学術会議法案巡り応酬、維新・三木氏「政治的中立性確保を」共産・塩川氏「わが党へ暴言」

日本維新の会の三木圭恵氏(左)と共産党の塩川鉄也氏=13日午後、国会内(衆院インターネット審議中継より)

日本維新の会の三木圭恵衆院議員は13日、衆院本会議での日本学術会議を特殊法人に移行する法案の可決に先立ち、賛成討論に臨んだ。4月の学術会議総会で現職会員が法案が成立すれば「これまでとは違う人が入ってくる。右に立っている人が入ってくる状態を許していいのか」と懸念を示した発言を取り上げ、学術会議が「イデオロギーによって会員を選別している実態を示している。リセットは待ったなしだ」と改革の必要性を重ねて強調した。

共産言及に立民議員ヤジ

「政治的中立の確保は非常に重要だ。特定の政党や外部勢力が介入し、影響を及ぼすことはあってはならない」

三木氏は、こう述べて共産党に言及。怒号が大きくなる中で「共産党は『わが党は学術会議に対し不当な干渉を行った事実は一切ない』と反応したが…」と述べたところで、場内のヤジに「すいません。共産党の批判に対して立憲民主党の1期生がヤジを飛ばすのはどういうことでしょうか」と疑問を投げかけた。

三木氏は、学術会議と共産党の関わりについて4月18日の本会議で「社会主義に同調的な科学者を組織し、学術会議の中心メンバーとして送り込んだ」と述べた上で「党70年の本に同党が学術会議の設立に一定の役割を果たしたと誇らしげに書かれている」と指摘していた。

日本共産党中央委員会がまとめた本「日本共産党の七十年(上)」(新日本出版社)で「一定の役割を果たした」と明記されているのは「民主主義科学者協会」(民科)。民科は共産党の影響力が強かったとされるが別組織だ。

三木氏の言い分について、共産の塩川鉄也衆院議員は5月9日の衆院内閣委員会で「反社会的集団の統一教会系団体と同じもので、(三木氏は)統一教会と一体とみられても仕方がない」と反発した。

三木氏「民営化こそ本来の姿」

これに対して三木氏は13日の本会議で「私は統一教会とは無関係で(塩川氏の発言は)根拠のない誹謗中傷だ」と述べ、「共産党を非難すれば統一教会と同じだと一生懸命レッテル貼りする姿は怒りを通り越して気の毒とすら思うが、内容が真実と違うので痛くもかゆくもない」と語った。

三木氏は、学術会議に対する年間10億円程度の国の財政支援が法案成立後も継続されることを挙げて「学問の自由を追求し、真の独立を勝ち取るためには財政面でも独立し民営化の道を進むことが本来の姿だ」と述べ、「本法案を第一歩として民営化に向けた抜本改革に取り組んでいくべきだ」と強調した。

塩川氏「統一教会丸写し」

13日の本会議では塩川氏も反対討論に立ち、三木氏について「わが党に対する発言は事実をゆがめた暴言で断じて認めることはできない」と述べ、重ねて「その暴言は統一教会の主張を丸写ししたものだ」と訴えた。

塩川氏はまた、同法案を巡って坂井学内閣府特命担当相が9日の衆院内閣委で「党派的な主張を繰り返す会員は、学術会議は解任できる。どのような場合が該当するかは学術会議で判断されるべき」と述べた発言を問題視した。

塩川氏「廃案まで力尽くす」

坂井氏の発言について、塩川氏は「政治的な発言をする関係者を党派的と決めつけて排除する法案と述べている」と指摘。「法案の本質が学術会議を解体、独立性を奪い、軍事研究を始め、政府や財界の意に沿う方向に動員することを示すものだ」と問題視した。

その上で「日本の学術を圧殺する法案に反対する多くの学者や市民とともに廃案にするため最後まで力を尽くす」と強調した。

学術会議の法人化法案が衆院通過

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