レクサスの「スポーツコンセプト」とソニーの「VRコクピット」が融合! LEXUS Real x Virtual Driving Concept powered by VR Cockpitを体験してみた(Car Watch)

 レクサスは、ジャパンモビリティショー2025のツアープログラム「Tokyo Future Tour 2035」にて、体感型コンテンツとして「LEXUS Real×Virtual Driving Concept powered by VR Cockpit」を出展している。 【画像】「LEXUS RealxVirtual Driving Concept powered by VR Cockpit」に置かれたレクサススポーツコンセプト  今回の取り組みは、レクサスがプロトタイプとして公開している「レクサススポーツコンセプト」と、ソニーグループが、未来のモビリティエンタテイメントとして開発中の「VR Cockpit」のプロトタイプを組みあせることで実現したもの。  レクサススポーツコンセプトは、2025年8月に、米カルフォルニア州ベフルビーチで開催された「モントレー・カー・ウィー2025」で初めて公開されており、日本では今回が初公開。  しかも、インテリア部分は今回が世界で初めての公開となり、「LEXUS RealxVirtual Driving Concept powered by VR Cockpit」ブースでは、車内に乗り込み、ステアリングを握り、運転を疑似体験できるという貴重な機会になる。話題のコンセプトカーを持ち込んだところからも、レクサスの本気ぶりを感じられる。  同時に今回が全世界初公開となるソニーグループのVR Cockpitは、前面に160型のLEDディスプレイを用意。停車している実車のステアリングやアクセルペダル、ブレーキペダルを活用して、PlayStation用ソフトウェア「グランツーリスモ7」のコースを運転し、新たなドライビング体験ができる。  ステアリングやペダルを操作すると、画面上を走行するクルマの動作に反映。映像や音、振動が実車と連動し、臨場感が高いバーチャルドライビングを体験できるという仕組みだ。一般に販売されている「グランツーリスモ7」をベースに、VR Cockpit向けにチューニングをしているという。  両社では、駐車中のクルマを活用したリアルとバーチャルの融合提案の1つと位置づけ、2035年の未来への提案としている。 ■ LEXUS RealxVirtual Driving Concept powered by VR Cockpitを体験してみた  LEXUS RealxVirtual Driving Concept powered by VR Cockpitブースでは、富士スピードウェイを2周走行できる。  ドライバーのスキルにあわせて、レベルが5段階に設定されており、免許を持っている人であればレベル3がお勧めされる。レベルにあわせて、画面上に表示されるブレーキポイントなどのガイダンスの内容が変化するという。最上位レベルだと、ガイダンスが表示がないので、グランツーリスモをやり込んでいる人以外は難しいかもしれない。  ガイダンスを聞いたあと、黒い手袋を渡される。使用する実車が、レクサススポーツコンセプトのプロトタイプのため、慎重に乗り込むように指示される。エンジンを始動させ、Pレンジを解除すると、ガレージが開き、富士スピードウェイのコースに出る。  サーキットは忠実に再現されており、大きな富士山も間近に見られる。  ピットからコースに出るまでは、オートドライブで進むが、そこからアクセルを踏み込んで周回をスタート。いきなり難関のTGRコーナーが目の前に現れるため、ステアリングを一気に切ることになる。ハンドルはかなり重たい。そのあたりも実車を再現しているのだろう。  コカ・コーラコーナーではしっかりブレーキを踏んで減速。続く100Rコーナーでは、外側に膨らむようであれば減速する。アドバンコーナーでは縁石を踏みながら走行。その立ち上がりから、思いっきりアクセルを踏み込むことになる。ダンロップの看板が見えたら急減速し、S字のコーナーを、ステアリングをうまく操作して攻略。上り坂のテクニカルなコーナーが続いたあと、最終コーナーを抜けると1.5kmのホームストレートが現れる。ここはアクセルをベタ踏みして、時速300kmを超える世界を体験できるほか、ステアリングの重さ、振動の伝わり方など、実際に富士スピードウェイを走行したような感覚が味わえた。  走行後にドライバーの名前と運転している姿がプリントされたネックストラップがプレゼントされ、そこに記載されているQRコードを読み込むと、実際に体験した走りをまとめた動画データをダウンロードできる。  今回の出展の狙いについて、レクサスとソニーグループでは、「より多くの人たちに、クルマの楽しさを知ってもらうための取り組みの1つ」と位置づけている。また、「レクサスファンを作るというよりも、まずはクルマに興味を持ってもらうきっかけにしたいと考えている。そして、レクサスが目指しているのは、体験を大切にするブランドであるということ。さまざまな体験を提供するのがレクサスの価値になる。今回のLEXUS RealxVirtual Driving Concept powered by VR Cockpitで、新たな体験を楽しんでほしい」と呼びかけている。  ソニーグループでは、クルマの90%以上が停まっている状態にあることに着目し、「駐車中のモビリティを感動空間へ」をコンセプトに、車内でのゲーム体験をはじめとして、駐車中のクルマをエンタテイメント空間として活用することを検討していて、今回はソニーグルーブからVR Cockpitの活用を提案したことがきっかけとのこと。  両社による取り組みは2022年からスタートしており、VR Cockpitは、その取り組みの1つで、実車を利用してリアルな走りをバーチャル空間で追求することで、新たなドライビング体験を可能にすることを目指したという。  応用範囲はさまざまだ。今回のようにグランツーリスモを、実車でプレイするといったエンタテイメント用途での利用のほか、ドライバーの育成などにも利用することが可能。将来的には、個人が所有するクルマを、ガレージに停めて、大画面テレビや、プロジェクターでスクリーンに投影し、VR Cockpitが体験できるということも想定していて、普段、自分で運転しているクルマや、使い慣れたステアリングで、グランツーリスモをプレスするといったことも可能になるかもしれない。  さらに、コンテンツ次第では、自分のクルマで宇宙空間に飛び出したり、未来や過去の世界にトリップしたりといったように、映画のシーンやテーマパークのような体験もできそうだ。加えて、コンテンツの表示方法は、車載ヘッドアップディスプレイを使用して、運転席の前面ガラス部に表示したり、眼鏡型やゴーグル型デバイスを利用するといった未来もあるだろう。  また、Tokyo Future Tour 2035のブースでは、「子供たちにも体験してほしい」というように、将来のクルマのファン作りにつなげる姿勢もみせる。 「子供のころに自動車のショールームなどに連れて行ってもらい、そこでハンドルを握って左右に少し動かすだけでも、自動車への憧れを感じられた。そうした体験をした人も多いのではないか? VR Cockpitを使って、免許を持たない子供たちでも、バーチャル空間で実車を走らせる体験ができる。クルマに興味を持ってもらうきっかけになる」と期待する。  なお、こうした取り組みを開始した背景には、クルマのSDV(Software Defined Vehicle:ソフトウェア・デファインド・ビークル)化が大きく影響している。SDV化によって、クルマの機能は、利用者それぞれにあわせてカスタマイズが可能になり、購入したあとにもアップデートや改善が行なえるようになる。  今回のドライビング体験も、SDVによって実現されるカスタマイズや機能拡張の1つと捉えることもでき、ソフトウェアによってカスタマイズし、新たなサービスの創出につなげられるだろう。  実は今回のレクサススポーツコンセプトには、異例のカスタマイズが施されている。それは、子供が乗車できるように「子供用シート」を取り付けられるようにしたほか、座席の位置が、子供が運転しやすいように上方向に大きく上昇したり、ステアリングを軽くすることも可能。さらに圧巻なのが、アクセルペダルとブレーキペダルが前方に出てくるのだ。SDVであれば、実車に対してこんなカスタマイズができるという将来に向けた提案の1つともいえる。  LEXUS RealxVirtual Driving Concept powered by VR Cockpitで体験して感じたのは、リアルとバーチャルの融合による技術の先進性とともに、これらを作り上げた大人たちが、子供心を持って挑戦し、クルマの楽しさを将来のファンに伝えたいという熱い思いであった。

Car Watch,大河原克行

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