山本尚貴と牧野任祐が語るプレリュードGTのファーストインプレッション「印象としてはシビック・タイプRとは違う」
スーパーGT ニュース
Ryuji Hirano / autosport web
10月1日、宮城県のスポーツランドSUGOでホンダ/HRCが、お披露目されたばかりの2026年からの新型GT500車両であるホンダ・プレリュードGTのプロトタイプをシェイクダウンしたが、ステアリングを握った山本尚貴と牧野任祐が初走行の感想を語った。
2026年からスーパーGT GT500クラスに投入されることになった新型プレリュードGTのプロトタイプは、9月30日にスポーツランドSUGOでお披露目され、10月1日にいよいよSUGOでシェイクダウンされた。9時30分からスタートした走行は、あいにくのウエットコンディションとなったが、まずは強い雨のなか牧野がドライブしコースインすると、次第にコンディションが好転していくなか、24周をこなし残り30分ほどで山本に交代。10周を走りシェイクダウンを終えた。
初走行を終え、「ウエットでのシェイクダウンとなりましたが、何点かアイテムを試すこともできましたし、順調なスタートになったと思います」と佐伯昌浩スーパーGTプロジェクトリーダーも安堵の表情をみせた。
GT500車両での初めての“走り出し”を担当した牧野は「僕が乗った途端に大雨が降り焦りました(苦笑)。何かあってはいけないと、緊張もなくなるくらい大変でした」と振り返ったが、「トラブルもなくスムーズにシェイクダウンを進められたので、ここまで準備をしていただき皆さん大変だったと思いますが、しっかり形になって良かったと思います」と語った。
「シビック・タイプR-GTと比べるとかなり見た目も違いますし、ひさびさの2ドアで、個人的には身長が大きい方なので、かなり乗り込みやすかった印象があります。ウエットのなかでしたが、テストできるものをしながら進めていくことができました」
今回シェイクダウンされたプレリュードGTのプロトタイプだが、今後2026年開幕に向けて空力等の開発が進められていくことになるが、現在のGT500規定のなかで作られており、根本の部分は変わらない。しかし牧野は「詳しいことはまだ言えませんが、持っているものの印象としては『違うな』と感じています」とシビック・タイプR-GTとは違いがあると語った。
「その違いをここからどう活かしていくかだと思っています。今までのNSX-GT、シビック・タイプR-GTで良かったところをすべて踏まえてこのプレリュードGTを開発していきたいですし、なんとしてもチャンピオンを奪還できるクルマを作っていけたらと思っています」
強い雨の中初コースインするホンダ・プレリュードGTのプロトタイプ
スポーツランドSUGOでシェイクダウンされたホンダ・プレリュードGTのプロトタイプ
一方、セッション後半を担当した山本は「このGT500規定になってからで言うと、6台目のシェイクダウンになります。NSXコンセプト-GT、FRになったNSX-GT、タイプSのNSX-GT、それにシビック・タイプR-GT、そしてプレリュードGTと、すべてのシェイクダウンに携わらせていただいていますが、今までと大きく違うのが走り始めでした」と語った。
「今回は本当の走り出しを牧野選手に担当してもらいましたが、ホンダとしての期待の現れだと思いますし、プレリュードになって、時代が移り変わっていく瞬間なのかな、と思いながら一日を過ごしました」
シェイクダウンの最初を牧野に任せ、セッション終盤をドライブすることになった山本だが、短いなかでの感想については「ウエットコンディションということもありましたし、フィーリングを語るには時期尚早で、いま多くを語ることはできません」という。
ただ一方で、2026年に向けてベース車両が変更されることについて山本はメリットも感じているという。「シビック・タイプR-GTは2シーズンを過ごして、来季からクルマをスイッチすることになりましたが、個人的には長く一台を煮詰めて速くすることも良さではあるものの、今のスーパーGTでは制限があり、あまり手を加えられないところがあります」と山本は語った。
「今のGT500クラスのルールのなかでは、ベース車両が変わることはかなり大きなことだと思っています。ホンダには新しいベース車両があり、また新しいクルマに乗れるワクワク感の方が少し大きいかな、と思っています」
「開発できる楽しみがありますし、そのクルマをしっかりと仕立て、来シーズン勝てるクルマをしっかり作り、レースチームに渡したときにそれぞれのパフォーマンスを発揮できる体制を築きたいと思っています。これまで蓄積したデータをプレリュードに注ぎ込み、手強いライバルの他社さんに勝てるようなベースを作りたいですね」
そして山本は目指したい開発の方向性のひとつとして、レースでの強さを挙げた。「NSXの頃から、一発は出せてもレースで逆転されることが多いのかな、と思っています。もちろんリクエストとしては伝えていますが、それを叶える目標が達成できていないので、ベース車両が変わるチャンスの年ですし、レースで強く戦えるクルマを一緒に作っていけたらと思います」と山本は言う。
「特に1号車(au TOM’S GR Supra)は常に上位に顔を出す戦いをしているので、ハードルは高いですがそれを目指し、超えていけるクルマを作っていきたいです」
2時間という短い走行、ウエットという状況ながら、まずは順調な“船出”をみせたプレリュードGTのプロトタイプ。今後、山本と牧野のふたり以外のドライバーもステアリングを握り、2026年シーズンに向けて開発が進められていくことになる。
シェイクダウンの走り出しはピットで見守った山本尚貴
スポーツランドSUGOでシェイクダウンされたホンダ・プレリュードGTのプロトタイプ
安藤未玖あんどうみく
2025年 / スーパー耐久 NATS GIRL