グーグル、アンソロピック向けクラウドサービス協議-数百億ドル規模
人工知能(AI)スタートアップの米アンソロピックが、アルファベット傘下のグーグルと、数百億ドル規模の追加のコンピューティング能力確保に向けたディール(取引)について協議していることが、事情に詳しい複数の関係者の話で分かった。
関係者によると、この計画はまだ最終決定には至っていない。グーグルがアンソロピックにクラウドコンピューティングサービスを提供する内容が検討されているという。関係者は非公開情報であることを理由に匿名で語った。
グーグルは以前にもアンソロピックに出資しており、既にクラウドサービスの提供実績がある。両社は今回の協議についてコメントを控えている。協議は初期段階にあり、詳細は今後変更される可能性がある。
アルファベットの株価は通常取引終了後の時間外取引で一時3.5%強上昇した。一方、同じくアンソロピックに出資し、クラウドサービス提供企業でもあるアマゾン・ドット・コムの株価は約2%下落した。
米OpenAIの元社員らが2021年に設立したサンフランシスコ拠点のアンソロピックは、大規模言語モデル「Claude(クロード)」シリーズで知られ、OpenAIの「GPT」モデルと競合している。
アンソロピックは他のAI企業と同様、AI技術の進化競争で遅れを取らないよう多額の資金調達を進めている。業界関係者は、この分野の研究や技術革新、消費者需要の拡大には、より多くのリソースが必要になると指摘している。
アンソロピックは最近、アラブ首長国連邦(UAE)アブダビ拠点の投資会社MGXと初期段階の資金調達協議を行った。同社は約1カ月前に130億ドル(約1兆9700億円)の資金調達を完了したばかりだった。
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この資金調達は投資会社のアイコニック・キャピタルが主導し、フィデリティ・マネジメント・アンド・リサーチ、ライトスピード・ベンチャー・パートナーズが共同主幹事を務めたもので、アンソロピックの企業評価額は調達額を含め1830億ドルとほぼ3倍に拡大した。
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グーグルはこれまでにアンソロピックに約30億ドルを投資している。23年に20億ドルの出資を約束し、今年初めにさらに10億ドルを追加投資した。
一方、アマゾンはアンソロピックに約80億ドルを投資する計画を提示。同社はアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)の主要顧客であり、アマゾン独自開発AIチップの大口ユーザーでもある。
原題:Anthropic, Google in Talks on Multibillion-Dollar Cloud Deal (1)(抜粋)
— 取材協力 Shirin Ghaffary and Dina Bass