広島4発快勝の裏にある見逃せない地味なプレーとは 床田と末包の一投一打~岡義朗氏のベンチ目線

 「広島8-3楽天」(21日、マツダスタジアム)

 広島が一発攻勢で楽天を圧倒、勝率を5割に戻した。大盛の先頭打者弾とファビアンの2本塁打、菊池の2ランなどハデな勝ちっぷりだったが、デイリースポーツ評論家の岡義朗氏は床田と末包の地味な2つのプレーに着目。ベンチ目線で試合を追いかけ、的確な答えを導き出した両選手を評価した。

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 広島サイドの視点に立つと地味ではあるが、攻守にわたる2つのアウトに深い意味を感じた。そのひとつは四回一死一塁から床田が松井に犠打を許さず、スリーバント失敗に終わらせた場面だ。

 相手は投手。しかも打席経験のほとんどないパ・リーグの選手。次が好打者の村林であることも考えると、あそこは三振が絶対条件だった。

 楽天ベンチが代打を送らず打席に立たせた投手の松井に対し、バントを決められるわけにはいかなかった。

 その後、二死一塁から村林に四球を与えて一、二塁としたが、最終的にこの回を無失点で切り抜けた。

 すでに3点をリードしていたとはいえ、野球はたった1球で試合の流れが変わることがある。二回に4安打されて1点を失うなど、不安定な投球を続けていた床田だ。

 仮に簡単に送られていれば、あの状況で村林を申告敬遠するわけにもいかないだろうから、どんな展開を招いていたか分からない。そういう意味では守りの分岐点になったと言える。

 もうひとつは七回無死二塁から末包が見せた右打ち。結果、二直に倒れたが、あの姿勢は“買い”だ。

 すでに大差がついていたとはいえ、そこから打線が下がっていくため自分で返すことを優先しがちになるが“つなぐ姿勢”を失っていないように見えた。

 強引な打撃に走れば雑になる可能性があるし、それがアダとなって調子を崩す原因にもなりかねないからね。

 今年、末包が安定した成績を残している理由がよく分かるシーンでもあった。野球選手としての成長を感じるね。初回の適時打とも無関係ではないだろう。こういうきちっとした打撃をしていれば、波の少ない打者になれるはずだ。

 打線全体を見渡すと、この試合は高めの球に対して積極的に打ちにいっていた。恐らくベンチの指示だろう。大盛の初回、初球スイングによるホームランなど作戦通りだったに違いない。

 今の大盛には勢いがあるが、打撃の技術も確実に向上している。速球への対応策としてステップを早めに、コンパクトにして結果を出している。苦労してきた選手でもあり、このまま伸びていってほしいね。

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