そりゃ移民が「移民排斥」のトランプを支持するわ…日本の3倍の速さで進むアメリカのしんどすぎる格差(プレジデントオンライン)|dメニューニュース

(写真=Max Goldberg/CC-BY-2.0/Wikimedia Commons) - 写真=Wikimedia Commons

PRESIDENT Online 掲載

第2次トランプ政権になってアメリカ人の生活は良くなったのか。朝日新聞GLOBE編集部記者の金成隆一さんは「都市部と地方の格差は日本の比にならないくらい広がっている」という。『世界の大転換』(SB新書)より、東京大学准教授の小泉悠さんとの対談を紹介する――。(第4回)

■中国製品なしには生活できないアメリカの地方

【金成】第2次トランプ政権になったわけですが、「トランプによって生活がよくなるか」「将来設計ができる環境になるか」というと、怪しいとはもちろん思います。関税問題はその象徴となるかもしれません。地方で暮らすミドルクラスの家は大きく、モノがあふれています。一度手当たり次第にひっくり返して生産地を調べたことがあるのですが、中国やメキシコなどからの輸入品が圧倒的に多い。

私の知る限りでは、アメリカの地方に行くと、どの町に行っても金太郎アメみたいに似た風景のところがあり、「ダラーストア」、いわゆる100円ショップが並んでいます。そこで売っているのは中国製や南アジア製、中南米製が多く、スーパーにもメキシコなど中南米産の野菜や果物がある。要は「貿易なしでは今の暮らしを支えられない」という状況が何十年と続いてきたのに、強硬姿勢一辺倒の関税政策はあり得ない。

さすがにトランプも気づいて、最初はぶちかましたものの猶予期間をつくったり、中国と部分的に手を握ったりしていますね。でも、支持者は、アメリカの国内産業を守るためにトランプが本気で取り組んでくれている、こんな大統領は初めてだ、と喜んでいる。

2025年の夏休みもラストベルトで取材してきましたが、トランプを大統領に押し上げた白人の労働者層は、おおむね満足していました。これがどうも白人だけではなさそうだということもわかってきました。

■ヒスパニックなのにトランプを支持

【金成】2025年の2月にテキサス州のヒスパニック労働者の取材に行ってきたんですが、その地域も2024年11月の大統領選でトランプ支持に変わったんです。「あれ? これまでの教科書的な理解が崩れ始めているんじゃないか」と思いました。

これまで私はどうしても人々を属性で輪切りにして、クラスター(集団)に分け、「ヒスパニックなら、カトリックで文化保守であってもおおむね民主党支持」と理解したつもりになっていました。それが崩れたのが2024年の選挙となるのかもしれません。

【小泉】2025年の2月に石破首相が訪米したとき、トランプに「MAGA(Make America Great Again:米国を再び偉大に)というのは忘れられた人々に対する深い思いやりではないですか?」って石破さんが言ったら、トランプは非常に喜んだって話がありましたよね。

【金成】全体としての労働者階級でトランプ支持が根強い理由の一つは、正規の滞在許可を持たない移民の流入を大きく減らしたことでしょう。あとはエネルギー産業について「ドリル、ベイビー、ドリル(掘って、掘って、掘りまくれ)」と盛り上げれば、エネルギー開発が重要な産業の一つとなっているアパラチア地方の白人労働者や、テキサス州のヒスパニック労働者は賛同して旗を振りますよ。

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