オーストラリア初の国産ロケット「エリス」、打ち上げ失敗–14秒後に墜落(UchuBiz)
豪企業Gilmour Space Technologies(ギルモア・スペース・テクノロジーズ)は現地時間7月29日、同国初となる国産ロケット「Eris」(エリス)を打ち上げた。Erisは発射台から離陸した直後から横滑りを始め、わずか14秒後に地上に墜落した。 今回の統合型試験「Eris-1」(テストフライト1)については、「発射台を離陸できるか、最大動圧点(max Q)に到達できるか、宇宙にたどり着けるかどうかにかかわらず、貴重なデータをもたらすことが重要だ」と以前述べていた。 同社は今回の試験について「Erisはオーストラリアの地から打ち上げられた初の軌道ロケットで、飛行時間約14秒、エンジン燃焼23秒。打ち上げ能力にとって大きな一歩だ。チームは無事にデータを入手しており、次はテストフライト2に注目だ」とX(旧Twitter)に投稿している。 Erisは高さ25mの3段式ロケットで、ハイブリッド推進システムを採用。最大215kgの貨物(ペイロード)を高度500kmの太陽同期軌道(SSO)に投入できる。Rocket Labの小型ロケット「Electron」はSSOに150kgを打ち上げられることから、ErisとElectronは同じクラスの性能と言える。 同社は、軌道にペイロードを打ち上げるロケットであるErisについて「推進力や構造、電子機器(アビオニクス)、ソフトウェア、射場自体を含めほぼ完全に自社で開発した」と説明。その予算は「ほとんどの世界的な打ち上げ会社が利用できる予算のほんの一部」と解説している。 従業員数が約200人にまで成長したGilmour Spaceは衛星も製造している。同社の衛星バス「ElaraSat」は、米Space Exploration Technologies(SpaceX、スペースX)のライドシェア(相乗り)ミッション「Transporter-14」で先月、初めて打ち上げられた。 ElaraSatは、オーストラリア政府の総合研究機関である「科学産業研究機構(Commonwealth Scientific and Industrial Research Organisation:CSIRO)」が開発した、水質を監視するためのハイパースペクトルイメージング装置を搭載している。
塚本直樹