米韓貿易協議は投資構造が焦点、通貨スワップではない-具企画財政相

韓国の具潤哲企画財政相は、米国との交渉の焦点となっているのは通貨スワップではなく、韓国が約束した3500億ドル(約53兆1300億円)規模の対米投資の構造だと語った。

  具氏は22日、ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、ベッセント財務長官ら米当局者は資金の一部を展開させるだけで韓国の外国為替市場に衝撃が走る可能性を理解していると説明。完了していない米国との貿易交渉が原因でウォンが売られていることや、自動車関税、人工知能(AI)技術についても触れた。

  「ベッセント長官は韓国外為市場の難しさを十分に理解しており、このような状況に対して内部でも議論をしようという話をしている」と具氏は述べた。

  22日の取引でウォンは一時0.3%高の1ドル=1428.11ウォンと反発。具氏の発言が伝わると、この高値に接近した。その後上げを縮小したものの、新興国通貨のうち最も上昇率が高い部類に入る。

  トランプ米大統領は来週、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席するため韓国を訪問する予定。訪問中に韓国の李在明大統領や、中国の習近平国家主席との個別会談が見込まれている。

  具氏によると、韓国は投資パッケージの構成をバランスの取れた内容にすることを優先して交渉している。直接投資や融資、政府保証の組み合わせなどになる公算が大きいという。交渉はまだ進行中だとして詳細な構成については言及を避けたが、韓国にとって金融面のセーフガードが必要になるかは、最終的にはどのような合意が成立するかに左右されると指摘した。

  「米国と韓国の合意内容に従い、通貨スワップは必要にも不要にもなる。また、通貨スワップの規模が小さくも大きくもなり得る」と付け加えた。

  通貨スワップ自体が争点とはなっていないとの具氏の示唆は、韓国側がこれを交渉材料としてある程度利用している可能性を示す。

  金容範大統領政策室長は金正官産業通商相とともに、帰国してわずか数日でワシントンにとんぼ返りした。韓国政府は来週のAPEC首脳会談中に合意を決着させたい考えで、そのためにあらゆる努力を尽くすと、具氏は話した。

  米韓は7月下旬に暫定合意を発表した後、正式合意への交渉を2カ月余り続けている。曖昧さを残したままの日米合意に比べ、より詳細な内容となることが示唆される。

  詳細はなお未解決だが、米国の韓国車に対する関税は25%に維持されている。競合する日本車への関税は15%であり、韓国車は不利な立場に置かれている。

  韓国は米国との自由貿易協定の下で、長らく自動車は関税ゼロの恩恵を享受していた。日本車への従来の関税は2.5%だったため、韓国車は比較して優位だった。だが、今や立場は逆転し、新たな枠組みの下で日本車と同じ15%の関税を確保したとしても、従来のような優位性はなくなる。

  韓国はトランプ氏ら米当局者に繰り返しこの不利を訴えているが、これに関して米国側の反応は鈍いと、具氏は説明。韓国の交渉チームは自らの論拠を引き続き述べていくと、具氏は語った。

原題:US-Korea Focusing on Structure of $350 Billion Deal, Not FX Swap(抜粋)

— 取材協力 Jaehyun Eom, Youkyung Lee, Susie Kang and Whanwoong Choi

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