NASA長官に富豪のアイザックマン氏、トランプ大統領が再指名

トランプ米大統領は4日、イーロン・マスク氏と近い関係とされる実業家で宇宙飛行士のジャレッド・アイザックマン氏を米航空宇宙局(NASA)長官に再指名した。トランプ氏はマスク氏の関係が悪化する中で、5カ月前にアイザックマン氏の指名を撤回していた。

  ここ数週間、NASA長官人事を巡る混乱が続いていた。月面着陸計画でスペースXの大型ロケット「スターシップ」の開発が遅れる中、NASA長官代行のダフィー運輸長官は契約をスペースX以外にも開放する手続きを進めていると表明。これに反発したマスク氏はX(旧ツイッター)への投稿でダフィー氏への非難を続けていた。

  トランプ氏はSNSへの投稿で「卓越した経営者で慈善家、パイロット、そして宇宙飛行士でもあるジャレッド・アイザックマン氏をNASA長官に指名できることをうれしく思う」と述べ、「ジャレッドの宇宙への情熱と宇宙飛行士としての経験、宇宙探査の限界を押し広げ、宇宙の神秘を解き明かし、新たな宇宙経済を発展させることへの献身は、NASAを大胆な新時代へと導くのに最適だ」と称賛した。

  ブルームバーグは先月、アイザックマン氏がトランプ、ダフィー両氏による面接を受けたと報じた。トランプ氏はダフィー氏についても「長官代行として素晴らしい仕事をした」と評価した。

  アイザックマン氏はXへの投稿でトランプ氏に指名への感謝を示し、ダフィー氏にもNASAの指揮を執ってきたことについて謝意を表した。その上で、「道のりは決して容易ではないが、宇宙で大胆かつ大きな挑戦を試み、それを成し遂げるというほぼ不可能なことを達成し、再び世界を鼓舞すべき時が来た」と述べた。

  アイザックマン氏の広報担当者はブルームバーグの取材に対し、この投稿を参照するよう求めた。

  連邦選挙委員会(FEC)の資料によると、富豪でもあるアイザックマン氏はここ数カ月、NASA長官就任を目指し働きかけを強めており、トランプ氏を支持する団体に100万ドル(約1億5400万円)超を寄付していた。トランプ氏は以前、アイザックマン氏が民主党にも献金していたことを理由に指名を取り下げていた。

  NASAに今回の再指名についてコメントを求めたが、すぐに返答はなかった。

  指名が上院で承認されれば、決済処理会社シフト4ペイメンツのエグゼクティブチェアマンでもある同氏は、スペースXとのつながりと、マスク氏の競合企業とのNASAの業務とのバランスをどう取るかという課題に対応することになる。

上院の指名承認公聴会に出席したジャレッド・アイザックマン氏(2025年4月9日)

原題:Trump Revives Billionaire Isaacman’s Nomination to Top NASA Job(抜粋)

— 取材協力 Sana Pashankar

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