米失業保険申請件数、約4年ぶりの大幅減-継続受給者数も減少
先週分の米新規失業保険申請件数は、約4年ぶりの大幅減となった。前週の急増が打ち消された形となり、経済全体でレイオフが低水準にある状況と整合している。
キーポイント- 新規失業保険申請件数(13日終了週)は前週比3万3000件減の23万1000件
- ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は24万件
- 前週は26万4000件(速報値26万3000件)に修正
- 失業保険の継続受給者数(6日終了週)は192万人に減少
- 前週は192万7000人(速報値193万9000人)に修正
新規失業保険申請件数は、前週は約4年ぶりの高水準に増加していた。週次の同統計は祝日を挟む時期に変動しやすくなり、前週の統計にはレーバーデーの週末が含まれていた。また増加の大半はテキサス州に集中しており、これについて州当局者は、不正申請の試みが原因だと指摘した。
テキサス州はこの日の統計で、前週の急増は卸売業や芸術・娯楽、医療、技術サービスなど複数の業種におけるレイオフを反映したと説明した。
新規失業保険申請件数の減少は、不透明な経済環境でも企業が労働者を維持していることを示唆している。それでも、ここ数カ月に見られる雇用増加ペースの著しい減速や労働需給の冷え込みなど、労働市場の軟化が進行している兆候も見られる。
年初から政策金利を据え置いてきた連邦公開市場委員会(FOMC)は、今週開いた定例会合で利下げを再開。その理由として、労働市場に軟化の兆しが強まっていることを挙げた。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は会合後の記者会見で、労働市場が「非常に堅調」だとは「もはや言えなくなった」と発言。FOMCの声明では、失業率について「やや上昇した」としたほか、「雇用の下振れリスクは高まった」と記した。
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ハイ・フリークエンシー・エコノミクスのチーフエコノミスト、カール・ワインバーグ氏はリポートで、「今回の統計は、レイオフが突然増加したとする先週のいかなる説にも疑問を投げ掛ける」と指摘。「またFOMCと市場の双方における、さらなる大幅利下げの要求を弱めることにもなる」と付け加えた。
週ごとの変動をならした新規申請件数の4週移動平均は、ほぼ変わらずの24万件。
季節調整前のベースでは、新規申請件数は先週に1万件余り減少。うち約半分はテキサス州によるものだった。このほかコネティカット州とミシガン州でも申請が顕著に減少した。
今回の統計ではその後、ノースカロライナ州のデータが誤って過少計上されていたことが分かった。
同州の失業保険継続受給者数は6日終了週にわずか205人と、同州での過去最低を記録。通常は2万人近くで推移している。
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ノースカロライナ州商務省が、件数の少なさは「技術的エラー」によるもので、実際は1万9355人だったことを明らかにした。
JPモルガン・チェースのエコノミスト、アビエル・ラインハート氏は今回の異常値を指摘していた。同氏は、訂正後の全米の数字は「過去数週間のレンジ内に収まる」と述べている。
統計の詳細は表をご覧ください。
原題:US Initial Jobless Claims Drop by Most in Almost Four Years、North Carolina Jobless Claims Understated Due to Technical Error(抜粋)
— 取材協力 Chris Middleton