【和島英樹のマーケット・フォーキャスト】─10月相場は堅調ながら短期調整を警戒、総裁選・日米業績動向が焦点に
日経平均株価の予想レンジは4万4000円~4万7000円。
10月4日に投開票が行われる自民党総裁選では、小泉進次郎農林水産相と高市早苗前経済安全保障担当相が優位と見られるが、足元で林芳正官房長官が浮上しつつあるとも報じられている。高市氏は「責任ある積極財政」を打ち出し、経済拡大のために成長投資を強化する方針を明確にしている。小泉氏、林氏はどちらかといえば財政規律を重視する姿勢に見える。高市氏が次期総裁に決まれば株式市場は堅調を継続、その他の候補になれば目先は調整色が強まる可能性が高い。小泉氏には政策推進能力を懸念する声も聞かれる。 主なスケジュールは、米国で1日にISM製造業景気指数、3日に雇用統計、ISM非製造業景気指数、8日にFOMC(連邦公開市場委員会)議事録、15日にCPI(消費者物価指数)、16日に小売売上高、24日に製造業PMI、29日にFOMC結果発表などとなっている。下旬からは7-9月期の決算発表が集中する。注目は雇用統計で、データ次第では利下げピッチなどに影響する可能性がある。29日のFOMCでは0.25%の利下げが予想される。なお、次回のFOMCは12月9~10日の予定である。 日本では1日に日銀短観、30日に日銀金融政策決定会合の結果発表など。日銀短観では大企業製造業の景況判断のほか、企業業績、設備投資動向などをチェックしたい。また、前回の金融政策決定会合は現状維持だったが、賛成7名に対し反対が2名いた。今回も据え置きとみられるが、利上げ観測も徐々に広がりつつある。 下旬からは国内上場企業の7-9月期の決算発表が本格化する。米関税の影響などを踏まえて、株式市場では業績動向への関心が高い。日経平均株価のPER(株価収益率)は18倍程度と過去の高値圏にあり、1株利益の伸びがあるかに注目したい。その点で、3月期決算企業で第1四半期(4-6月)の通期営業利益予想に対する進捗率が高かった企業をチェックしておきたい。具体的には、ワコールホールディングス <3591> [東証P]、ぴあ <4337> [東証P]、石油資源開発 <1662> [東証P]、鉄建建設 <1815> [東証P]、日本トムソン <6480> [東証P]、山一電機 <6941> [東証P]、日本農薬 <4997> [東証P]、かどや製油 <2612> [東証S]、三井不動産 <8801> [東証P]、大成建設 <1801> [東証P]、芝浦メカトロニクス <6590> [東証P]、コメリ <8218> [東証P]などが該当する。
●押し目買いの機うかがうコンテンツ関連、短期で銅関連にも目配り物色動向では引き続き 半導体が外せないが、ICチップ切り出し以降の「後工程」関連だけでなく、前工程銘柄に人気が広がってきている。半導体線幅2ナノ(ナノは10億分の1)メートル半導体を開発しているインテル<INTC>に、エヌビディア<NVDA>が出資を決めたことが材料視されている。インテルは半導体設計・製造を手掛ける。2ナノに不可欠なEUV(極端紫外線)欠陥検査装置のレーザーテック <6920> [東証P]のほか、コーター・デベロッパー(塗布・現像)装置などの東京エレクトロン <8035> [東証P]、ウエハ洗浄装置のSCREENホールディングス <7735> [東証P]、超純水装置の野村マイクロ・サイエンス <6254> [東証P]、プローブカード(検査器具)の日本マイクロニクス <6871> [東証P]など。後工程でも相対的に出遅れ感があるディスコ <6146> [東証P]、TOWA <6315> [東証P]にも妙味がある。
AI(人工知能)データセンター関連では、ソフトバンクグループ <9984> [東証P]、フジクラ <5803> [東証P]も依然として先高期待が大きいほか、データセンターで大量に使われるMLCC(積層セラミックコンデンサ)関連の村田製作所 <6981> [東証P]、太陽誘電 <6976> [東証P]、TDK <6762> [東証P]の値動きが軽快だ。
一方、やや調整気味のコンテンツ関連ではサンリオ <8136> [東証P]、任天堂 <7974> [東証P]、コナミグループ <9766> [東証P]などは押し目買いのタイミングをうかがっている。また、高市氏が次期総裁になった場合、インフレ気味の政策になることが予想され、景気刺激でメリットのある三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]、三井住友フィナンシャルグループ <8316> [東証P]、みずほフィナンシャルグループ <8411> [東証P]などの金融株や、三井不動産 <8801> [東証P]、三菱地所 <8802> [東証P]、ヒューリック <3003> [東証P]の不動産株などに注目したい。
また、短期的には世界有数の銅鉱山であるインドネシアのグラスバーグ鉱山で事故が発生し、操業停止になっている。需給ひっ迫観測から銅価格が上昇しており、関連としては住友金属鉱山 <5713> [東証P]、日鉄鉱業 <1515> [東証P]、三井金属鉱業 <5706> [東証P]、三菱マテリアル <5711> [東証P]などが浮上している。
(2025年9月25日 記/次回は11月2日 配信予定) 株探ニュース