前世代比2倍の衝撃!新「Core Ultra X9 388H」がノートPCの常識を塗り替える

 IntelがPanther Lakeの名で開発してきたノートPC向けSoC「Core Ultraシリーズ3」が間もなく市場に投入される。今回、最上位モデルであるCore Ultra X9 388Hを搭載する「ASUS Zenbook DUO (UX8407AA)」を発売前にテストする機会を得られた。従来モデルであるLunar Lake搭載PCと比較しながら、新世代Core Ultraのパフォーマンスを確かめてみよう。

 Panther LakeことCore Ultraシリーズ3は、CPUやNPUを擁するコンピュートタイルを最新の製造プロセスであるIntel 18Aで製造した新世代ノートPC向けSoC。製造プロセスの刷新に伴ってアーキテクチャも変更されており、CPUはPコアがCougar Cove、EコアがDarkmont、NPUはNPU 5に更新された。

 また、Panther Lakeは内蔵GPU(iGPU)のアーキテクチャもXe3に更新されており、Intel 3プロセスで製造された4コアGPUと、TSMC N3Eプロセスで製造された12コアGPUが用意されている。

 今回テストするCore Ultra X9 388HはノートPC向けCore Ultraシリーズ3(Panther Lake)の最上位モデルで、4基のPコア、8基のEコア、4基のLP Eコアを擁する16コア/16スレッドCPUと、12基のXeコアを備えるiGPU「Arc B390」を備えている。電力指標のPBPは25Wで、MTPは80W。

Core Ultra X9 388HのCPU-Z実行画面
Core Ultra X9 388H(Arc B390)のGPU-Z実行画面
【表1】Core Ultra X9 388Hの主な仕様 モデルナンバー Core Ultra X9 388H Core Ultra 7 258V 開発コードネーム Panther Lake Lunar Lake Pコア・アーキテクチャ Cougar Cove Lion Cove Eコア・アーキテクチャ Darkmont Skymont 製造プロセス(CPU) Intel 18A TSMC N3B Pコア数 4 4 Eコア数 8 0 LP Eコア数 4 4 CPUスレッド数 16 8 L3キャッシュ 18MB 12MB ベースクロック(Pコア/Eコア/LP Eコア) 2.1GHz/1.6GHz/1.6GHz 2.2GHz/─/2.2GHz 最大ブーストクロック(Pコア/Eコア/LP Eコア) 5.1GHz/3.8GHz/3.7GHz 4.8GHz/─/3.7GHz iGPU Intel Arc B390 Intel Arc 140V iGPUアーキテクチャ Xe3 Xe2 iGPUコア数 12 8 製造プロセス(GPU) TSMC N3E ─ 最大GPUクロック 2.5GHz 1.95GHz NPU Intel AI Boost (NPU 5) Intel AI Boost (NPU 4) NPUピーク性能 50TOPS 47TOPS 対応メモリ LPDDR5X-9600 LPDDR5X-8533 最大メモリ容量 96GB 32GB PCI Express PCIe 5.0 x4 + PCIe 4.0 x4 + PCIe 4.0 x4 PCIe 5.0 x4 + PCIe 4.0 x4 PBP 25W 17W MTP 80W 37W 最小保証電力 15W 8W TjMax 100℃ 100℃ 対応ソケット FCBGA2540 FCBGA2833

 Panther Lakeのテストに用いるノートPCは、ASUSの2画面ノート「Zenbook DUO (UX8407AA)」。14型の3K OLEDパネル(2,880×1,800ドット)を2画面備えたユニークなノートPCで、SoCにCore Ultra X9 388Hを搭載している。

 今回のテストはCore Ultra X9 388Hのパフォーマンスに注目したものであるため詳細は紹介しきれないが、さまざまなスタイルで2枚の高精細OLEDパネルを利用できるZenbook DUO(UX8407AA)は非常に興味深い変則スタイルのPCだ。

ASUSの2画面ノートPC「Zenbook DUO (UX8407AA)」
2つめの画面はキーボードを取り外すことで姿を現す
2画面モードでは、背面のスタンドを使用することでさまざまな設置スタイルを実現できる
【表2】ASUS Zenbook DUO (UX8407AA)の主な仕様 OS Windows 11 Home CPU Core Ultra X9 388H GPU Intel Arc B390 メモリ 32GB LPDDR5X-9600 ストレージ 1TB PCIe 4.0 SSD ディスプレイ デュアル14型OLEDディスプレイ(2,880×1,800ドット、144Hz) 無線機能 Wi-Fi 7/Bluetooth 5.4 USB Thunderbolt 4(2基)、USB 3.2 Gen 2 Type-A そのほかのインターフェイス HDMI 2.1 FRL ACアダプタ 100W (USB PD)

 今回のテストでは、Zenbook DUO(UX8407AA)に搭載されているCore Ultra X9 388Hのパフォーマンスをベンチマークテストを使用して計測する。

 比較対象として、Lunar Lakeこと従来のノートPC向けSoC「Core Ultra 7 258V」を搭載したノートPC「ASUS Zenbook S 14(UX5406SA)」を用意。新旧ノートPC向けCore Ultraの性能比較を通して、Panther Lakeの実力を確認する。

Core Ultra 7 258Vを搭載するASUS Zenbook S 14(UX5406SA)
Core Ultra 7 258VのCPU-Z実行画面

 テスト実行時の環境は以下の通り。テストはPCにACアダプタを接続した状態で実行しており、ASUSのユーティリティソフト上においてもっとも性能重視の動作設定(ファンモード)を適用している。

 GPUドライバについては、Core Ultra X9 388Hはレビュアー向けの「32.0.101.8362」、Core Ultra 7 258Vにはテスト時点の最新版「32.0.101.8425」を導入。また、今回のテストではノートPCのディスプレイ仕様が性能に影響しないよう、外部ディスプレイのみに画面出力をした状態でテストを実行した。

【表3】テスト環境 CPU Core Ultra X9 388H Core Ultra 7 258V CPUコア/スレッド 4P+8E+4LPE/16T 4P+4LPE/8T L3キャッシュ 18MB 12MB CPU電力リミット PL1=55W、PL2=64W、Tau=28秒 PL1=33W、PL2=37W、Tau=28秒 CPU温度リミット 100℃ 100℃ CPUファームウェア 0x114 0x11C iGPU Intel Arc B390 Intel Arc 140V NPU Intel AI Boost (NPU 5、50TOPS) Intel AI Boost (NPU 4、47TOPS) ノートPC ASUS Zenbook DUO (UX8407AA) ASUS Zenbook S 14 (UX5406SA) BIOS UX8407AA.303 UX5406SA.308 メモリ 32GB LPDDR5X-9600 32GB LPDDR5X-8533 SSD 1TB PCIe 4.0 SSD 512GB PCIe 4.0 SSD iGPUドライバ 32.0.101.8362 32.0.101.8425 OS Windows 11 Home 25H2 (build 26200.7623、VBS有効) Windows 11 Home 25H2 (build 26200.7623、VBS有効) ファンモード(ASUS) パフォーマンスモード フルスピードモード 電源モード 最適なパフォーマンス 最適なパフォーマンス 電源 100W (USB PD) 65W (USB PD) 外部ディスプレイ 2,560×1,440ドット/144Hz (HDMI接続) 外付けSSD 2TB NVMe SSD (USB4 40Gbps) 計測 HWiNFO64 Pro v8.40 室温 約24℃

 2026年1月にリリースされたばかりのCinebench 2026では、CPUのマルチスレッド性能を計測する「CPU (Multiple Threads)」と、シングルスレッド性能を計測する「CPU (Single Thread)」を実行した。テストの最低実行時間は10分。

マルチスレッド│Cinebench 2026
シングルスレッド│Cinebench 2026

 Core Ultra X9 388Hはマルチスレッドで「4,686」、シングルスレッドで「2,403」というスコアを記録。Core Ultra 7 258Vのスコアをマルチスレッドで約95%、シングルスレッドでも約16%上回った。

 Cinebench 2024では、CPUのマルチスレッド性能を計測する「CPU (Multi Core)」と、シングルスレッド性能を計測する「CPU (Single Core)」を実行した。最低実行時間は10分。

マルチスレッド│Cinebench 2024
シングルスレッド│Cinebench 2024

 Core Ultra X9 388Hはマルチスレッドで「1,156」、シングルスレッドでは「132」を記録。Core Ultra 7 258Vのスコアをマルチスレッドで約91%、シングルスレッドで約10%上回った。

 Cinebench R23では、CPUのマルチスレッド性能を計測する「CPU (Multi Core)」と、シングルスレッド性能を計測する「CPU (Single Core)」を実行した。最低実行時間は10分。

マルチスレッド│Cinebench R23
シングルスレッド│Cinebench R23

 Core Ultra X9 388Hはマルチスレッドで「19,365」、シングルスレッドでは「2,221」を記録。Core Ultra 7 258Vのスコアをマルチスレッドで約98%、シングルスレッドで約18%上回った。

 CPU性能をスレッド数毎に計測する3DMarkのベンチマークテスト「CPU Profile」では、Core Ultra 7 258Vのスコアを基準に指数化したグラフを作成した。

3DMark「CPU Profile」│基準値: Core Ultra 7 258V

 合計16基のCPUコア(4P+8E+4LP E)を備えるCore Ultra X9 388Hは、最大スレッドおよび16スレッドでCore Ultra 7 258V(4P+4E)のスコアを8割前後上回っており、コア数で勝ることによるマルチスレッド性能の優位性を見せつけた。

 8スレッド以下でもCore Ultra X9 388HがCore Ultra 7 258Vを6.9~17.6%上回っており、1コアあたりの性能についてもLunar Lake世代のCPUより優位であることを示した。

 Blender Benchmarkでは、CPUとGPUのレンダリング速度(Samples per Minute)をそれぞれ計測した。

CPUテスト│Blender Benchmark

 CPUによるレンダリングでは、Core Ultra X9 388HがCore Ultra 7 258Vのレンダリング速度を104~118%も上回っており、マルチスレッド性能の高さを見せつけている。

GPUテスト│Blender Benchmark

 GPUを用いたレンダリングでは、Core Ultra X9 388HのiGPUであるArc B390が、Core Ultra 7 258VのArc 140Vを81~120%上回る速度を記録。GPUのCGレンダリング性能が大幅に向上していることを示した。

 将棋ソフトの「やねうら王」では、ベンチマーク機能を利用してマルチスレッドテストとシングルスレッドテストを実行した。やねうら王の実行ファイルはAVX2版で、テスト時間は約180秒。

マルチスレッド性能│やねうら王
シングルスレッド性能│やねうら王

 Core Ultra X9 388Hはマルチスレッドで「8,247kNPS」、シングルスレッドで「1,064kNPS」を記録。Core Ultra 7 258Vをマルチスレッドで約114%、シングルスレッドで約18%上回った。

 Adobe Camera Rawにて、デジタルカメラで撮影した2,400万画素のRAWファイル100枚をJPEGファイルに現像するのに掛かった時間を測定。処理速度として1分間当たりの処理枚数(fpm)を算出して比較する。

 なお、計測はGPUを極力使わない場合(CPU処理)と、GPUを最大限に活用した場合(CPU+GPU処理)の2パターンで行なった。

RAW現像│Adobe Camera Raw

 Core Ultra X9 388HはCPU処理で「133.39fpm」、CPU+GPU処理で「85.00fpm」を記録し、Core Ultra 7 258Vの処理速度をCPU処理で約83%、CPU+GPU処理で約24%上回った。

 なお、今回はGPUを最大限に活用しない方がRAW現像を高速に処理できているが、ミドルレンジ以下のGPUとマルチスレッド性能に優れたCPUの組み合わせでは珍しくない結果だ。GPU支援の有無は全体的な電力効率にも影響し得るので、特にノートPCでは一概にGPU支援を切った方がいいとはいえない点に注意したい。

 Adobe Camera Rawにて、デジタルカメラで撮影した2,400万画素のRAWファイル20枚にAIノイズ除去を適用するのに掛かった時間を測定。処理速度として1分間当たりの処理枚数(fpm)を算出して比較する。

AIノイズ除去│Adobe Camera Raw

 もっぱらGPUで処理を実行するAIノイズ除去において、Core Ultra X9 388H(Arc B390)が記録した処理速度は「2.41fpm」。これはCore Ultra 7 258V(Arc 140V)が記録した「1.95fpm」を約24%上回るものだ。

 HandBrakeでは、約60秒の2160p60(4K60p)動画をH.264、H.265、AV1の各形式でエンコード。1秒間あたりの処理フレーム数(fps)を算出して比較した。

動画エンコード(CPU)│HandBrake

 Core Ultra X9 388HはH.264で「92.4fps」、H.265で「31.2fps」、AV1で「26.3fps」を記録。Core Ultra 7 258Vのエンコード速度をH.264で約77%、H.265で約75%、AV1で約72%上回った。

 PCMark 10標準のテストの中でもっとも詳細な「PCMark 10 Extended」を実行した結果が以下のグラフ。

PCMark 10 Extended

 Core Ultra X9 388Hは総合スコアで「10,747」を記録し、Core Ultra 7 258Vの「7,718」を約39%上回った。また、Core Ultra X9 388HはサブスコアでもCore Ultra 7 258Vを23~62%上回っている。

 Microsoft Officeを使ってパフォーマンスの計測を行なうUL Procyon「Office Productivity Benchmark」を実行した結果が以下のグラフ。

Office Productivity Benchmark│UL Procyon

 Core Ultra X9 388Hは総合スコアで「7,418」を記録し、Core Ultra 7 258Vの「6,409」を約16%上回った。サブスコアについても、Core Ultra X9 388HがCore Ultra 7 258Vを11~25%上回っている。

 Adobeの画像編集系ソフト(Photoshop、Lightroom Classic)を使ってパフォーマンスの計測を行なうUL Procyon「Photo Editing Benchmark」を実行した結果が以下のグラフ。

Photo Editing Benchmark│UL Procyon

 Core Ultra X9 388Hは総合スコアで「7,129」を記録し、Core Ultra 7 258Vの「6,084」を約17%上回った。サブスコアについても、Core Ultra X9 388HがCore Ultra 7 258Vを約17%上回っている。

 PCのAI演算性能を計測するUL Procyonの「AI Computer Vision Benchmark」を実行し、CPU、GPU、NPUのパフォーマンスを計測した。テストではIntelのAIツールキットであるOpenVINOを利用している。

CPUテスト│UL Procyon「AI Computer Vision Benchmark」

 CPU性能を計測したスコアにおいて、Core Ultra X9 388HはFloat32で「132」、Float16で「135」、Integerで「287」を記録。Core Ultra 7 258VをFloat32で約103%、Float16で約105%、Integerで約32%上回った。

GPUテスト│UL Procyon「AI Computer Vision Benchmark」

 GPU性能を計測したスコアにおいて、Core Ultra X9 388H(Arc B390)はFloat32で「608」、Float16で「1,538」、Integerで「2,367」を記録。Core Ultra 7 258V(Arc 140V)をFloat32で約80%、Float16で約61%、Integerで約56%上回った。

NPUテスト│UL Procyon「AI Computer Vision Benchmark」

 NPU性能を計測したスコアにおいて、Core Ultra X9 388HのNPUはFloat16で「1,199」、Integerで「2,194」を記録。Core Ultra 7 258V(Arc 140V)をFloat16で約12%、Integerで約19%上回った。

 Core Ultra X9 388Hが搭載するNPUのピーク性能は50TOPSとされており、47TOPSのCore Ultra 7 258VのNPUから大幅な性能向上はしていない。第5世代NPUは内部構造の見直しによって面積あたりの性能が4割向上したとされているが、それを性能向上よりダイサイズ削減に用いたのがPanther LakeのNPUなのである。

 画像生成AIであるStable Diffusionでのパフォーマンスを計測するUL Procyonの「AI Image Generation Benchmark」では、GPUとNPUでテストを実行。ベンチマークスコアと画像1枚あたりの生成時間を比較した。各テストではすべてOpenVINOを利用している。

ベンチマークスコア(GPU)│UL Procyon「AI Image Generation Benchmark」
画像1枚あたりの生成時間(GPU)│UL Procyon「AI Image Generation Benchmark」

 GPUを使用した画像生成において、Core Ultra X9 388H(Arc B390)は、Stable Diffusion 1.5(fp16)で約97%、Stable Diffusion 1.5 Light(w8a16)で約71%、Stable Diffusion XL(fp16)で約61%、それぞれCore Ultra 7 258V(Arc 140V)を上回った。

ベンチマークスコア(NPU)│UL Procyon「AI Image Generation Benchmark」
画像1枚あたりの生成時間(NPU)│UL Procyon「AI Image Generation Benchmark」

 NPUが実行できるテストはStable Diffusion 1.5 Light(w8a16)のみで、GPUが一部の処理をアシストするSplit UNET executionを無効にした場合と有効にした場合のスコアを取得した。

 ここではCore Ultra X9 388HがCore Ultra 7 258Vを下回る結果となっており、Split UNET execution「オフ」で約10%、Split UNET execution「オン」では約1%、いずれもCore Ultra 7 258Vのスコアを下回った。

 テキスト生成AIのパフォーマンスを計測するUL Procyonの「AI Text Generation Benchmark」では、GPUとNPUでテストを実行した。各テストではOpenVINOを利用している。

ベンチマークスコア(GPU)│UL Procyon「AI Text Generation Benchmark」

 GPUを使用したテキスト生成でのCore Ultra X9 388H(Arc B390)は、PHI 3.5で約45%、MISTRAL 7Bで約48%、LLAMA 3.1で約56%、LLAMA 2で約50%、それぞれCore Ultra 7 258V(Arc 140V)を上回った。

ベンチマークスコア(NPU)│UL Procyon「AI Text Generation Benchmark」

 NPUを使用したテキスト生成でのCore Ultra X9 388Hは、PHI 3.5で約20%、MISTRAL 7Bで約9%、LLAMA 3.1で約10%、LLAMA 2で約41%、それぞれCore Ultra 7 258Vを上回った。

 MicroBenchXの「CoherencyLatency」でCPUコア間のレイテンシを計測した結果が以下のマトリックス表だ。

Core Ultra X9 388HのCPUコア間レイテンシ
Core Ultra 7 258VのCPUコア間レイテンシ

 Core Ultra X9 388HのCPUコア間レイテンシは、Pコア同士やPコア~Eコア間のレイテンシが比較的低い数値である一方、Eコア同士やEコア~LP-Eコア間のレイテンシは比較的大きなものとなっている。

 Lunar LakeベースのCore Ultra 7 258Vでは、Pコア同士やLP Eコア同士など同種のコア間でのレイテンシが低く、異種コア間ではレイテンシが大きくなるという傾向が見られる。従来のIntel製CPUは概ねCore Ultra 7 258Vと同様の傾向だったのだが、Panther Lakeではコア間通信の挙動に手が加えられたことが伺える。

 AIDA64 Cache & Memory Benchmarkで、メインメモリの帯域幅とレイテンシを計測した結果が以下のグラフ。

メインメモリの帯域幅│AIDA64 Cache & Memory Benchmark
メインメモリのレイテンシ│AIDA64 Cache & Memory Benchmark

 ASUS Zenbook DUOに搭載されたCore Ultra X9 388Hには32GBのLPDDR5X-9600が搭載されており、その帯域幅は32GBのLPDDR5X-8533メモリをオンパッケージで実装するCore Ultra 7 258Vを14~35%上回った。

 また、メモリレイテンシについてもCore Ultra 7 258Vから約15%削減されており、Core Ultra X9 388HとLPDDR5X-9600メモリの優れたメモリアクセス性能が確認できる。

 AIDA64 Cache & Memory Benchmarkで、CPUが備えるキャッシュメモリの帯域幅とレイテンシを計測した結果が以下のグラフ。

キャッシュの帯域幅 (Read)│AIDA64 Cache & Memory Benchmark
キャッシュの帯域幅 (Write)│AIDA64 Cache & Memory Benchmark
キャッシュの帯域幅 (Copy)│AIDA64 Cache & Memory Benchmark
キャッシュのレイテンシ│AIDA64 Cache & Memory Benchmark

 CPUコア数で勝るCore Ultra X9 388Hのキャッシュ帯域幅は、Readで16~188%、Writeで47~121%、Copyで28~120%、それぞれCore Ultra 7 258Vを上回った。基本的にコア数が多い方がキャッシュの帯域幅は増加するので、この結果は必ずしも設計変更による性能向上を示しているわけではない。

 一方、キャッシュのレイテンシについては、Core Ultra X9 388HとCore Ultra 7 258Vで大差ない結果となっている。L0~L2まではCore Ultra X9 388Hが低レイテンシであるともいえるが、計測誤差の範囲内ともとれる差でしかない。

 3DMarkのDirectX 12 Ultimateテスト「Speed Way」を実行した結果が以下のグラフ。

3DMark「Speed Way」

 Core Ultra X9 388Hのスコアは「1,046」で、Core Ultra 7 258Vが記録した「582」を約80%上回った。

 3DMarkのDirectX 12テスト「Steel Nomad」では、GPU負荷の高い通常版Steel Nomadと、より軽量なSteel Nomad Lightを実行した。

3DMark「Steel Nomad」

 Steel NomadでのCore Ultra X9 388Hのスコアは「1,650」で、Core Ultra 7 258Vが記録した「812」を約103%上回った。

3DMark「Steel Nomad Light」

 軽量版のSteel Nomad Lightでは、Core Ultra X9 388Hが「6,380」を記録し、Core Ultra 7 258Vが記録した「3,284」を約94%上回った。

 3DMarkのDXR(DirectX Raytracing)テスト「Port Royal」を実行した結果が以下のグラフ。

3DMark「Port Royal」

 Core Ultra X9 388Hのスコアは「4,307」で、Core Ultra 7 258Vが記録した「2,124」を約103%上回った。

 3DMarkの軽量レイトレーシングテスト「Solar Bay」では、Vulkan 1.1を用いる通常版Solar Bayと、DirectX 12を用いる高負荷版Solar Bay Extremeを実行した。

3DMark「Solar Bay」

 Solar BayでのCore Ultra X9 388Hのスコアは「30,807」で、Core Ultra 7 258Vが記録した「16,536」を約86%上回った。

3DMark「Solar Bay Extreme」

 高負荷版のSolar Bay Extremeでは、Core Ultra X9 388Hが「4,535」を記録し、Core Ultra 7 258Vが記録した「2,518」を約80%上回った。

 ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマークでは、グラフィックスプリセットを「最高品質」に設定して、フルHD/1080p解像度とWQHD/1440p解像度でスコアと平均フレームレートを計測した。なお、超解像は無効にしている。

ベンチマークスコア│ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク
平均フレームレート│ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク

 Core Ultra X9 388Hは、フルHD/1080pで「9,086(64.0fps)」、WQHD/1440pで「6,001(42.7fps)」を記録。Core Ultra 7 258VのスコアをフルHD/1080pで約72%、WQHD/1440pで約62%上回った。

 STREET FIGHTER 6 ベンチマークツールでは、画面解像度をフルHD/1080pに設定し、グラフィックスプリセット「NORMAL」、「HIGH」、「HIGHEST」の3パターンでベンチマークテストを実行。FIGHTING GROUND、BATTLE HUB、WORLD TOURの平均フレームレートをそれぞれグラフ化して比較した。

FIGHTING GROUND│STREET FIGHTER 6 ベンチマークツール

 60fpsが上限のメインコンテンツであるFIGHTING GROUNDにおいて、Core Ultra X9 388Hはすべてのグラフィックスプリセットで上限の60fpsを維持するパフォーマンスを発揮。HIGH以上のグラフィックス設定では、顕著なフレームレート低下を生じたCore Ultra 7 258Vを13~20%上回った。

BATTLE HUB│STREET FIGHTER 6 ベンチマークツール
WORLD TOUR│STREET FIGHTER 6 ベンチマークツール

 120fpsが上限のBATTLE HUBとWORLD TOURでも、Core Ultra X9 388Hはすべての条件で60fpsを大きく超える平均フレームレートを記録。Core Ultra 7 258VをBATTLE HUBで71~80%、WORLD TOURでも70~74%上回った。

 Forza Horizon 5では、画面解像度をフルHD/1080pに設定し、グラフィックスプリセット「高」、「最高」、「エクストリーム」の3パターンでベンチマークテストを実行して平均フレームレートを取得した。

Forza Horizon 5

 Core Ultra X9 388Hは、グラフィックス設定=高で「108fps」、最高で「71fps」、エクストリームで「60fps」を記録。Core Ultra 7 258Vを88~92%上回った。

 VALORANTでは、グラフィックス設定を可能な限り高く設定し、フルHD/1080pとWQHD/1440pで平均フレームレートを計測した。なお、計測は射撃場の高CPU負荷シーンで行なっている。

VALORANT

 Core Ultra X9 388Hは、フルHD/1080pで「132.5fps」、WQHD/1440pで「132.0fps」を記録。Core Ultra 7 258Vを40~41%上回った。

 フォートナイトでは、NaniteおよびLumenを無効にした上で画面解像度をフルHD/1080pに設定し、グラフィックスプリセット「中」、「高」、「最高」の3パターンで平均フレームレートを計測した。テスト時のグラフィックスAPIはDirectX 12。

フォートナイト

 Core Ultra X9 388Hは、グラフィックス設定=中で「137.0fps」、高で「95.4fps」、最高で「70.4fps」を記録。Core Ultra 7 258Vを63~69%上回った。

 サイバーパンク2077では、画面解像度をフルHD/1080pに設定し、グラフィックスプリセット「ウルトラ」およびその上位である「レイトレーシング: 低」でベンチマークモードを実行。平均フレームレートを取得する。

 また、サイバーパンク2077はIntelの「XeSS 2」に対応しており、超解像やフレーム生成が利用できるので、テストでは超解像を「XeSS(クオリティ)」に固定し、フレーム生成機能「XeSS FG 2x」の無効時と有効時の結果を計測。

 さらに、「XeSS 3」対応ドライバが導入されているCore Ultra X9 388Hについては、ドライバ側でマルチフレーム生成機能「XeSS FG 3x」と「XeSS FG 4x」を強制的に有効化した場合の結果も取得した。

グラフィックス設定「ウルトラ」│サイバーパンク2077

 グラフィックス設定「ウルトラ」でのCore Ultra X9 388Hは、フレーム生成無効時に「68.21fps」、XeSS FG 2xで「116.36fps」、XeSS FG 3xで「152.87fps」、XeSS FG 4xで「191.04fps」を記録。同条件のCore Ultra 7 258Vを76~97%上回り、マルチフレーム生成による高リフレッシュレートモニターへの対応力を示した。

グラフィックス設定「レイトレーシング: 低」│サイバーパンク2077

 グラフィックス設定「レイトレーシング: 低」でのCore Ultra X9 388Hは、フレーム生成無効時に「61.21fps」、XeSS FG 2xで「101.14fps」、XeSS FG 3xで「141.64fps」、XeSS FG 4xで「170.75fps」を記録。同条件のCore Ultra 7 258Vを86~95%上回った。

 XeSS 2対応タイトルであるアサシン クリード シャドウズでは、画面解像度をフルHD/1080p、超解像を「XeSS(50%固定)」、レイトレーシングを「隠れ家のみに拡散」、グラフィックスプリセットを「中」に設定し、フレーム生成機能の設定ごとの平均フレームレートをベンチマークモードで計測した。

 なお、マルチフレーム生成有効時にベンチマークモード標準の計測機能が正常に動作しなかったため、フレームレートの計測は別のアプリを使用して行なった。

アサシン クリード シャドウズ

 Core Ultra X9 388Hは、フレーム生成無効時に「41.4fps」、XeSS FG 2xで「67.9fps」、XeSS FG 3xで「92.5fps」、XeSS FG 4xで「114.5fps」を記録。同条件のCore Ultra 7 258Vを92~93%上回った。

 HWiNFO64 Proを使って計測したCinebench 2026「CPU (Multiple Core)」実行中のモニタリングデータをまとめたものが以下のグラフ。テスト時の室温は約24℃で、Cinebenchの最低実行時間は30分。

Core Ultra X9 388Hのモニタリングデータ│Cinebench 2026
Core Ultra 7 258Vのモニタリングデータ│Cinebench 2026

 テスト開始直後のCore Ultra X9 388Hは、最大限のブースト動作により65W近い電力を消費して温度リミットの100℃に迫っているが、ある程度時間が経過したあとは50W弱の電力を消費しながら90℃前後のCPU温度をキープしている。

 平均CPUクロックはPコアが3,788MHz、Eコアは3,126MHz。LP Eコアは2,969MHzとなっている。ちなみに、従来のCore Ultraシリーズ2(Arrow Lake-H)などではLP Eコアがマルチスレッド処理に利用されないという挙動もあったが、Core Ultra X9 388HのLP EコアはCinebenchなどでもしっかり活用されていた。

 HWiNFO64 Proを使って計測した3DMark「Steel Nomad Light Stress Test」実行中のモニタリングデータをまとめたものが以下のグラフ。テスト時の室温は約24℃で、テストのループ数は20回。

Core Ultra X9 388Hのモニタリングデータ│3DMark「Steel Nomad Light Stress Test」
Core Ultra 7 258Vのモニタリングデータ│3DMark「Steel Nomad Light Stress Test」

 Core Ultra X9 388Hが備えるiGPUのArc B390は、テスト中平均29W(最大33.3W)の電力を消費しながら、終始2,500MHzという最大ブースト動作を維持している。

 Arc B390の消費電力はCore Ultra 7 258VのArc 140Vから2倍以上に増加しているが、長時間の安定稼働が可能な放熱性を確保しつつ、2倍前後のパフォーマンスを発揮しているのだから大したものだ。

 コンピュートタイルを最新プロセスであるIntel 18Aで製造したCore Ultra X9 388Hは、従来のノートPC向けSoCであるLunar Lakeを凌駕するCPU性能を実現していることは確かだが、特に印象的だったのはTSMC N3Eプロセスで製造されたGPUタイルが備えるArc B390のパフォーマンスだ。

 サイバーパンク2077やアサシン クリード シャドウズなどのGPUヘビーなゲームをある程度のグラフィックス設定で動かせるようになったことは大きな進化であり、今回テストしたASUS Zenbook DUOのようなユニークなPCや、薄型軽量なモバイルノートがこのGPU性能を得られるのであれば魅力的だ。

 Arc Bシリーズの名を与えられた強力なGPUを搭載するPanther Lakeは、Core Ultraに続く数字の前にXが付与されているモデル(例: Core Ultra X9)に限られる。今回のレビューでGPU性能に興味を覚えたのなら、Xを目印にCore Ultraシリーズ3搭載PCを検討してみると良いだろう。

緊急配信!Core Ultraシリーズ3の実力をライブでレポート【1月27日(火)15時配信】

 Core Ultraシリーズ3の実力をライブ配信でもレポートします。

 Intel 18Aの特長から、Core Ultraシリーズ3搭載ノート「ASUS Zenbook DUO(UX8407AA)」の全貌、そのベンチマーク結果、動作デモまで一気にお伝えする予定です。(ライブ配信終了後は即アーカイブを視聴できます)

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