台風9号、花火大会などイベント中止・延期相次ぐ…夏休み本番で家族連れ「残念」

 8月に入って初めての週末となった2日、台風9号が関東地方に接近した。大きな被害は確認されていないものの、暴風や高波の影響があった太平洋側では花火大会など「夏のイベント」の延期や中止が決まり、夏休み本番を迎えた地元の人たちからは残念がる声が聞かれた。離島の宿泊施設では、津波警報が発表された7月末に続き、キャンセルが相次いだ。(駒崎雄大、竹田章紘)

うねる水面

 関東平野の最東端に位置する千葉県銚子市。市などの実行委員会が主催する「銚子みなとまつり花火大会」は、毎年8月の最初の週末に開かれる一大イベントだ。太平洋に注ぐ利根川に浮かべた台船から打ち上げられる8000発を目当てに、7万人の人出でにぎわう。

台風が近づき、水面(みなも)がうねる利根川を背に、花火大会の延期を説明をする千葉県銚子市の職員(1日午前)

 今年も2日に開催される予定だったが、1週間後の9日に開かれることになった。台風9号が接近する可能性が判明した先月30日、早々に延期を決めたという。

 同市では1日午前、既に強い風が吹き、利根川の 水面(みなも) もうねっていた。市観光商工課の石毛里美さん(37)は「多くの人が楽しみにしてくれているが、安全が第一で、やむを得ない判断だった」と語った。

花火大会のポスターには延期を告げる貼り紙が重ねられた(1日午前、千葉県銚子市役所で)

 小学生の娘2人と「大きな花火を見ようね」と「みなとまつり」を心待ちにしていた同市のパート従業員(29)は「残念だけど、9日は良い天気になり、にぎやかな花火大会になってほしい」と期待を込めた。

 2日に予定されていた花火大会ではこのほか、神奈川県茅ヶ崎市の「サザンビーチちがさき花火大会」や同県横須賀市の「久里浜ペリー祭」が中止に。同県真鶴町でも伝統行事「岩海岸夏まつり」が中止になった。

 一方、東京都板橋区の「いたばし花火大会」や江戸川区の「江戸川区花火大会」、栃木県足利市の「足利花火大会」などは予定通り2日に行われるという。

「もう今年の夏は終わった」嘆く子供ら

 台風9号は東京と伊豆諸島を結ぶフェリーの運航にも影響を及ぼした。離島では先月末発表の津波警報も重なり、スポーツチームなどの合宿のキャンセルに見舞われている。

 スポーツクラブ「GONA」(東京都福生市)は先月29日から今月2日の予定で、約160人の中高生らで八丈島を訪れ、4か所の民宿に分かれてサッカーなどの合宿を企画していたが中止を決めた。

 代表の男性(50)は「八丈島合宿は今年で10周年を迎えるはずだった。島の人たちとの交流を楽しみにしていた子どもたちも『もう今年の夏は終わった』と嘆いている」と話した。

 島にある民宿「椿荘」では、GONAの一部のメンバーを含め、サッカーチームの子供たちや観光客ら計約110人の予約が入っていたが、全てキャンセルに。宿を営む佐藤 朱寿香(あすか) さん(51)は「書き入れ時に大きな痛手。それよりも、夏休みに毎年島に来てくれる人たちと会えないのが本当に悲しい」と残念がった。

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