下から2位→上から2位 パット激変の松山英樹「良かったが故に悩ましい」
◇米国男子◇トゥルーイスト選手権 3日目(10日)◇ザ・フィラデルフィア・クリケットクラブ (ペンシルベニア州)◇7119yd(パー70)
締めくくりのチップインに本人も驚きの表情を見せる。最終18番。グリーン左奥のスタンド側からの3打目で、松山英樹は「良いライだった」とあえて救済措置を取らなかった。ロフト60度のウェッジでボールをラインに乗せてカップの中へ。終盤16番からの3連続バーディフィニッシュで、ムービングデーのベストスコア「63」をたたき出した。
4月の「マスターズ」以来、4週ぶりのツアー復帰戦。最後の鮮やかな一打も、狙っていたとは言い難い。「全然そんな(良い)状態じゃないんで。パーを獲れればいいなと思っていた」。3アンダー33位スタートのこの3日目も、アドレスや重心を確かめながらスイングに入る仕草を何度も繰り返す。試運転の印象を周囲に抱かせながら、猛チャージを見せた。
出だし1番、2番と立て続けに2.5mのパットを沈めて2バーディが先行。 1Wで大きく右に曲げた4番で、3オンの後に5mのスライスラインを流し込んでパーを拾い、勢いを止めずに6番で3つ目を奪った。
ティショットがフェアウェイバンカーの縁の近くに入った10番でついにボギー。折り返し直後の後退もすぐに取り返す。続く11番、1Wでの第1打は左からの追い風とランディングエリアの下り傾斜を使って404ydのスーパードライブ。残り86ydのチャンスを逃さず、2打目で2mのチャンスを作ってバーディにした。
花道からのチップでピンを2mオーバーした12番も、パーパットをねじ込むしぶとさを披露。前日に「-3.568」で下から2番目の71位だったストローク・ゲインド・パッティングはこの日、「+4.793」で上から2番目となった。「打ち方やラインの読み方は変えていない。アドレスに入るまでのイメージを変えた」とグリーン上でのわずかな変化を明かす。「それだけでこんなに(悪い時との)差ができてしまうのは、良かったが故に悩ましい」と言うほど、好結果への直結が恐ろしくさえ感じた。
9バーディ、2ボギーによる「63」は、優勝した1月「ザ・セントリー」3日目の「62」に次ぐ今季2番目の好スコア。通算10アンダーに伸ばし、首位と4打差の5位に急浮上した。
優勝争いに飛び込んでも「風が吹いて、みんながあまり(良い数字が)出ていない状況なので良かったという感じ」と気を緩める理由もない。「この内容ですからね。ちょっとしんどいですけど、きょうのパットが続いてくれれば、ショット次第という感じでできる。入ってくれることを祈ります」。今週初の居残り練習では丁寧にパッティングを確認。シーズン2勝目への準備は怠らない。(ペンシルベニア州フロータウン/桂川洋一)
2025年 トゥルーイスト選手権 3日目 松山英樹 ハイライト
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