不法滞在の外国人、排斥の米国は雇用鈍化 “ゼロ”目指す日本はどうなる? スペインは50万人合法化へ #エキスパートトピ
米連銀の調査で、不法移民の減少が建設・製造業の雇用成長を下押ししている実態が明らかになりました。不法移民という“暗黙の了解”を前提に産業が成り立ってきた脆弱性の一端が浮き彫りになった形です。
日本も政府・与党が「不法滞在者ゼロ」を掲げ、取り締まりの厳格化を図っています。一方、スペインは人権と経済成長の両立を掲げ、50万人の合法化へ舵を切ります。
移民国家の米国や欧州各国と事情は異なりますが、それぞれの指針と現実は日本の移民政策と外国人との向き合い方を占ううえで示唆に富みます。
ココがポイント
「不法移民労働者の流入が減少し続ける限り、米国の雇用成長は下押し圧力に直面する可能性が高い」出典:ロイター「不法移民減、雇用鈍化に影響 建設業・製造業で顕著=SF連銀調査」 2026/2/18(水)
米ミネソタ州での「移民取締り」終了 トランプ政権が発表 すでに撤収開始|TBS NEWS DIG
「不法滞在者ゼロプラン」を政府が発表していて、日弁連などからは「保護されるべき人を排除する事になりかねない」として反発出典:FNNプライムオンライン「【独自】「あなたを帰す手続き進める」「何で?」不法滞在外国人の強制送還の一部始終…費用は全て税金 「不法滞在者ゼロプラン」には反発の声も」 2026/2/2(月)
「われわれは人権、社会統合、共存、そして経済成長と社会の結束の両立を基盤とした移民モデルを強化している」出典:時事ドットコム「スペイン左派政権、不法移民50万人を合法化 他の欧州諸国と逆行」
エキスパートの補足・見解
米トランプ政権は不法移民の排除を強めてきました。雇用鈍化という一時の経済的代償を払ってでも「秩序」を優先し、長期的には“自国民”に雇用を回す狙いは明白です。ただ、強硬な取り締まりには反発も強く、社会の分断を生んでいます。
米国の動きは日本にとって対岸の火事ではありません。自民党は、先月「外国人政策本部提言」をまとめ、「不法滞在者ゼロ」を重点項目に掲げました。昨年5月には既に法務省が同様の方針を公表していましたが、衆院選での自民圧勝により、この動きは一段と加速しそうです。
法令に基づく管理を当然視する世論が強まる一方、人権団体や弁護士からは「保護すべき人まで排除しかねない」との懸念も。摩擦の火種がくすぶっています。
特筆すべきはスペインの動向で、不法滞在を含む移民の「プラスの影響」を称賛しています。
外国人をめぐる論点は、排除と包摂のどちらが正解という単純な問題ではありません。それぞれの国の人口規模や経済構造、そして社会の受容度にも左右されます。
日本が目指す「秩序ある共生」の先に待つのは、健全で透明性の高い労働市場か、それとも――。
日本に限らず世界各国が今、秩序維持と共生のバランスの難しさに直面しています。
和洋女子大学AIライフデザイン学部准教授。元共同通信記者。東京外国語大学ペルシア語学科卒、電気通信大学大学院で遠未来研究。執筆テーマはAI(×脳・宇宙・XR・非言語・環世界・明晰夢)、移民・外国人、資源、未来を探究する学問"未来学"(Futures Studies)。国際NGO世界未来学連盟(WFSF)日本支部創設。主著『外国人のあたりまえ図鑑』『宇宙開発産業の動向と仕組みがよくわかる本』『生成AIの常識』『未来学』『エネルギー業界大研究』『電子部品業界大研究』等、近刊『13歳からの生成AI講座』。新潟出身。ryuta373rm[at]yahoo.co.jp