ホテルニューオータニで最強の桃ケーキがヤバい! もう他の桃ケーキ食えねぇよ… / 新エクストラスーパーピーチショートケーキ

その名は「新エクストラスーパーピーチショートケーキ」。ニューオータニの「パティスリーSATSUKI」にて販売されている。小学生が考えた最強のケーキみたいなセンスを感じるが、クオリティがネーミング負けしていないから恐ろしい。

世の桃ケーキは基本的に短い桃のシーズン中しか売られないためどれもレア度が高めだと思うが、こちらも8月下旬までの販売。しかも1日20個限定でぶっちぎっている。でも、これは1度食べておいた方がいい。桃ケーキの審美眼が上がる

・3996円

ホテルニューオータニ公式HPによると、山梨県産の「一桃匠(いっとうしょう)」という桃を、ケーキ1つにつき約1個使用しているそう。

この一桃匠だが、どうやら山梨県の山梨県笛吹市八代地区から出荷される、最高品質の桃だけが名乗れる……のだと思う。

定義の書かれた公的なウェブページを発見できなかったので、詳細はよくわかっていない。JAの桃の販売ページなどを見るに、どうやら糖度が一定以上でなければならないらしい。

まあ、なんであれ「パティスリーSATSUKI」が選んだ桃だ。凄い桃に違いない。桃自体も高級で、5~6個入って5千円ほどするもよう。

それを約1個使い、ニューオータニクオリティで仕上げたということで、「新エクストラスーパーピーチショートケーキ」は3996円。価格も新エクストラスーパーだ。

ということで、朝からニューオータニにやってきた。「パティスリーSATSUKI」の人気のケーキは、価格がどうだろうと爆速で売り切れることがままある。その上、1日20個限定なのだから念を入れるに越したことはない。

オープン前に「パティスリーSATSUKI」に到着すると、外にポスターが出ていた。こいつだよこいつ。そして、周囲にはオープン待ちをしていると思しき人々の姿が。

私も待機し、オープンと同時に最速でオーダー。無事にゲットすることができた。

・ビジュアル

開封の儀。4000円だからな。もう何かのガジェットみたいなもんよ。私のテイクアウト系レビューでは往々にして外見が崩れるが、さすがニューオータニ。圧倒的な保持力でパーフェクトな状態が保たれていた。

これがニューオータニクオリティの保冷剤。4個も入ってた。サイズ感がいい。もう一回凍らせて、帽子の中にでも仕込もうかな。

ケーキ本体は、外箱よりも丈夫な厚紙で保護されていることが発覚……! これが高い防御力の秘訣か。

ついにご対面。横から見ると、ぶっちゃけ普通。構造的に特殊な点はない気がする。

普通に生地の間に切った桃を並べてクリームを詰めたみたいな? もっとこう、特筆すべき複雑な構造をしているかと期待したが、そういう方面では勝負してないのかもしれない。

後ろはこう。まあ、一般的なショートケーキの背面って感じ。

・ガチ

ふむ……価格とレア度は凄まじいものだと思うが、ビジュアルは凡庸だった。その辺のよくあるいちごのショートケーキのいちごが桃になっただけみたいな。

これは、言うほどたいしたことないかもしれないぞ……? 

!?

お気付きになられただろうか……? 手間のかかりそうな構造を発見してしまった。ここだ。

横から見た時には見落としていた。こいつ、ただスポンジの上に桃を並べて隙間をクリームで埋めたのとは違うぞ……! 薄くタイルのように切った桃を敷いてある。 

まずスポンジの上に薄いクリームの層を作り、桃のタイル。その上にホイップを塗って、カットした桃を並べて隙間をホイップで埋めたのだろうか……? 何にせよすごく面倒そうなことをしている。

もしかしたら見くびっていたかもしれない。食べてみると、それは確信に変わった。やべぇ……生の桃を食うより桃ってる

桃は凄まじく甘く瑞々しいが、水っぽくはないという究極のバランス。そしてこの生地がヤバい。

凡庸なスポンジだと思っていたが、謎の技術によってこの生地はケーキと桃を一体化させている

軽くソフトだが、柔らかすぎず弾みすぎず、桃を楽しませるのに適切な圧で千切れるというパーフェクトな硬さ。そして桃と生クリームのどちらにも味のボーダーを感じさせない、よくわからない甘さと香りを持っているのだ。

よくわからないので手でちぎって生地だけいくばくか食ってみたが、とにかく絶妙なバランスで仕上がっているとしか言いようがない。

この謎のテクノロジーを搭載した生地により、ケーキが1つの桃のような味わいにまとまっている。桃とクリームと生地ではなく、桃なのだ。私は恐怖した。

クリームも巧みだ。けっこうしっかりと生地や桃の重みを支える程度の強度を持ち、フォークでつつく限りだとまあまあな質感があるのだが、体温に触れるとシュルっと分解していく。

仮に1000円は桃1個分として、技術料に3000円は納得ですわ……!! あと、桃が圧倒的で気付かなかったのだが、HPによるとライチと蜂蜜が使用されているらしい。

ライチと蜂蜜と桃は、混ぜると強い桃になるのかもしれない。まあでも確かに桃味の要素にはライチに通じる要素があるし、ライチ味の要素にも桃っぽさを感じさせる側面があるし、これは何となく理解できた。

しかし生地とクリームの仕上げのテクニカルさは、私ではちょっとよくわからない水準にある。「新エクストラスーパーピーチショートケーキ」のネーミングをイジったが、これは真にエクストラスーパーピーチ

新ってことは旧もあったのだろう。なら新も納得だ。つまり名実共に完璧ってこと。ショートケーキ1個に4000円は凄まじい話だが、でもこれを食っておけば、恐らく桃のケーキ界における最上級の一端を知識と経験にストックできる

そして、なかなか無いことだと思うが、これに明確に勝る桃ケーキに出会うまで、もう一生こいつが基準になってしまうだろう

もう他の桃ケーキ食えねぇよ……。毎年4000円をこのケーキのための予算として計上することになりそう。みんなも1度は食べるべき。8月下旬までの予定で、東京、幕張、大阪のニューオータニにある「パティスリーSATSUKI」でゲットできる。

参考リンク:ホテルニューオータニ 執筆:江川資具 Photo:RocketNews24.

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