トランプ氏、イラン攻撃巡り今後2週間で決定へ-ホワイトハウス
トランプ米大統領はイランを攻撃するか2週間以内に決定を下すと、ホワイトハウスのレビット報道官が19日、記者会見で述べた。イスラエルはイランの核関連施設への攻撃を拡大し、一連の攻撃がイランの政権崩壊につながる可能性があると警告している。
レビット氏はトランプ氏の声明を読み上げ、同氏が「近い将来、イランとの交渉が行われる可能性がかなりあることを踏まえ、今後2週間以内に実行するかどうかを決断する」と語った。
トランプ氏はここ数日、米国がイスラエルの対イラン攻撃に加わることで関与を深める可能性に公然と言及していた。今回の発言は、テヘラン市民への避難呼びかけなどの強硬な発言や、今週カナダで開催された主要7カ国首脳会議(G7サミット)への出席を中断しワシントンに戻った行動に比べ、姿勢の後退を示唆するものだ。
レビット氏の発言を受け、原油相場は上昇幅を縮小。株式先物は引き続き軟調だ。S&P500種株価指数先物は、奴隷解放記念日「ジューンティーンス」の祝日で薄商いの中、一時0.9%下落した。
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トランプ氏はこれまでも2週間の期限を設けることが多く、実際に行動に移すこともあれば、そのまま立ち消えになることもあり、「2週間以内」というフレーズは政権1期目から判断保留を示す常とう句になっている。
レビット氏は、今回の声明は「イラン情勢」を巡る報道の観測に対応するものだと説明したが、交渉が今後行われた場合に成功する可能性をトランプ氏がどう見ているかを含め、大統領の具体的な方針に関する説明を避けた。
ただ、「外交のチャンスがあるなら、大統領は常につかみにいく」とレビット氏は述べた。もっともイランのウラン濃縮停止と核兵器の保有阻止というトランプ氏の目標は今も変わっていないとしている。
攻撃の応酬
関係者によると、米当局者は数日以内にイランに攻撃する可能性に備えている。関係者1人によると、複数の連邦機関の上層部も攻撃の準備を始めているという。
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一方、イスラエルは19日、イランの核関連施設への攻撃をさらに拡大した。両国とも、トランプ氏が対イラン攻撃に踏み切るのか、決定を注視している。
イスラエルのネタニヤフ首相は同日、イランの核および弾道ミサイルの能力破壊が軍事作戦の目的であることには変わりはないとしつつも、政権交代を促す「条件を整える可能性がある」と述べた。
イランの最高指導者ハメネイ師を標的とすることを意味するのかとの質問に対しては、「誰一人として免れられない」と応じた。
これに先立ち、イスラエルのカッツ国防相はハメネイ師を名指しして「責任を問われる」と述べていた。イランが発射したミサイルが南部のソロカ病院に着弾したことを受けて発言した。イスラエルの病院が被弾するのは衝突開始以来初めてで、両国の民間人にとって戦争に巻き込まれるリスクが鮮明となった。イスラエル保健省によると、被弾した部署は数時間前に避難しており、負傷者は軽傷にとどまった。
イスラエル側も、軍事攻撃を緩める兆しは見られない。19日未明にかけてイラン国内の数十カ所を戦闘機で攻撃。イラン西部アラクにある稼働していない原子炉も標的となった。
アラクの施設を巡っては、核兵器に用いられる核物質プルトニウム生産の役割を果たす可能性があるとして、かねて国際社会から厳しい視線が注がれていた。将来的に再処理能力が整えば、核兵器製造にも転用可能と考えられるためだ。
ドイツ、フランス、英国の外相は20日、スイスのジュネーブでイランのアラグチ外相と対面で協議を行う予定だ。欧州連合(EU)のカラス外交安全保障上級代表(外相)も出席する。一方、ルビオ米国務長官はイタリアのタヤーニ外相と電話協議を行った。
原題:Trump Set to Decide Within Two Weeks Whether to Strike Iran (2)、Trump to Make Iran Strike Decision Within 2 Weeks: Leavitt (1)、Israel-Iran War Intensifies as Trump Weighs Joining Attacks (1)、Trump Thinks Disabling Iran’s Fordow is Necessary, CBS Reports(抜粋)