任天堂Switch 2“歴代最高”の好発進も…決算でみえた「ゲームメーカー7社の明暗」。カプコンは『モンハン』が想定外
―[絶対夢中★ゲーム&アプリ週報]―
7月末~8月上旬にゲームメーカー各社の4~6月期決算が発表されました。6月はちょうどNintendo Switch 2が発売された月。注目の任天堂の決算はどうだったのでしょうか? また、それ以外のメーカーはSwitch 2の恩恵を受けられたのでしょうか? ゲームメーカーは数多く存在するため、今回はゲームファン的視点で目立った決算をチェックしていきたいと思います。
任天堂が8月1日に発表した2026年3月期第1四半期(2025年4~6月)は、売上高5723億円(前年同期比+132.1%)と高水準でしたが、営業利益569億円(前年同期比+4.4%)、経常利益958億円(前年同期比-15.6%)に留まりました。 決算説明資料によると、Switch 2の販売台数は発売4日で350万台。これは歴代任天堂のゲーム専用機としては過去最高。発売後7週間の全世界セルスルーも600万台を突破しています。 ただし、売上に対しての総利益率は「Nintendo Switch に比べて利益率の低いNintendo Switch 2 の販売割合が高くなったことなどにより、29.5ポイント減の32.3%となりました」とのこと。 普及のために価格を抑えたゲームハードは粗利率が低く、ソフトの売上で回収するビジネスモデルのため現状は種まき期。ローンチタイトルの『マリオカート ワールド』は563万本(6月末時点)と大ヒットですが、これに続く強力なタイトルが待たれます。 初代Switchは発売7ヶ月後に『スーパーマリオ オデッセイ』がリリースされています。Switch 2の『マリオ』新作はいつになるでしょうか? 9月のニンテンドーダイレクトにも注目です。
バンダイナムコの4~6月期決算は、売上高3004億円(前年同期比+7.1%)、営業利益519億円(前年同期比+17.9%)。ゲーム系の「デジタル分野」に限ると、売上高1077億円(前年同期比+1.4%)、営業利益217億円(前年同期比+47.3%)となりました。 決算説明会資料によると、「新作アプリ『SDガンダム ジージェネレーション エターナル』が『機動戦士GQuuuuuuX』との相乗効果もあり、非常に良いスタートをきりました」とのこと。また、海外で販売を担当する『ELDEN RING NIGHTREIGN』が、世界累計出荷本数500万本突破を達成し(7月24日時点)、こちらも業績に寄与しています。 第2四半期から第3四半期にかけては「新作タイトル数が増え、コスト先行となる見込み」。具体的にはチーム対戦型無料ゲーム『ドラゴンボール ゲキシン スクアドラ』(2025年予定)、家庭用ゲーム『リトルナイトメア3』(10月10日発売予定)、『ワンス・アポン・ア・塊魂』(10月23日発売予定)などがラインナップ。これ以外にも今年12月に30周年を迎える『テイルズ オブ』シリーズのリメイクの噂も囁かれています。
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カプコンの4~6月期決算は、売上高455億円(前年同期比+53.7%)、営業利益245億9700万円(前年同期比+90.8%)、経常利益228億8300万円(前年同期比+69.7%)と増収増益。しかし発表後に株価は前日比約9.5%安と下落しました。 その理由は、2月に発売された大作『モンスターハンターワイルズ』について「販売本数は想定を下回った」と明記されたため。決算資料には、4~6月期のカプコンタイトルの「販売本数上位タイトル」も掲載されていましたが、『モンスターハンターワイルズ』は上から9番目(期間内47万7000本)と苦戦。発売直後の熱狂から比べると伸びを欠いたのがわかります。 『モンスターハンターワイルズ』はボリューム感のなさもあり、Steamのユーザーレビューも荒れている状況。カプコンはこの決算発表と前後して『モンスターハンターワイルズ』のアップデート計画を変更し、「エンドコンテンツの拡張」を前倒して実装(9月末→8月13日)することを発表しました。巻き返しなるでしょうか。 一方で、4~6月期の販売本数上位タイトルの1位は『デビル メイ クライ 5』(178万2000本)。「新作アニメ配信のシナジー効果により『デビル メイ クライ 5』の累計販売本数が1000万本を達成」したとのこと。『デビル メイ クライ』のブランド力が高まっています。
Switch 2のローンチタイトルとして、オリジナル作『龍の国 ルーンファクトリー』を発売したマーベラス。4~6月期決算は、売上高87億3900万円(前年同期比+50.5%)、営業利益2億4300万円(前年同期比+272.4%)、経常利益2億1900万円(前年同期比-41.3%)。『龍の国』の販売は順調ながら、「開発費負担が重く、売上の増加に比べて営業利益の増加は限定的」となりました。ゲーム事業に限れば約3.5億円の赤字でした。 コンシューマでは8月に『牧場物語 Let’s!風のグランドバザール』、9月に『DAEMON X MACHINA TITANIC SCION』と、「立て続けに当社基幹タイトルをリリース」予定。「『龍の国 ルーンファクトリー』が回収期に入る一方で、上記2タイトルの費用が先行想定」されるため、本格的な収穫期は秋以降。マーベラスはロングセラーになるタイトルも多く、今後『龍の国』や『牧場物語』がどこまで伸びるかがポイントです。