大屋根リングをタワーに再生 国際園芸博、開幕500日目前 芦田愛菜さん「全貌楽しみ」
令和9年に横浜市で開かれる国際園芸博覧会が、来月4日に開幕500日前を迎えるのに合わせ、園芸博協会が新たに開催概要を公表した。大阪・関西万博の目玉となった「大屋根リング」の木材を〝レガシー〟として再利用するタワーが登場するほか、週末や夏季を中心にプロジェクションマッピングで夜の会場を彩る。ボランティアスタッフの募集も間もなく始まり、準備が着々と進む。
60メートルのモニュメント
「大阪万博の経験と機運を引き継ぎ、準備に取り組んでいく」。協会会長を務める筒井義信・経団連会長は29日の発表会見で意気込みを述べた。
新たに公表されたのは、13企業・団体の出展概要。鹿島建設は企業出展で最大の3千平方メートルの区画に、大屋根リングに使われた木材を活用した高さ約60メートル「KAJIMA TREE(仮称)」を建てる。伝統建築の技法と最新の耐震技術を融合させ、会場のモニュメントとする。
大阪・関西万博の大屋根リングの木材を再利用し、鹿島建設が建てる木造タワーのイメージ図(同社提供)住友林業は、森を散策するようなデッキスペースを建設。三菱グループは都市化と自然の共生を表現したパビリオンをを出展する。
庭園や花壇の出展では、日本造園建設業協会東北総支部が東日本大震災からの復興支援への感謝を込め、東北6県をかたどり、旅をいざなう庭園を造る。
また大型プロジェクト協賛では、大成建設が会場を一望する木造テラスを、横浜銀行がプロジェクションマッピングを提供する。
海外からは約60の国や国際機関が参加の意向を示しているという。
11月2日には、日本政府出展の起工式が行われる予定。2万5千平方メートルの区画に〝令和の日本庭園〟を造り、屋内展示では「都市と農山漁村の将来像」を提案する。
園芸博の公式アンバサダーを務める芦田愛菜さんは「シルエットが少しずつ明らかになってきた。全貌を見るのが楽しみ」と期待を語った。
期待の盛り上げも加速
「大阪の次は横浜」と、園芸博の認知度を高める取り組みも加速している。
公式マスコット「トゥンクトゥンク」をあしらったグッズの販売やPR活動を行うオフィシャルストアが28日、あべのハルカス(大阪市阿倍野区)と横浜高島屋(横浜市西区)にオープン。丸善丸の内本店(東京都千代田区)などと合わせ6カ所となった。
横浜市営地下鉄の園芸博ラッピング車両(同市提供)横浜市営地下鉄は、園芸博仕様のラッピング列車を運行。ブルーラインとグリーンラインで各1編成、会期終了まで走らせる。
11月17日からは、国内外からの来場客を会場で案内する「花・緑ガイドボランティア」の募集が始まる。12月22日まで募り、展示内容などについての研修を受けて開幕に臨んでもらう。
植物管理や会場運営のボランティアも年明け以降、順次募集する予定だ。
◇
2027年国際園芸博覧会
国際園芸家協会が認定する博覧会で、日本での大規模開催(A1認定)は、平成2年に大阪市で開かれた「国際花と緑の博覧会(花の万博)」に続き37年ぶり2回目となる。
横浜市瀬谷区・旭区で令和9年3月19日~9月26日開催。「幸せを創る明日の風景」をテーマに、花や緑との関わりを通じ、自然と共生した持続可能で幸福感が深まる社会の創造を目指す。米軍から返還された上瀬谷通信施設の跡地のうち約118ヘクタールを会場とし、有料来場者1千万人以上を目指す。