アメリカ、在イラク大使館の職員らを退避へ イランめぐり緊張高まるなか
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イラク・バグダッドの米大使館の職員と家族らが、安全面でのリスクの高まりから、一部を除いて退避する予定となっていると、政府関係者らが11日、明らかにした。
米国務省の職員は、「最新の分析に基づき、イラクでの任務を縮小することにした」とBBCに話した。
ロイター通信によると、ピート・ヘグセス米国防長官は、クウェートやバーレーンを含む中東各国について、米軍関係者の家族の自発的な出国を承認したという。
国防総省によると、イラクには米兵約2500人が駐留している。
政府関係者らは、何が今回の退避のきっかけなったのかは説明していない。ただ、ここ数日間、イランの核開発をめぐる協議が行き詰まっている。
また、BBCがアメリカで提携するCBSは11日、米当局者らの話として、イスラエルがイランへの作戦を開始する用意があると、米政府職員らは知らされたと報じた。
政府関係者らは、これが今回の退避勧告の理由の一部だとし、もしそうなればイランがイラクにある米軍施設に報復攻撃する可能性があるとの見方を示した。
ドナルド・トランプ米大統領は、イランの核兵器開発を止める協定を望んでおり、両国は数週間にわたり協議を続けている。
トランプ氏は11日、イランがウラン濃縮を止めることへの確信が薄れてきていると述べた。
また、中東の複数地域からの職員の退避を決めたとされることについて記者団から質問されると、「危険な場所になるかもしれないので移動させている。様子をみる」と答えた。
トランプ氏は今週初め、イランに対して外交よりも軍事的なアプローチを長年主張している、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と40分間、電話で協議した。協議は「緊張感のある」ものだったとされる。
核協議が重大な局面にあるなか、今回のアメリカの動きが、何らかのサインを送ろうとするものなのか、それとも現実の懸念を反映したものなのか、はっきりしない。
イランのアジズ・ナシルザデ国防相は、協議が不調に終わり、トランプ氏がイランに対する軍事攻撃を命じた場合、イランは中東地域の米軍基地を報復攻撃すると述べた。
米国防総省は11日、議会の委員会で、イランが「核兵器によく似たもの(の開発)に向かっている」ことを示す「多くの兆候」があるとした。
イランは、ウラン濃縮プログラムは民生用の電力をつくり出すためのものであり、核爆弾の製造を目指してはいないとしている。
英王立海軍の傘下にある英海運貿易オペレーション(UKMTO)は11日、中東における軍事的緊張の高まりが、海運に影響を及ぼす恐れがあると警告を発した。
中東からの米関係者退避のニュースが流れると、地域の不安定化が石油の供給に影響を与えるとの見方から、石油価格は当初4%以上、上昇した。