宝塚花組トップ永久輝せあ「悪魔城ドラキュラ」に男性客多数 東京公演前会見一問一答全文
宝塚歌劇団花組のトップコンビ、永久輝せあと星空美咲が、東京宝塚劇場(東京都千代田区)での公演初日を翌日に控えた15日、会見に応じた。上演作品は、人気アクションゲームを原作としたミュージカル「悪魔城ドラキュラ~月下の覚醒~」と、ショー「愛,Love Revue!」。永久輝は兵庫・宝塚大劇場公演を振り返り、「男性のお客さまがとても多かった」とファン拡大の手応えを語った。
舞台「悪魔城ドラキュラ」は、コナミの人気ゲームシリーズをもとに、ドラキュラ伯爵と人間の間に生まれた主人公、アルカード(永久輝)と、バンパイアハンターの一族の娘、マリア(星空)を中心としたオリジナルストーリー。ゴシックホラーの作品世界観と、宝塚が融合した美しい舞台が、ゲームファンの間でも評判を呼んだ。舞台稽古後の一問一答は以下の通り。
―――「悪魔城ドラキュラ」は人気ゲームが原作だ
永久輝「初めてこの作品に出演すると決まったとき、『悪魔城ドラキュラ』というゲームをプレイしたことはなかったのですが、作品と向き合う中で、本当に魅力的で、長く愛されている理由がよく分かるな、と毎日、実感しております。(自身が演じる主役)アルカード役は、ファンの方の中でも、すごく人気のあるキャラクターで、バンパイアと人間の血、両方流れている青年。優しさと強さ、両方持った人物で私自身、魅力的だなと思っております」
星空「私は個人的に、原作ものを演じるのが初めての経験で、今も化粧前に、(自身が演じるヒロイン)マリアさんの写真を飾って、それを見ながらお化粧し、心強さも感じながら日々、演じております。マリアはとても明るく活発で、心優しい部分もある。アルカードさんとも、バンパイアと人間のハーフだからではなく、人として接しているような彼女の優しさに私自身、たくさんの勇気と力をいただきながら、これからも公演を重ねてまいりたいなと思っております」
ショー「愛,Love Revue!」について、「宝塚ってこういうもの、とお伝えできるレビュー」と話す、宝塚歌劇団花組トップスターの永久輝せあ=15日午後、東京都千代田区有楽町の東京宝塚劇場(酒巻俊介撮影)ショーは宝塚らしく
―――ゲーム原作舞台で新たな観客が入ったと聞く
永久輝「はい、舞台に立ちながら客席を拝見し、男性のお客さまがとても多いな、というのをすごく実感しました。風の噂では、男性用のお手洗いに行列ができたと…」
星空「そうですか?(と笑顔)」
永久輝「宝塚の公演の中では、なかなか珍しいのではないかなと、とてもうれしく思いました。そして初めて宝塚をごらんになる方に、〝宝塚ってこういうもの〟と100%お伝えできる『愛,Love Revue!』との2本立てということが私自身、とても幸せです。(ロマンチック・レビューのシリーズとして)新しい場面も、再演場面もたくさん盛り込まれ、私たちもやっていて、あっという間です。どの場面も、それぞれ魅力があって、どんどん引き込まれる。男役は格好よく、娘役はかれんな宝塚らしい世界が、とてもよく表現されている、というのがこの作品の魅力かなと思います」
星空「今おっしゃってくださったように、宝塚での公演中、私自身、自分が宝塚に憧れた頃を思い出す瞬間がたくさんありました。この『愛,Love Revue!』をごらんになった方が、宝塚を見てステキだなって思ってくださったり、小さな子たちが宝塚に入りたい、って思ってもらえたら、それがどんどんつながっていくのかなという風に思うので、そうなれるように頑張りたいなと思います」
―――ゲーム作品を宝塚の舞台化する上で意識したことは
永久輝「ゲーム中には描かれていなかった部分を、お芝居として作っていかなければいけないので、アルカード役を演じるにあたって稽古中は、どういう思いを抱えている人物なのか、なぜ悪魔城に向かって、どういう思いで父と対峙するのかなど、内面的な部分をまず、とても大事にしました。立ち回りの振り付けを覚えて実践するのも、とても難しい時間ではあったんですけれども、舞台として成立させるため、内面的な部分を埋めること、表現することを意識しています。マントを持ちながら、剣も通常より長い剣なので、お稽古場からマントを使い、(本番と)同じ位の長さの剣を用意していただいて、毎日持って、振り回して練習してました」
星空「ゲーム原作の舞台は、外部でもされていると思いますが、宝塚で上演する意味、娘役の私がマリアを演じる意味は、品や美しさというものがにじみ出るから、という風に最近とても感じているので、マリアというお役としても、娘役としても、自分自身を磨くということをしながら、演じています」
舞台稽古後の囲み取材で、宝塚歌劇団花組娘役トップの星空美咲(右)を見つめるトップスターの永久輝せあ=15日午後、東京都千代田区有楽町の東京宝塚劇場(酒巻俊介撮影)バンパイアは宝塚にピッタリ
―――バンパイア作品の魅力は
永久輝「バンパイアというものが、怪しくもあり、はかなさ、美しさもあり、ちょっと謎めいているところが、宝塚の魅力にとてもピッタリ合うのではないかと、すごく思いました。今回は、はかなさ美しさではなく、強さ、人間対バンパイアの戦いが描かれているので、今まで宝塚で扱ってきたバンパイア作品とは、また違った面白さがあるのかなと感じています」
星空「私は小さい頃からバンパイアが大好きで(笑)、バンパイアが題材の小説もよく読んでいて今回、バンパイア作品だったからすごくうれしかったですね。やはり宝塚の男役さんが、舞台上でバンパイアとしていらっしゃるのを見ると…(永久輝を見つめる)本当に人間じゃないように見える。人ではないものはすごく宝塚と相性がいいと思います」
―――ゲーム音楽がたくさん使われいるが、どう受け止めているか
永久輝「『失われた彩画』という曲が、ゲームファンの方の中ではとても人気だと、演出の鈴木(圭)先生もおっしゃっていて、それを2人で歌う演出にしてくださいました。メロディーとしてはすごく美しいのですが、歌うとなると音域が広く、音の上下が結構激しくて、なかなか苦戦しました。でもメロディーが本当に神秘的かつ荘厳で、曲の力を借りながら、お芝居の世界に自分も没入できる感じがとてもすてきだなと思っております」
星空「永久輝さんがおっしゃる通りで、歌詞がなくても、『失われた彩画』の前奏を聴くだけで、スッと物語の中に入っていけるような感覚があるので、そこ歌詞がある意味を深めながら(歌っています)。すごくワクワクします」(飯塚友子)
永久輝せあ
とわき・せあ 東京都出身。平成23年、宝塚歌劇団に入団し、翌年、雪組に配属。華のある容姿とダンスで早くから注目され、令和元年、花組に組替え。6年7月、名古屋・御園座「ドン・ジュアン」でトップスターに就任。
星空美咲
ほしぞら・みさき 神奈川県出身。平成31年、宝塚歌劇団に入団し、花組に配属。三拍子そろった実力派娘役で、令和6年7月の「ドン・ジュアン」から永久輝の相手役を務める。
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東京宝塚劇場公演は8月16日~9月28日。問い合わせは宝塚歌劇インフォメーションセンター(電話0570・00・5100)。