Windows 10からChromebookへの乗り換えはアリ?乗り換えで後悔しない選び方
Windows PCは、専用のソフトウェアを必要とする人や、自分好みにカスタマイズして使いたい人に引き続きおすすめです。例えば、映像編集や3Dモデリング、プログラミングなど、高度な機能や特定のアプリケーションを活用する場合には、Windowsが持つ豊富なソフトウェア対応力が強みになります。また、ハードウェア構成や操作環境を細かく調整できるため、自分だけの使いやすい環境を追求したいユーザーにも向いているといえます。
Chromebookは「Googleが開発した『ChromeOS』というオペレーティングシステムを搭載したノートPC」です。その最大の特徴は、設計思想の根幹にある「クラウド中心(クラウドファースト)」という考え方です。 Chromebookは「主にウェブアプリケーションとクラウドストレージを使用するように設計されている」のが特徴であり、データ(文書、写真、設定など)やアプリケーションの多くを、PC本体のハードディスク(ローカルストレージ)ではなく、インターネット上のサーバー(クラウド)に保存し、そこで処理することを基本としています。 いわばこの対極にあるのが、「従来型」のWindowsです。Windowsを搭載するパソコンは「万能型」であり、PC本体に強力なソフトウェア(例えば、Microsoft OfficeやAdobe Photoshopなど)をインストールし、PCのCPUやメモリといった資源をフル活用して、ローカル環境で複雑な処理を行うことを前提としています。 ■対応アプリケーションの違い
PCの価値を決めると言っても過言ではないのが、利用できるアプリケーションの豊富さです。 Windowsの最大の強みは、何と言ってもその圧倒的なソフトウェア資産です。これまで何十年にもわたって開発されてきた、ありとあらゆる種類のデスクトップアプリケーション(拡張子が「.exe」のファイル)を実行できます。例えば、以下のような特定のソフトウェアが必須な場合は、現時点ではWindowsが唯一の選択肢となることが多いでしょう。 ・高度な機能(VBAマクロなど)を駆使するMicrosoft Office ・プロ向けの動画編集ソフト(Adobe Premiere Proなど)や画像編集ソフト(Adobe Photoshopの全機能版) ・PC専用のオンラインゲーム(Steamで配信されている多くのタイトルなど) ・会計ソフトや年賀状作成ソフトなど、日本独自のパッケージソフト ・企業で指定されている特殊な業務用ソフトウェア 一方で上記のデスクトップアプリが必ずしも必要ではなく、Google Workspace(ドキュメント、スプレッドシート、スライド)や、Microsoft 365のウェブ版などWebアプリケーションやAndroidアプリ(※注:ChromebookではAndroidアプリが利用可能です)で十二分に代替できるならばGoogle Chromebook購入の価値は大きいです。加えてGoogle ChromebookはLinuxとの互換性を年々強めています。 そのため、Linux環境でWindowsアプリを使用するための互換レイヤー『Wine』を用いることも可能です。つまりChromebookでもWindowsアプリを使うことも、自己責任を前提としたうえで不可能ではありません。 ■起動時間など動作の軽快さの違い PCを使っていて地味にストレスが溜まるのが「待ち時間」です。特に、急いで何かを調べたいときに限って、PCの起動が遅いとイライラしてしまいます。 Windowsは、特に数年使ったPCや低価格モデルにおいて、電源を入れてからデスクトップが表示され、実際に操作可能になるまで1分以上かかることも珍しくありません。これは、OSが起動する際に、バックグラウンドで多くのサービスやプログラムを読み込んでいるためです。 一方、Chromebookはその最大の特徴のひとつが「起動速度の早さ」。Windowsとは雲泥の差といっていいほどのスピードです。OS自体が非常に軽量なため、電源ボタンを押してから数秒でログイン画面が表示されるため、これは、まるでスリープから復帰するような速さです。 ちなみにWindowsの「遅さ」の原因はWindows Updateも一因です。そしてChromebookではセキュリティアップデートを含むOSの更新は、バックグラウンドで自動的にダウンロード・適用されます。ユーザーは再起動するだけで、常に最新かつ最も安全な状態が保たれます。 ■コストの違い 繰り返しですが、かつて「300ドル以下のノートPC」と言えば、そのほとんどがChromebookでした。2025年現在でも、その構図は大きくは変わっていません。 Chromebookは、3万円台から6万円台という低価格帯のモデルが非常に豊富です。OSが軽量なため、それほど高価なCPUや大容量のストレージを必要とせず、結果として本体価格を安く抑えることができるのです。インターネット閲覧、動画視聴、文書作成といった主な用途であれば、この価格帯のモデルで十分快適なパフォーマンスを得られます。 Windows PCもMicrosoftの取り組みにより、近年は低価格化が進んでいますが、それでも500ドル以下のモデルを探すならばChromebookに一定の優位性があるのも事実です。 「ネットサーフィンが主」という使い方ならば、コスト優位性は無視できず、Windows 11の高価なパソコンを買うよりも、Chromebookを3万円~5万円程度で買うほうが満足度が高い場合すらあるでしょう。