ベッセント長官、パウエル議長が今辞任すべき理由見当たらない
ベッセント米財務長官は22日、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長について、今辞任すべき理由は見当たらないと述べた。トランプ政権関係者の批判の標的となっているパウエル氏に対して支持を示した格好だ。
「パウエル氏が今辞任すべきだと思われる要素は何もない」とFOXビジネスで発言。「5月の任期まで務めたいのであれば、そうすべきだし、任期前の退任を望むのであれば、そうすべきだ」と語った。
トランプ大統領はかねて、関税によるインフレ再燃への懸念から、政策金利を維持するパウエル氏の政策運営を非難してきた。今月に入り複数の共和党議員も、多額のコストを伴うFRB本部改修計画を問題視し、パウエル氏に批判の矛先を向けている。
トランプ氏は同日、パウエル議長への批判を再び展開。「パウエル氏はひどい仕事をしてきたが、いずれにせよもうすぐ退任する。8カ月以内にはいなくなる」と述べた。また米政策金利は現行水準より3ポイント低くあるべきだと改めて主張した。
同じく大統領執務室で行われたイベントに同席していたベッセント長官は、「昨秋の利下げの動きを踏まえれば、FRBは今利下げを行うべきだ」と述べた。
ベッセント氏は21日、本部改修を含め、金融政策以外のFRB活動について内部調査の実施を求めた。この日は「FRBには本来の任務から逸脱した役割が加わっており、そうした部分に多くの支出が向けられている」とホワイトハウスで述べた。
FOXビジネスのインタビューでは、「パウエル氏、および同氏の遺産にとって、FRBの非金融政策機能の適正化を図る大きな機会だ」と、ベッセント氏は指摘。一方、金融政策については「脇に置いておくべきで、宝石箱の中にしまっておくべきものだ」と強調した。
その他の取り組みに関しては、FRBは「拡大を続けてきた。監視がない場合に起こることであり、予算の制約を受けないためだ」とベッセント氏は指摘。「FRBは紙幣を印刷して使うだけで、徹底的な見直しを行うべきだと思う」と述べた。
FRBのコスト
「世界的な金融危機以降、FRBは『機能獲得型の金融政策』を行ってきた。その結果、支出が大幅に増加した」と指摘。対照的に、財務省は昨年、「支出を約17%削減した」とベッセント氏は述べた。
トランプ大統領は先週、パウエル議長の解任の可能性について問われ、「何も排除しない。不正行為で辞任する必要がある場合を除き、その可能性は非常に低い。改修計画に不正が関与している可能性はある」と述べていた。
パウエル議長は先週、FRB本部改修工事の費用見積もりの増加を巡り、ホワイトハウスのボート行政管理予算局(OMB)局長による批判に反論した。
パウエル氏のFRB議長としての任期は5月に終了するが、理事としての任期は2028年1月まで残っている。議長の任期終了後に完全にFRBを去るかどうかについて、同氏は明言を避けている。ベッセント氏は先週、パウエル氏は議長に加え、理事からも退くべきとの考えを示唆していた。
エラリアン氏「辞任すべき」
この日は、かつてパシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)の最高経営責任者(CEO)を務めたモハメド・エラリアン氏の発言が市場関係者の注目を集めた。
「FRBの運営上の独立性を守ること」がパウエル氏の目標であるならば、辞任すべきだとソーシャルメディアに投稿。「これがコンセンサスではないことは承知している。5月までの任期を全うすべきとの意見が主流だ」とエラリアン氏は述べた。
一方、サマーズ元財務長官は大きな誤りだとしてこれに反論。
「パウエル氏が圧力に屈して辞任することが、FRBの独立性に資するとの考えは非常に間違っている」とブルームバーグテレビジョンで発言。「仮にFRB議長が大統領のいいなりの存在になれば、金融政策におけるFRBの独立性は失われる」と語った。
原題:Bessent Sees No Reason for Powell to Step Down From Fed Now (3)(抜粋)