ロシア、アフガニスタンのタリバン政権を承認 世界で最初

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画像説明, タリバン政権のアミール・カーン・ムタキ外相。3日にロシアの駐アフガニスタン大使と会談した

ロシアは、アフガニスタンのイスラム主義勢力タリバンの暫定政権を正式に承認した。ロシアの駐アフガニスタン大使が3日、タリバン政権の外相に伝えた。同政権を承認した国は初めて。同政権のアミール・カーン・ムタキ外相は「勇気ある」決定だとたたえた。

ロシア外務省は声明で、「アフガニスタン・イスラム首長国の政府を公式に承認する行為は、私たち両国の生産的な協力関係の発展に弾みをつけると信じている」とした。

また、ロシアは「エネルギー、輸送、農業、インフラ」分野での「商業および経済に関する」協力の可能性に注目していると説明。テロの脅威や麻薬密売との戦いでも、引き続きアフガニスタンを支援するとした。

ロシアは、タリバンが政権に復帰した2021年に、アフガニスタンの大使館を閉鎖しなかった数少ない国の一つ。

2022年には、ロシアはタリバンと国際経済協定を結んだ最初の国となり、石油、ガス、小麦をアフガニスタンに供給することで合意した。

ロシア外務省によると、ロシアは今年4月、タリバンのテロ組織指定を解除した。アフガニスタンとの「本格的なパートナーシップ」へ向けて道を開くのが狙いだとした。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領も昨年7月、タリバンを、テロとの戦いにおける「同盟者」だと呼んだ。

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画像説明, 政権復帰3周年を祝うタリバンのメンバーら(2024年)

ロシアとアフガニスタンの間には、複雑な歴史がある。1979年には当時のソヴィエト連邦がアフガニスタンに侵攻した。戦争は9年にわたり、ソ連兵の死者は1万5000人に上った。

この侵攻では、ソ連は自分たちが支える政府をカブールに樹立すると決定し、国際社会で孤立した。ソ連は結局、1989年2月にアフガニスタンから撤退した。

タリバン政権のムタキ外相はこの日、ロシアのドミトリー・ジルノフ駐アフガニスタン大使とカブールで会談した。

ジルノフ大使から政権の承認を伝えられると、ムタキ外相は「前向きな関係、相互尊重、建設的な関与の新たな段階」を示す動きだとした。また、他国にとって「模範」になるとした。

タリバンは2021年8月に政権に復帰。以来、アフガニスタンでの人権侵害の増加が報告されるなか、政権に対する国際的な承認と投資を求めている。

西側各国の政府や人道支援団体は、タリバン政権を非難している。シャリア(イスラム法)で成人女性と少女に厳しい制限を課していることを、特に問題視している。

女性はここ4年間で、中等教育や高等教育を受けることや、男性の付き添いなしでの外出が禁止された。厳しい服装規定にも縛られている。

法律は厳しさを増している。最近では、女性が自宅の外で話すことを禁止する「美徳」法が制定された。

国連は、こうした規則が「ジェンダー・アパルトヘイト(性別による差別)」に当たると指摘している。元政府関係者らに対する公開むち打ちや残忍な攻撃についても報告している。

国連安全保障理事会は2021年、アフガニスタンに厳しい制裁を科し、約90億ドルの資産を凍結するなどした。

中国、アラブ首長国連邦、ウズベキスタン、パキスタンはいずれも、カブールに自国大使を駐在させている。

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