iPhoneから乗り換える人が急増?サムスンが仕掛けるグーグルとの“興味深い”戦略(ビジネス+IT)

 ハード面では折りたたみに注力しているが、ソフトウェア面で注力しているのが、今やどの業界でも無視できないAIだ。メーカーは、さらに便利なスマホの使い方を提案しようと、AI活用に取り組んでいる。  サムスン電子は、調べたいものを丸く囲って検索できる「かこって検索」を、Google Pixelとともにほかの端末に先駆けて搭載するなど、AIでも業界をリードしている印象を受ける。  グーグルとの関係も興味深い。AI活用やAndroid OSでは強い協力関係がうかがえるが、端末としては競合関係にある。  サムスン電子ジャパン 常務/MX事業本部 副本部長の大橋秀俊氏は「互いが互いを必要としているのだと思います。正直、敵だとはまったく思っていません。本当に重要なパートナーです」と説明する。 「グローバルでの稼働台数はサムスンが1番多いという実績もあり、そこから得られるお客さまの声をフィードバックする観点からも、我々はグーグルさんに必要とされているという実感があります。ローカルでの開発はほとんどないに等しいですが、日本のお客さまがAndroid、Galaxyをどう受け止めているか、日本国内でAndroidを伸ばすにはどうしたらいいかといったような意見交換は当然しています」(大橋氏)  PixelとGalaxyの関係は「競合というより切磋琢磨の関係」と表現していた。iPhoneに圧倒されている日本市場で協力して、とにかくAndroidスマホのシェアを伸ばしたいという思いが感じられる。

 今年のGalaxyは全体的に販売が好調だという。MX事業本部 営業Team長の谷口慎一郎氏によると、2月に発売されたGalaxy S25シリーズは前作比150%、Zシリーズは180%の伸びを示し「過去にも例を見ない非常に好調な伸び率」となったという。業界関係者からの評価も高く、「久しぶりに製品にワクワクしたという声がたくさんあがっている」(谷口氏)とうれしさを隠さない。  本年度第2四半期においては、日本のスマホ市場で出荷量が前年同期比でプラス60%。発売直後だけでなく、それ以降も非常に好調に推移しているという。  好調の要因は、10年ぶりとなるソフトバンクでの取り扱い再開が大きい。ソフトバンクとのビジネスと、NTTドコモ、KDDIとの「長年にわたる良好な関係の相乗効果によるもの」と谷口氏は説明していた。  ソフトバンクとの取引再開以外にも、サムスン電子はチャネル拡大を進めている。2023年には公式オンラインショップを開設し、Galaxy端末やアクセサリーを自ら販売。今年7月からは楽天のブランド公式ストアにも出店している。  また、昨年から今年にかけて家電量販店への取り組みを強化しており、全国の量販店にSIMフリー端末を取り扱うコーナーを設置。今年10月からはMVNOとしては初めて、IIJmioでGalaxyスマホの最新7機種の取り扱いが開始された。  とはいえ、SIMフリー端末販売のボリュームは大きくない。大橋氏は「オープン(SIMフリー端末)市場は、日本市場全体で1割程度。残りの9割はキャリアチャネルを通した販売です」と明かす。ボリュームを追い求めるためではなく、「素のままで使いたいお客さまに選択肢を提示するのもメーカーとしての役割」との考えを語っていた。

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