藤井聡太王座が先勝、伊藤匠叡王を破る 将棋王座戦第1局
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【シンガポール=村上由樹】4日朝からシンガポールのアマラ・サンクチュアリ・セントーサで指されていた第73期将棋王座戦(日本経済新聞社主催、東海東京証券特別協賛)五番勝負第1局は、現地時間午後7時13分、66手で後手の藤井聡太王座(23)が挑戦者の伊藤匠叡王(22)を破り、3連覇へ向けて好スタートを切った。
残り時間は藤井王座が57分、伊藤叡王が11分。第2局は9月18日、神戸市のホテルオークラ神戸で指される。
終局直後、藤井王座は「本局は実戦的な戦い方ができればと思った。海外対局は2度目。集中して指せたし、盤外でもいろいろな経験ができた」と振り返った。敗れた伊藤叡王は「途中☗2六飛(33手目)がまずく、精度を欠いた。初めての海外対局、現地の方々に温かく歓迎してもらい感謝している」と語った。
振り駒でと金が4枚出て伊藤叡王の先手番に決まったこの日の将棋は、藤井王座が序盤早々に工夫を見せた。まず2手目☖3四歩と角道をあける。昨年までの藤井王座は後手番の場合、2手目は必ず☖8四歩と飛車先の歩を突いていただけに珍しい出だしで、流行の「雁木(がんぎ)」という戦型になった。さらに早めに7筋の歩を突く構想を披露、対する伊藤叡王は想定から外れたのか再三長考に沈んだ。
午前中に伊藤叡王が指した☗2六飛が不用意な一手で、形勢は藤井王座に傾いた。新聞解説の中村太地八段は「うっかりに近い。かなりのハンディを背負った」と評する。それでも伊藤叡王はたびたび勝負手を放ち、追い込みを見せる。藤井王座は最強手で対応し、最後は相手の攻めをギリギリで見切って1勝目をあげた。
中村八段は「藤井王座がリードをじわじわ広げる展開にするかと思ったが、最短、最強手で勝ちを決めた。自玉が怖い形になるだけに常人ではない勝ち方。攻めさせて、伊藤叡王の持ち味である腰の重さを出させなかった」と解説した。
藤井王座は2023年の王座戦で全八冠制覇を果たしたが、24年に伊藤叡王がその一角を崩して八冠独占を終わらせた。両者の対戦は藤井王座が唯一タイトル戦で敗れた昨年の叡王戦以来。1年2カ月ぶりの対戦を藤井王座が制した。
将棋王座戦の対局が海外で行われたのは第50期の中国・上海以来23年ぶり。シンガポール建国60周年を記念する文化交流事業の一環として開催された。
〈指し手〉☗2六歩☖3四歩☗7六歩☖4四歩☗2五歩☖3三角☗4八銀☖3二金☗3六歩☖4二銀☗6八玉☖4三銀☗3七銀☖8四歩☗7七角☖5二金☗5八金右☖5四歩☗4六銀☖7四歩☗7八銀☖8五歩☗3五歩☖7五歩☗同 歩☖4五歩☗同 銀☖3五歩☗7九玉☖6二銀☗5六銀☖3六歩☗2六飛☖8六歩☗同 歩☖7七角成☗同 銀☖7六歩☗8八銀☖8六飛☗8七歩☖7七歩成☗8六歩☖8八と☗6八玉☖8九と☗3六飛☖4四桂☗3九飛☖2八角☗3一飛☖4二玉☗3二飛上成☖同 銀☗2二金☖3九飛☗3七桂☖4一銀☗2一飛成☖7六歩☗3一竜☖5一玉☗3三角☖6一玉☗4一竜☖5一金まで66手で藤井王座の勝ち
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