マツダの最上級SUVが“はたらくクルマ”に!「CX-80」の道路パトロールカーなぜ誕生した? ルーフに大型標識装置を搭載する黄色い架装車の実力とは

 先ごろ開催された「マツダファンフェスタ2025 at 富士スピードウェイ」のパドックに、1台の“はたらくクルマ”が展示されて注目を集めていました。それがフラッグシップSUVの「CX-80」をベースとするパトロールカー。全国で初めて導入された「CX-80」のパトロールカーは、どんな車両なのでしょう?

マツダ「CX-80」の道路パトロールカー

 高速道路を走行中に見かける黄色いボディをまとった車両は、「道路パトロールカー」と呼ばれるもの。24時間体制で高速道路を巡回し、落下物の排除といった事故の対応など、異常事態に対応しています。

 その使用環境はかなりハード。1か月の走行距離は1万5000kmを目安にシフトが組まれるといいますが、それでも1年間で約20万kmも走破する車両もあるといいます。予備の車両を含め、ひとつのエリアを複数の車両で担当するそうですが、入れ替えの目安である50~60万kmを4年ほどで迎える計算となります。

 今回、初めて一般公開された「CX-80」道路パトロールカーは、2025年3月にネクスコ東日本のグループ会社であるネクスコ・パトロール関東に納車され、6月より東北自動車道の鹿沼ICにある宇都宮事業所で運用をスタート。

 現在、東北道を中心に活躍中ですが、10月初旬の実働約3か月の時点で、すでに6万kmを走破していました。おそらく日本一走行距離の多い「CX-80」なのではないでしょうか。

 この「CX-80」道路パトロールカーの開発と製造をおこなったのは、マツダの架装車全般を手がけるマツダE&T。身近なところだと、福祉車両や教習車なども同社の架装車です。

「CX-80」道路パトロールカーのベース車両は、マイルドハイブリッド仕様の3.3リッター直列6気筒クリーンディーゼルエンジンを搭載する「XDハイブリッド エクスクルーシブスポーツ」。その7人乗り仕様に架装を施しています。

 ボディ色は元々“ジェットブラックマイカ”でしたが、エクステリアを道路パトロールカー用の黄色に全塗装。美しいゼブラ模様の紅白バンパーも塗装で仕上げているほか、ドアの内側やリアゲート開口部といった細部までしっかり仕上げられているので、元色が何だったのかひと目では分からないほどです。

 その上で、道路パトロールカーに必須のフォグランプや助手席用補助ミラーなどを追加。さらにルーフ部には、後方に向けて情報を伝える起伏式の大型標識装置を備えています。

 ちなみにこの大型標識装置、重厚な見た目どおり重量が約110kgというヘビー級。また細かい部分では、純正オプションにもない大型のマッドガードも装備されています。

●作業効率を高める操作機器のレイアウト&美しいフィッティング

 運転席まわりは、大型標識装置の操作系や無線機など、業務に必要な専用機器が装備されており、まさにパトロールカーらしい雰囲気に。また前後シートは、雨天時の活動を考慮してカバーつきの防水仕様となっています。

マツダ「CX-80」の道路パトロールカー

 多くの機器を追加しながら、ベース車に標準となるセンターディスプレイの視認性を犠牲にせず、それぞれがきれいにフィッティングされているのもマツダE&Tのこだわりのひとつ。操作機器のレイアウトにはパトロール隊員の意見もしっかり反映しており、緊急時の使いやすさにつなげています。

 キャビンの後部エリアは、セカンドシートだけを残した5人乗り仕様に変更。サードシートが取り払われたスペースには、業務に必要な機材や回収した落下物を積み込む荷室に充てられています。作業性を高めるべく、サードシートがあった部分を含めてフロアを約55mm掘り下げて、さらにフラット化が図られているのも見逃せません。

 そんな道路パトロールカーに欠かせない装備のひとつがスペアタイヤ。ベースモデルはパンク修理キットを積載していますが、緊急時に高速の側道を走行することも多い道路パトロールカーはクギやガラス片などを踏む頻度が高く、パンクするケースが少なくないのだとか。そのため、業務への支障を最小限に抑えるべく、標準タイヤと同じものをスペアとして積み込んでいます。

 細かい部分ですが、ドアやリアゲートなどの開口部に備わるカーテシランプにも注目です。これは作業中の乗員の安全を確保するための装備で、後方から来る車両などに人の乗降あったり作業中であったりすることを知らせます。

 また、ルーフ上の大型標識装置を起こさなくても後方へメッセージを発信できるよう、リアガラス内部に電光掲示版が装備されているのも見逃せません。

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高度化する架装ベース車に対応した緻密でていねいな開発

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【画像】「えっ!…」これがていねいにつくり込まれたマツダの“はたらくクルマ”「CX-80」道路パトロールカーです(30枚以上)

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