トランプ政権、学生ビザ申請者の面接予約を停止-大学との対立激化へ

ルビオ米国務長官は世界各地の米国大使館に対し、学生ビザ申請者の面接予約を一時停止するよう命じた。トランプ政権はソーシャルメディアのプロフィルを巡る審査の厳格化を検討している。

  この指針は27日に各国・地域に駐在する外交官に送られた公電の中で示された。反ユダヤ主義を助長する雰囲気に留学生が関与しているという主張を受け、トランプ政権が外国人学生の受け入れ制限に動く中での措置となる。

  今回の措置はホワイトハウスと米大学間の対立を一層激化させる可能性がある。当初はハーバード大学コロンビア大学といった名門校での反ユダヤ主義問題を巡る対立だったが、今では米高等教育全体の在り方に対する包括的な攻撃へと広がりを見せている。

  オハイオ州クリーブランドの移民専門弁護士デービッド・レオポルド氏は、この措置が留学生および留学生に依存する米大学の双方にとって「破壊的、あるいは壊滅的でさえもある」影響を及ぼす可能性があると指摘。「経済的にも文化的にも影響は甚大だ」としている。

  ビザ申請の停止や遅延は、世界中の数多くの学生や、留学生の受け入れによって学生数を増やしてきた全米の数多くの教育機関にとって大きな影響を及ぼすとみられる。

  米国の高等教育人口約1900万人のうち留学生は5.9%を占めており、2023-24年度には110万人余りが米国に留学した。出身国別ではインドが最多で、中国がそれに続いている。留学生の大多数は理系を専攻しており、約4分の1が数学やコンピューターサイエンスを、5人に1人近くがエンジニアリングを選択している。

関連記事:米大学で学ぶインド人留学生が大幅増加-出身国別で中国抜き首位に

  留学生は一般的に授業料を全額支払っており、大学側はそれを財源として米国人学生に奨学金を支給することが可能となっている。米国務省が後援する「オープン・ドアーズ・リポート」によると、留学生の在籍数が最も多いのはニューヨーク大学で2万1000人超。続いてノースイースタン大学やコロンビア大学となっている。

  ルビオ氏は「ソーシャルメディアの審査および身元確認の要件強化に備え、領事部門は追加の指針が示されるまで、学生ビザおよび交流訪問者ビザ(F、M、J)の新たな面接枠を設けてはならない」と公電に記した。指針は今後数日中に示されるとしている。

  公電によれば、すでに予定されている面接については実施が認められている。同措置についてはポリティコが先に報じていた。

  国土安全保障省(DHS)はコメントを控え、国務省に対応を一任した。国務省のブルース報道官は、ルビオ氏の指示に直接言及することを控え、現時点で公表された情報はないと述べた。

  トランプ政権とはすでにハーバード大学への助成金の支給停止や留学生の受け入れ禁止措置に踏み切っているほか、関係者によると、残り全ての連邦契約を打ち切る方針。対象となる契約は推計1億ドル(約144億円)規模とみられている。

関連記事:トランプ政権、ハーバード大との残る契約を全て打ち切りへ-対立激化

  また、司法省の幹部は27日、カリフォルニア大学のシステムが今後「大規模訴訟」に直面する可能性があるとし、政権の対応がさらに強化されることを示唆した。

原題:Trump Escalates Higher Ed Fight With Review of Student Visas (2)(抜粋)

関連記事: