「お金の無駄」と言われても走行30万km超のハイエースを乗り続ける理由
購入してから25年以上乗り続け、走行距離はついに30万kmを突破。それでもまだ、この相棒と一緒に走り続けたい。愛媛県新居浜市のカフェ「みんなのコーヒー」のバリスタ、ヒラタさんは、平成6年式のトヨタ「ハイエース」をオールペンして、新たなる一歩を踏み出しました。
30万kmを超えたハイエースをオールペンしてリスタート
「少し前にオールペイントをしたのですが、その計画を話すと『えっ!? これに? どうして? お金が勿体ないよ!』と、ほとんどの人に言われました。でも、子どもたちとの思い出が詰まったクルマなので、少しでもきれいにしてあげたかったんですよね」
そう語りながら、愛おしそうにハイエースに目をやるヒラタさん。ここ愛媛県新居浜のカフェ「みんなのコーヒー」で、いつも笑顔で美味しいコーヒーを淹れている。
ヒラタさんの愛車遍歴は一言では語り尽くせない。増車に次ぐ増車で仲間が引き取ってくれたり、その逆のパターンもあり、さまざまな車種を楽しんできた。基本的には常に複数のクルマを所有しており、みんなのコーヒーのテラスには、かつての愛車というアメリカ並行モノのボルボ「240」がオブジェのように鎮座。駐車場の奥にはボディカバーを掛けたクラシックミニやポルシェ「ケイマン」らしき姿も見える。
ハイエースに出会いで沼にハマるのを覚悟した
「そっち方向に振らないでくださいよ! 今日はハイエースの話です(笑)」。
趣味でオフロードバイクに乗っていたある日、バイク屋から
「全日本戦に出ているライダーが遠方へ転勤になるので、トランポとして使っていたハイエースを手放す」
という話を舞い込んできた。見に行ってみると、それはディーゼルの4WD仕様。
「あ、やばい、完璧や……。これも出会いだなと譲ってもらって、乗り始めてから25年くらいになりますね」
登山、サーフィン、カヌー、キャンプ、ジェットスキー、MTBダウンヒル、ロードレース、スノーボードと、多趣味なヒラタさん。相棒としてはダブルキャブのハイラックスやサーフなど、スタイリッシュな4WDを選んできたが、心の中ではずっと
「やっぱりハイエースだよな」
とつぶやいていた。
「1度ハイエースを知ると、絶対に他のクルマには戻れないんじゃないか……なんて怖さがありました。でも乗り始めると、その予感は的中。ハイエースは僕のすべての欲求を満たしてくれる最高の相棒になりましたね」
周囲の反対を押し切ってオールペンを施す
増車は続くものの、ハイエースだけは乗り換えようと思ったことは1度もない。走行距離が29万キロに達したとき、ヒラタさんは全塗装を決断。
「そのとき周りからは『全塗装する価値あるの?』『まだ走れるの?』『新しいクルマを買えば?』と猛反対されました。だからコストをかけないように自分で塗ったんですが……難しいですね(苦笑)」
少し塗ったところで挫折しかけたところに救世主が現れる。同じ市内の自動車修理工場“ジェイズワークス”が
「これからもずっと乗るなら塗ってあげる」
と全塗装を引き受け、同時に不具合も修理してくれた。
「ほら、ここのウエザーストリップには僕が塗った痕跡が残っているんです。ジェイズワークスさんには『何もしないで持ってきてもらいたかった!』と言われました」
こうして新車のような外観を取り戻したハイエース。これからもヒラタさんと共に、数え切れないほどの遊びに付き合い、新しい思い出を刻んでいくことだろう。