米西部で記録的なペースの雪解け-新たな干ばつを招く恐れ
- 高温は5月25日から29日まで続く見込み-米気候予測センター
米国の西部一帯に広がる高温の影響により、積雪の融解が記録的な速さで進んでおり、水不足や山火事シーズンの早期到来が懸念されている。
米海洋大気局(NOAA)の全米統合干ばつ情報システム(NIDIS)によると、西海岸からマウンテンウエスト地域南部にかけての一部地域では、例年この時期に見られる積雪量の半分未満にとどまっており、場所によっては全く積雪がない。オレゴン州南部とカリフォルニア州北部の限られた地域だけが、平均以上の積雪量を維持している。
この地域では20年余りにわたり、干ばつが水不足や山火事を招く要因となっている。春の雪解け水の不足は、水力発電能力を低下させ、西部の主要な電力供給源に影響を及ぼす恐れがある。
昨冬はほとんどの地域で平年並みかそれ以上の降雪があったものの、急速な融雪でその大部分が蒸発。河川や渓流、貯水池に必要な融雪水が奪われた。
NIDISは、「この時期の雪解けは通常のことだが、これほど急速な融雪は異常だ」と指摘。「ネバダ州やコロラド州、ユタ州、ニューメキシコ州の一部の観測地点では、記録的な早期融雪が観測された」と述べた。
東部とは異なり、西部では冬の間に大半の水を確保しており、山間部の積雪が春から初夏にかけてゆっくりと溶けることで河川や貯水池を満たしている。この水が夏から秋にかけて飲料水や農業用水として利用される。
アリゾナ州とニューメキシコ州では、6月下旬から7月に始まるモンスーン期の降雨により、水資源が補われる傾向がある。予報によれば、今年は両州で平年並みの降水量が見込まれている。
米気候予測センターによると、高温は5月25日から29日まで続く見込みだ。米干ばつモニターによると、西部11州の陸地の半分強が干ばつ状態にある。
原題:Record Pace of Snowmelt in US West Threatens Another Drought(抜粋)