「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発される中国のスパイ、今度はギリシャで御用(ニューズウィーク日本版)

ヨーロッパ各国は、中国のスパイに頭を悩ませている。 ノルウェーの情報機関は2024年、中国は「欧州全域」に高度なスパイ網を展開しており、「外交官、旅行代表団、個人、企業、特定利益団体」といった中国の民間関係者の支援を受けていると警告していた。 【動画】中国のスパイ容疑で逮捕されるギリシャ空軍のクリストス・フレッサス大佐 実際、ここ数週間、ヨーロッパ各国でスパイの摘発が相次いでおり、その摘発はついに高位の軍幹部にも及んだ。 ギリシャ空軍のクリストス・フレッサス大佐は、現金と引き換えにNATOの極秘軍事計画を中国に漏洩したとしてスパイ容疑で拘束された。現在、裁判が行われるまで18カ月間の停職処分とされている。有罪となれば、終身刑に処される可能性もある。 フレッサスは自身をNATOの認証を受けた豊富な経験を有する通信将校であるとオンライン上で紹介している。ギリシャ西部パトラスのカボウリ地区にある軍事基地で訓練飛行隊を率いていたが、2月5日に逮捕され、2月10日に出廷した。 現地メディアによると、ギリシャの情報機関、国家情報庁は、CIAからの情報提供を受け、4カ月かけてフレッサスに対する捜査を進めていたという。 本誌は中国外交部および米国務省にコメントを求めている。

フレッサスはその立場上、ギリシャのみならず、アメリカやNATOの航空機に関する機密情報にアクセスできたとみられる(米空軍は、ギリシャ東部のラリサ空軍基地からMQ9リーパー無人機を運用している)。 フレッサスは、自身は罠に嵌められた被害者だと主張した。「私は知らない間に関与させられていた。それが結果的に、悪夢のように危険で違法な事態へと発展してしまったのだ」 しかし、ギリシャ軍は軍事機密関連法令に違反する犯罪行為についての「明白な証拠」があるとしている。 ギリシャのニュースサイト『リアルニュース』によると、フレッサスは、最初にリンクドインのプロフィールを通じて接触してきた男性に勧誘されたとみられている。2人はヨーロッパで開かれたNATO会議の場外で面会した。その後、フレッサスは、機密情報を撮影、暗号化したうえで、中国に送信できる装置を渡されたという。 現地メディアによると、メッセージ1件ごとに金銭を受け取れることになっており、デジタル決済を含む外国通貨で最大1万7500ドル相当が支払われたという。フレッサスは容疑を法廷で認めたと報じられているが、2024年にプライベートな旅行で中国を訪れた際に、スパイ行為を強要されたと述べた。 中国とギリシャの関係に亀裂が? フレッサスはリンクドイン上で、ギリシャ空軍将校として30年にわたる豊富な経験を有し、「産業、重要インフラ、通信、金融、航空、海運分野に対するサイバーセキュリティの影響を探究すること」に関心があると記している。 リアルニュースによると、フレッサスは逮捕当時、第128通信電子訓練飛行隊を率いていた。大量の機密データを送信する直前に逮捕されたという。 ギリシャの放送局ERTは、ギリシャの情報機関が、スパイ網におけるハンドラー(スパイを統括する役割の者)であった可能性のある、民間人とされる女性も捜索していると報じた。 フレッサスは8時間に及ぶ審理でハンドラーの名前を挙げたと報じられているが、偽名とみられている。有罪となれば、彼はコリントスの軍事拘禁施設に送られる可能性がある。 CIAやDIA(国防情報局)で職員だった経歴を持ち、現在ペンシルベニア州立大学ハリスバーグ校で教鞭を執るニコラス・エフティミアデスは、英紙『ガーディアン』に対し、「今回の事件は、中国がギリシャおよび他のNATO加盟国の軍事通信インフラに浸透しようとする意欲と能力を示している点で重要だ」と指摘した。 「各国は戦争で優位に立つために他国の軍隊をスパイする。友好や経済的関与に関するあらゆる宣言にもかかわらず、中国は世界中の民主主義国家に対する脅威として進化し続けている」 事実、ギリシャと中国の関係は比較的良好と見られていた。ピュー・リサーチ・センターによると、両国関係は概して良好である上、ギリシャ国民からは、アメリカよりも中国に対して好意的な見方が示されることが多いという。 しかし、今回の事件によって両国関係に亀裂が入る可能性がある。

ニューズウィーク日本版
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