米ドル/円は160円に再接近で再び大規模介入か。ベッセント・片山会談に驚きはなく、リスクオンで158円まで反発も、昨年9月の日米財務相共同声明はブラフでなさそう!|西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

 みなさん、こんにちは。

 5月13日(水)の米株式市場では、S&P500とナスダック総合指数が最高値を更新。大型ハイテク株を中心に買いが膨らんだ展開です。

S&P500&ナスダック総合指数 日足

(出所:TradingView(トレーディングビュー))

 エヌビディア、テスラ、アップルなど、トランプ米大統領の訪中にトップが随行している企業の上げが目立っています。

 モルガン・スタンレーは「好調な企業業績と堅調な経済を背景に強気相場が続く」とし、S&P500は向こう1年間で8300に到達するとの予想を示しています。

 仮にこのレベルに達すると、現行水準から12%ほど上昇することになります。

 一方、5月13日(水)に発表された4月の米PPI(卸売物価指数)は前年同月比6%上昇と、市場予想を上回り2022年以来の大幅な伸びとなっています。

イラン戦争に伴うインフレ圧力の強まりを示し、米10年債利回りは一時4.5%と昨年6月以来の水準に上昇。

 為替市場では、米利上げ観測の強まりを背景に米ドルが堅調です。

 本稿執筆時点で米ドル/円は158.00円まで上昇。日本の通貨当局による円買い介入が警戒されるレベルまで反発しています。

米ドル/円 日足

(出所:TradingView

 そこで、今週(5月11日~)のベッセント米財務長官と片山財務相の会談を振り返ってみましょう。

ベッセント米財務長官と片山財務相、高市首相の会談はサプライズなし。介入でも155円を割れず、短期筋は円売り再開か

 今週注目だったベッセント米財務長官が来日した経過を簡単にまとめます。

 片山財務相は会見で、ベッセント米財務長官と「為替レートの動きを含む市場動向について協議した」とコメント。「最近の為替を含む市場の動きへの対応において、極めてうまく協調できていることで合意した」としました。

 また、ベッセント米財務長官は高市首相と「今週のトランプ・習近平首脳会談に向けた日米関係の重要性を協議した」と説明。

 Xでは「通貨市場における望ましくない過度のボラティリティへの対応において、意思疎通と協調は常時・強固に継続している」とも投稿しています。

注目の会談でしたが、マーケットを驚かすような発表はありませんでした

 そのため、米系短期筋を中心に円売りが再開し、本稿執筆時点では158.00円レベルと、GW(ゴールデンウィーク)前の水準まで戻っています。

 日本の為替介入について、一部アナリストは過去2週間で推定637億ドル(約9.8兆円)を投じたと試算。

 短期筋は、日本が推定637億ドルを投じても155.00円すら割れなかったとみて、円売りを再開しているようです。

米ドル/円は160円レベルで戻り売り継続! 昨年9月の日米財務相共同声明に従い、再び160円に接近すれば大規模介入しそう

 それでは、日米合意による円安牽制は単なるブラフで、マーケットには影響ないのでしょうか?

 ここで、Bloombergを中心にマーケットで話題になっているのが、昨年(2025年)9月11日(木)の日米財務相共同声明です。

【※関連記事はこちら!】米ドル/円の160円レベルを防衛し、155円以下に抑えたいと政府・日銀は想定か。昨年9月の日米財務相共同声明で介入合意済み? 来日の米財務長官と片山財務相会談に注目(5月11日、西原宏一&叶内文子)

 ベッセント米財務長官と加藤財務相(当時)で合意したもので、おもな内容をまとめると以下のようになります。

(1)為替は市場で決定  為替レートは市場において決定されるべきで、過度の変動や無秩序な動きは経済・金融の安定に悪影響を与えうることを再確認。また、為替レートや国際通貨システムを操作することを両者が避けてきたことも確認。これはG7の従来の合意の踏襲。

(2)介入は過度な変動への対処に限定 為替介入は為替レートの過度な変動に対処するためのものに限定するとの見解で一致。裏を返せば、日本が恣意的な水準を目標に介入することは認めないということ。

(3)GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)など年金基金の運用 年金基金などの政府投資機関は、リスク調整後のリターンと分散投資の目的で海外投資を継続し、為替レートを標的にしないという文言が盛り込まれた。これは米国がGPIFを通じた事実上の円安誘導に疑念を持ち続けていることを示しているとの分析もある。

 この合意に、特定の為替水準への言及はありません。

 ただ、過去2年に及ぶ介入を振り返ってみれば、現時点での動きを当局は為替レートの過度な変動とみなしているようです。

 過去2週間で推定637億ドル(約9.8兆円)を為替介入に投じたのも、この日米財務相共同声明が後ろ盾となっていると言われています。

 今年(2026年)1月23日(金)のNY連銀によるレートチェックも、米財務省の要請で行われたとの報道もあります。

 こうした考え方が正しければ、米ドル/円が再び160円に接近した際には日米財務相共同声明に従って、再び大規模な為替介入が行われるのではないかと想定しています。

米ドル/円 日足

(出所:TradingView

 個人的に長期の円安スタンスは変えていませんが、日米財務相共同声明が後ろ盾となっての介入はブラフではないと想定しているため、この局面の米ドル/円は160円レベルを目処に戻り売りのスタンスを維持します。

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