「踊る」再始動に「世界陸上」再登板…「織田裕二」忘れられた俳優からの巻き返しなるか〈マツコの知らない世界きょう出演〉

織田裕二(写真:西村尚己/アフロスポーツ) この記事の写真をすべて見る

 26日放送の「マツコの知らない世界」(TBS系・よる8時55分)は、「世界陸上直前SP」として織田裕二とサニブラウン アブデルハキーム選手が、人類最速を決める「100m走の世界」を徹底解説。わずか10秒で勝負が決まる「100m走」の知られざる戦略と計算、レース観戦がもっと面白くなるポイントを紹介していく。世界陸上のスペシャルアンバサダーを務める織田裕二にまつわる記事を再掲する(「AERA dot.」に2024年12月23日に掲載されたものの再配信です。本文中の年齢、肩書等は当時のもの)。

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 シリーズ累計興行収入500億円を誇る人気刑事シリーズ「踊る大捜査線」では、今年12年ぶりにプロジェクトが復活し、「室井慎次 敗れざる者」「室井慎次 生き続ける者」の2部作が公開された。そしてついに、主役である織田裕二(57)演じる青島俊作をメインに据えた本編の最新映画「踊る大捜査線 N.E.W.(エヌ・イー・ダブリュー)」の2026年公開が発表された。

「1990年代、衰退の一途をたどった邦画界を救ったのが『踊る』シリーズでした。この頃、洋画は邦画の約1.8倍の配給収入を上げており、邦画界は虫の息だったのです。現在では邦画の興行収入は洋画を抜いています。両者の勢いが逆転した転換点となったのが、『踊る』シリーズでした。1997年、ドラマシリーズとしてスタートした『踊る~』の映画化を提案したのは織田でした。すでに『東京ラブストーリー』でブレークし、数々のトレンディードラマで名を残してきた織田が、最終回が視聴率20%を超えたら映画化してほしい、とプロデューサーに頼み込んだのだという逸話があります」(映画ライター)

 ドラマで盛り上がったファンたちが熱量そのままに映画館になだれ込み、映画化は大成功。劇場版第一弾「踊る大捜査線 THE MOVIE」(1998年)は、前代未聞の大行列となり興収は100億円を突破。5年後、第二弾では興収173億を記録し、邦画の実写映画興収歴代1位の座を20年以上守り続けている。しかし、織田は2000年代以降、徐々に露出が減っていくことになる。

「数々のトレンディードラマで名をはせ、当時の名だたる敏腕テレビマンたちから重宝されたことで、織田さんは若くして大御所となってしまいました。織田さんの演技に対するこだわりの強さやストイックさに周囲がついていけなくなり、結果的に起用しづらくなったと言われており、出演作は激減していきます。“青島刑事”という当たり役に縛られたという理由もあるでしょう。ここ数年は賛否の分かれる役も多く、目立ったヒット作もありませんでした。昨夏には30年ぶりに主役以外で出演したドラマ『シッコウ!!〜犬と私と執行官〜』が話題となりましたが、ドラマ自体はそれほど盛り上がらなかった。『踊る』の全盛期から20年以上がたち、20代はもちろん30代でも『誰?』と思う人は少なくないようです」(テレビ情報誌の編集者)

 こうした中、今年3月に「踊るプロジェクト」再始動が伝えられた。当時、誰もが「織田裕二=青島刑事」の帰還を期待したが、先に公開されたのは室井慎次2部作だった。


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映画「踊る大捜査線 THE FINAL」の公開イベントに参加する織田裕二(後ろ)と柳葉敏郎(2012年)

「SNSを中心に青島刑事のカメオ出演があるのではないかとファンが登場を心待ちにしていましたが、『生き続ける者』で終盤に織田が出演することが正式に発表されました。ファンは歓喜しましたが、出演を決意した織田に対して心配な点もあります。織田と青島刑事は『同い年』という設定。つまり、新作映画が公開される2026年には59歳になるのです。これはシリーズでいかりや長介が演じた、いぶし銀の先輩・和久刑事と同年代。さすがにそんな年齢の青島刑事を若い時のように暴れまわらせるのは難しいと、製作陣が頭を悩ませているという報道もありました。実際、SNS上には『ベテランどころか定年間際じゃん』『10年遅かった』『体動くのかな?』など、不安を吐露しているファンもいました」(前出の映画ライター)

 織田本人は以前、完結編となった劇場版第4弾公開時のインタビューで「青島が和久さんぐらいの年齢になって、定年を迎える頃ってどんな感じだろうと思っていた」と語っている(「ORICON NEWS」2012年8月4日配信)。自分と同じ生年月日の青島刑事の将来に思いをはせたこともあったようだが、ファンの不安を払拭(ふっしょく)するような演技を披露できるのだろうか。

 一方、織田に関して「今、追い風が吹いている」というのは女性週刊誌の芸能担当記者だ。

「この10年ほど、俳優業は年に1作品以下と寡作でしたが、一方でMC業では株が爆上がりしています。1997年から13大会にわたってメインキャスターを務めた『世界陸上』も来年にアンバサダーとして再登板することが決まっています。また2020年から続くNHKのドキュメンタリー『ヒューマニエンス』シリーズのMCも業界内での評価が高い。加えて近年、Z世代を中心とした平成レトロや平成リバイバルの流れがも見逃せません。トレンディードラマの金字塔『東京ラブストーリー』でブレークした織田さんですが、先日急逝した中山美穂さんとの共演で話題になったバブルの象徴的映画『波の数だけ抱きしめて』とドラマ『卒業』でも主演を務めています。バブル末期=平成初期に全盛期を迎えていた織田さんは、リバイバルに乗って時代の真ん中に返り咲く可能性も十分あると思います」


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織田裕二
2025/08/26/ 21:00
「踊る大捜査線 THE FINAL」の新作披露試写後のあいさつで、「これでさよならです」と涙ぐむ織田裕二(中央、2012年)

 芸能評論家の三杉武氏は織田についてこう期待を寄せる。

「織田さんは吉田栄作さん、加勢大周さんとともに“トレンディー御三家“と呼ばれて多くの女性ファンを魅了していました。当たり役である『踊る』シリーズの青島俊作役や『世界陸上』のハイテンションなキャスターぶり、出演していた目薬のCMなどから、とかく熱血漢のイメージを持たれがちですが、『振り返れば奴がいる』では悪役を演じたり、『お金がない!』ではコミカルな演技を披露したり、また『SUITS/スーツ』ではスマートな敏腕弁護士を演じたりと、ドラマにおいてその演技の幅の広さは特筆すべきものがあります。『踊る大捜査線 N.E.W.』でも、きっと世界観に合った素晴らしい演技を披露してくれるはず。年を重ねた青島刑事を令和の時代に織田さんがどう演じるのか、非常に興味深いところです」

 若い世代には知名度がないと言われた織田だが、「踊る」シリーズで再びブレークするかもしれない。

(雛里美和)

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ライター。新宿・十二社生まれの氷河期世代。語学系出版社から邦ロックシーンを牽引するライブエージェント(イベンター)を経て、独立。教育からエンタメまで幅広い分野で活動する。
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