あなたの愛犬は本当に「おもちゃ依存症」かもしれない、強い傾向を示した犬種や性質は?(ナショナル ジオグラフィック日本版)
人間の依存症には2つの側面がある。1つは、特定の刺激(薬物やギャンブルの興奮など)に対する渇望および強迫的な行動と、報酬を得たときの気分の変化。もう1つは、その刺激が取り上げられたときに現れる禁断症状のような感覚だ。 「依存症とは、長期的には悪影響をもたらす行為をやめられない状態です」とリーマー氏は言う。 イヌのおもちゃ遊びについて、そのようなことはあるのだろうか? この疑問に答えるため、リーマー氏のチームは、生後12カ月から10歳までのイヌ105匹(オス56匹、メス49匹)を対象に14種類のテストを実施した。研究には、シェパード、テリア、レトリーバーなど、さまざま犬種が参加した。 あるテストでは、イヌたちは、箱の中や棚の上など手の届かないところにあるお気に入りのおもちゃと、別の種類の報酬(食べ物や飼い主との遊び)のどちらかを選ばされた。 「おもちゃ依存症」に見えるイヌは、そのおもちゃに執着し、提供された報酬には見向きもせずに、おもちゃが入っている箱を壊そうとしたり、おもちゃが置かれた棚に注意を向けつづけたりした。 別のテストでは、実験室にあるおもちゃや食べ物などをすべて片付けた後、イヌが落ち着くかどうかと、どのように落ち着いていくかを分析した。より依存症的な行動を示したイヌたちは、テストの間中ずっと室内を歩き回っていたとリーマー氏は言う。「彼らはおもちゃが運びされたドアや、最初におもちゃが入っていた棚に注意を向けつづけていました」 分析の結果、彼らが調べたすべての犬種の中で依存症に似た行動のスコアが最も高かったのは、ジャーマン・シェパードやベルジアン・シェパードなどだった。シェパードは、家畜の護衛、警察活動、捜索・救助など、高い集中力を必要とする仕事のために作出された犬種だ。高い集中力を発揮するためには、しつこさと強いモチベーションがなければならない。 これらの特性は、働くイヌにとっては望ましいものであるが、極端な場合、依存症のような行動につながる可能性があり、好ましくない影響を及ぼすかもしれない。例えば「報酬を得られなかったときに強い欲求不満を示すイヌは、明らかに幸福度が下がります」とリーマー氏は言う。「それは健康的ではありません」 研究チームは、特定の犬種との関連から、依存症に似た行動には強い遺伝的要因があるのではないかという仮説を立てた。リーマー氏は、「これはそもそもイヌという動物の特性であるようにも見えます」と言う。