2026年はナトリウムイオン元年か?EVバッテリー最大手が商業展開に動いた

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長谷川賢人 ( GIZMODO編集部 )
Image: Kent Hasegawa-generated with Flow

バッテリーといえばリチウムイオン、だけではなくなるかも。

世界最大の車載電池メーカーである中国のCATL(寧徳時代新能源科技)が、ナトリウムイオン電池を使った蓄電システムの商業展開を本格化させると発表しました。

最初の顧客への出荷は2026年9月から始まる予定とのこと。CATLは世界最大手の電気自動車(EV)用リチウムイオン電池メーカーとして知られています。まさに時代の変わり目に立ち会っているのかも…?

ひとまず、おさらい。ナトリウムイオンとリチウムイオンの違い

リチウムイオン電池とナトリウムイオン電池は、構造は似ているのですが、「どのイオン(電気を帯びた粒子)を使って電気を運ぶか」が違います。

リチウムは電気を運ぶ効率がとても高い。だから同じサイズでもたくさんのエネルギーを蓄えられるのが強みです。それだけに、スマホやEVには多く使われています。

一方のナトリウムは、食塩(塩化ナトリウム)の成分でもあり、リチウムとは比べ物にならないほど地球上に豊富に存在します。電池としての性能ではリチウムに一歩譲るものの、「資源の制約がない」「安く作れる」「寒さに強い」という点で近年急速に注目されてきました。

ナトリウムイオン電池の研究自体は1970年代にまでさかのぼります。リチウムイオン電池とほぼ同時期に始まったものの、エネルギー密度やサイクル寿命などの面でリチウムに及ばず、長らく日陰の存在でした。

それがここ数年、素材や製造技術の進化によって一気に競争力を高めてきたわけです。

CATLが本格参戦、2026年がナトリウム元年に?

CATLはナトリウムイオン電池の研究に2016年から取り組み、約100億人民元(約2,000億円)の投資を行い、約30万個のテストセルを開発。現在は20名以上の博士を含む300名超のR&Dチームがこの技術を支えています。

2021年にCATLはナトリウムイオン電池市場への参入を対外的に宣言し、第1世代の電池を発表。それから約4年が経った2025年4月、第2世代の「Naxtra(ナクストラ)」ナトリウムイオン電池を発表すると、乗用車・商用車・バッテリー交換ネットワーク・定置型蓄電システムと、幅広い用途への展開計画を打ち出しました。

そして今回、ついに商業出荷のタイムラインを発表。CATLのエネルギー貯蔵ソリューション部門のCTO・Lin Jiubiao氏が、中国国内で開催されたナトリウムイオン電池業界イベントでこのロードマップを明かしたのです。

CATLは「2026年中にナトリウムイオン電池の出荷量がギガワットアワー(GWh)規模に達する」とも予測しています。ギガワットアワーとは、大規模な発電所や電力網レベルで使われるエネルギーの単位。それだけ本格的な量産体制に入るということです。

中国の自動車大手・長安との連携も発表済み

蓄電システムだけではありません。2026年2月5日、CATLは中国の自動車メーカー・CHANGAN(長安汽車)と共同で、世界初となるナトリウムイオン電池搭載の量産乗用車を発表しています。

気になる性能面では、最大175Wh/kgのエネルギー密度を達成し、航続距離は400km超を実現するといいます。

特筆すべきは寒冷地性能。マイナス30℃環境での放電出力は、同等のLFP(リン酸鉄リチウム)電池の約3倍、マイナス40℃でも容量維持率が90%以上、マイナス50℃でも安定した電力供給が可能と言います。リチウムイオン電池は寒さで性能が落ちやすいため、実現化してくると寒冷地が多い日本にも直結するメリットでしょう。

また、押しつぶし・穴あけ・のこぎり切断といった過酷な条件でテストしても煙や発火が起きず、電力供給を継続できるという安全性も確認されています。

「リチウム一強」の終わりの始まり?

調査会社「Precedence Research」によると、世界のナトリウムイオン電池市場は2025年の13億9,000万米ドルから、2034年には68億3,000万米ドルに成長すると予測されています。

CATLという業界のトップ企業が商業展開に踏み切ったことで、関連サプライヤーや競合メーカーにとっても、追随するインセンティブが一気に高まります。リチウムとナトリウム、用途に応じて使い分ける時代が、いよいよ現実のものになりそうです。

今のスマホを動かしているのはリチウムイオン電池ですが、5年後にはナトリウムイオン電池の名前が生活のあちこちで聞かれるようになっているかも。電池の歴史は、奥が深い。

Source:CATL , Interesting Engineering ,CarNewsChaina

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