などを追い風に、四半期利益見通しがアナリスト予想を大幅に上回った。サンディスク(SNDK.O), opens new tabやウエスタンデジタル(WDC.O), opens new tabも買われ、フィラデルフィア半導体指数(.SOX), opens new tabが上昇した。
トランプ・メディア・アンド・テクノロジー(DJT.O), opens new tabは41%急伸。核融合発電開発のTAEテクノロジーズと60億ドル超で合併すると発表した。

ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を1.9対1の比率で上回った。ナスダックでも1.63対1で値上がり銘柄が多かった。

米取引所の合算出来高は168億9000万株。直近20営業日の平均は169億6000万株。

米国株式市場:

<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、強弱まちまちの米経済指標を眺めて方向感に乏しい商いとなり、小反落した。

政府機関の一部閉鎖で遅れていた11月の消費者物価指数(CPI)統計は11月は総合、コアともに鈍化したが10月分の発表は見送られ、市場からは「明確な動向を把握できない」「12月の統計までトレンドははっきりしない」などとの指摘が相次いだ。

トランプ米大統領が17日夜に行った国民向けの演説で、米連邦準備制度理事会(FRB)の次期議長について「大幅な利下げを信じる人物」になると明言。金利低下を追い風に、まだ上値を探る余地があるとの見方も根強い。

NY貴金属:

<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、供給混乱懸念を背景とした買いが入り、続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月1月物の清算値(終値に相当)は前日比0.21ドル(0.38%)高の1バレル=56.15ドルだった。2月物は0.19ドル高の56.00ドル。 ロシアがウクライナとの和平合意締結を拒否した場合の措置として、米政府がロシアのエネルギー部門を標的とした追加制裁を準備しているとの一部報道を受け供給不安が広がり、原油は買いが優勢となった。一方、ホワイトハウス当局者はロイター通信に対し、トランプ大統領は対ロ制裁について新たな決定を下してはいないと説明しており、制裁措置の先行きには不透明感がくすぶっている。 米国とベネズエラ間で緊張が高まる中、ベネズエラ産原油の供給が混乱するとの警戒感も相場を支援した。米国は今週に入り、制裁対象の全ての石油タンカーがベネズエラの港を出入りできないよう全面封鎖を命じると発表。米紙ニューヨーク・タイムズは、ベネズエラ政府が軍に対し、石油製品を積んで同国を出る船の護衛を命じたと報じた。このほか、ベネズエラ国営石油PDVSAは17日、サイバー攻撃に伴うシステムダウンを受け停止していた石油貨物の輸送を再開したと明らかにした。 一方、米労働省が朝方発表した11月の消費者物価指数(CPI)は市場予想を下回った。来年の米追加利下げ観測も広がっており、相場を下支えた。

NYMEXエネルギー:

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