30万円台のフルサイズ動画モデル「EOS R6 V」体験会レポート

「RF20-50mm F4 L IS USM PZ」を装着した「EOS R6 V」

既報の通り、キヤノンは5月13日に新型ミラーレスカメラ「EOS R6 V」を発表した。ここでは同日行われた体験会の模様をお伝えする。

EOS R6 Vは35mmフルサイズセンサーを搭載したレンズ交換式カメラで、動画撮影向けのミラーレスカメラ「EOS R V」シリーズの最上位モデルとなっている。発売は6月下旬。ボディ単体での直販価格は36万3,000円。新レンズ「RF20-50mm F4 L IS USM PZ」が付属するレンズキットは52万8,000円。

EOS R6 Vの概要

同社の動画向けミラーレスカメラとしてはAPS-Cセンサーを搭載した「EOS R50 V」があるが、本機はその上位機種となる。7Kオープンゲート記録などに対応し、よりシネマカメラに近い映像クリエイティブに対応するとしている。

同社Vシリーズの比較。EOS R50 Vとプロ機のEOS C50の中間的なポジションという
各モデルのターゲットユーザー
ファインダーレスで動画アクセサリーとも相性の良い直線的なデザインを採用

昨今はVlogやシネマティックな映像を撮影するための動画特化型ミラーレスカメラが各社から登場している。そうした中でEOS R6 Vはオープンゲート記録を差別化ポイントとして訴求している。

フルサイズセンサーが見える

オープンゲート記録はイメージセンサー全面で動画を記録するモードのこと。EOS R6 Vでは3:2の7K30PがRAWで記録できる。従来ミラーレスカメラでは3:2のセンサーを搭載していても、動画撮影時には16:9にクロップされるため、使われない領域があった。

オープンゲート記録をした場合、そのまま3:2の動画も作れるほか、16:9やシネスコサイズにクロップする場合でも上下方向を大きめにリフレーミングできる余裕が生まれるのがメリットだ。

撮影領域の違い

また横位置から縦位置動画を切り出す場合も、16:9から切り出すよりも3:2から切り出したほうが縦の解像度を増やせるため高画質化が期待できる。縦横の両映像が必要なクリエイターに最適な機能だとする。

縦位置の切り出しに有利

またそれ以外の正方形や4:5といった様々なアスペクト比で使う場合も、オープンゲートで記録しておけば画質面で有利な編集ができて使いやすい。

キヤノンでは、比較的手軽にオープンゲート記録ができることで「様々なフォーマットに対応しなければならない、SNS時代のソロオペレーターに柔軟性を提案し、よりクリエイティブな制作をしてもらえる。」と説明している。

オープンゲートで録画しているところ
オープンゲートの設定メニュー

オープンゲート記録と相性の良い使い方では、ほかにアナモフィックレンズによる撮影もあり、映画撮影ではよく使われる。ただし、EOS R6 Vはアナモフィックレンズ使用時にプレビューを引き伸ばすデスクイーズ機能などは搭載していないそう。同社では「オープンゲート記録の認知度がまだまだ低い」としており、まずはクロップ時の画質の高さや編集の自由度といった魅力からアピールしていく考えだ。

また、4K60Pがクロップなしで撮影できる点も、同価格帯では少ないのではないかということで、本機のアピールポイントだとしている。

EOS R50 V(左)との比較
同上
EOS R6 Mark III(左)との比較
同上

Log撮影時のガンマカーブは「EOS R6 Mark III」同等のCanon Log2とCanon Log3に対応。よりフィルム特性に近く、暗部の階調が残りやすいCanon Log2では最大15+stopsのダイナミックレンジがあるとする。

一方EOS R6 Mark IIIにない機能としてはベースISO感度の切り替えがある。2段階のベース感度を持っており、ノイズが少ないベース感度に自動で切り替えられる(手動設定は不可)。ベースISOはガンマ設定によって切り替えの感度が異なる。

冷却ファンを搭載するのもEOS R6 Mark IIIとは異なる点。ファンを動作させると30℃環境でも4K60Pで120分以上撮れる。また23℃環境で同じフォーマットの場合、熱による時間制限がない。

またEOS R6 Mark IIIで搭載しているメカシャッターは非搭載となっている。それによるローリング歪みは状況によって発生するとしてるが、同社調べでは同価格帯の他社機種とも同等レベルで、大きくは目立たないとのことだ。

外観はEOS R50 Vに似たファインダーレスのフラット形状で、ジンバルなどでも使いやすいデザインとした。APS-C機のEOS R50 Vと比べるとボディは一回り大きい。その分ボタン類も増え、アサインボタンが7番まで搭載されている。

アサインボタンが多い
ズームレバーを搭載
EOS R6 Mark III同等の手ブレ補正機能を備える
動画撮影時のAF制御は人の手のようなフォーカスワークを実現
動画向けということで波形モニター、フォルスカラーといった表示もできる

グリップも大きくなったことでEOS R50 Vよりもしっかり握れる印象だった。重量は約688g(バッテリー、CFexpressカードを含む)となっているが、RF20-50mm F4 L IS USM PZとの組み合わせでは、見た目よりは軽く感じた。新レンズと組み合わせると手持ちでのオペレーションはしやすそうだ。

CFexpress 2.0 Type BとSDXCメモリーカードのデュアルスロットを装備
USB接続の外部メディア記録には非対応となっている
底面には吸気口がある
縦位置用にグリップ側にも三脚穴がある
バッテリーはLP-E6P
手軽に使えるColor Filterも引き続き搭載。LUTとしても提供されるそうだ
静止画機能としてはプリ連続撮影や約40コマ/秒の連写ができる
1/60秒までとなるが、ファームアップでストロボに対応予定だ
EOS C50、EOS R6 V、EOS R6 Mark IIIの比較

RF20-50mm F4 L IS USM PZは、RF Lレンズで初めてパワーズームを内蔵したレンズとなる。発売は6月下旬で、直販価格は21万3,400円。

20mmという超広角撮影が可能なため、16:9やシネスコサイズなどクロップが発生しやすい動画撮影において、従来の標準ズームレンズよりも広い対角画角を確保できるレンズとなっている。

ズームリングはパワーズームとマニュアルズームを切り替えて使える方式とした。パワーズームではズームリングの「W-T」のエリアで操作する。ズーム速度は15段階から設定でき、素早いズーミングも可能だった。

レンズ鏡胴のズームモード切替スイッチをスライドさせながら、ズームリングの焦点距離表示位置に動かすとマニュアルズームモードになる。なお、パワーズームはカメラのズームレバーでも操作可能だ。

スイッチ部分
一番下にズームモード切替スイッチがある

「コンパクトデジタルカメラでパワーズームの操作に親しんだユーザーにとっても、慣れた操作で使えるのはメリット。」(キヤノン)とのこと。

手ブレ補正は中央6段、協調制御では中央と周辺で8段分の補正が可能となっている。

画質はRF24-105mm F4 L IS USM同等以上という
0.24mの近接撮影に対応
ナノUSMを3基搭載

本レンズはズーミングで全長が変化しないため、ジンバルでも使いやすそうだ。重量はRF Lレンズの中でも軽い約420gで、こちらも見た目ほどの重さには感じなかった。

各部の名称とスペック
EOS R6 Mark IIIに装着したところ

同時にアクセサリーの新製品も発表になった。いずれも6月下旬に発売する。

ワイヤレスリモコン「BR-E2」はBluetooth対応のリモコン。新たにレバーを搭載し、従来ボタン操作だったズーム操作をしやすくした。また、ファンクションボタンや動画撮影ボタンの新設で使い勝手を高めた。直販価格は1万1,000円。

併せて、トライポッドグリップ「HG-100TBR」がBR-E2を搭載してリニューアルし、「HG-200TBR」となった。直販価格は2万2,000円。

マクロライトアダプターセットは、RFマクロレンズにこれまでのマクロライト「MT-26EX-RT」を装着できるようにするアダプター。直販価格は基本となる「AD-M1」が2万8,600円。

使用例

AD-M1は内側が交換式になっており、レンズに合わせて付け替えて対応できる仕組み。基本セットの対応レンズは「RF85mm F2 MACRO IS STM」、「RF24mm F1.8 MACRO IS STM」、「RF50mm F1.8 STM」。

加えて別売の交換アダプターとして「RF35mm F1.8 MACRO IS STM」用の「AD-M1-RA」(同9,350円)、「RF100mm F2.8 L MACRO IS USM」用の「AD-M1-LA」(同7,700円)が用意される。

レンズのリアキャップもリニューアルし、「レンズダストキャップ RF II」になる。直販価格は572円。これまで1カ所からしか装着できなかったが、3カ所から付けられるようになった。

試したところ、指標を合わせず適当に当てても少し回すとはめることができ、迅速に付けられた。各レンズ同梱のキャップも順次本品に切り替わる。

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