トランプ氏、詐欺で服役中のサントス元共和党議員を減刑 「素晴らしい人生を!」と祝う
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トランプ氏はソーシャルメディアで、サントス元議員が「ひどく不当な扱いを受けてきた」と書き、「そのため私は減刑命令に署名し、ジョージ・サントスを刑務所から釈放した。直ちに。ジョージ、幸運を祈る。素晴らしい人生を!」と書いた(太字は原文では全て大文字)。
米下院は2023年、下院倫理委員会がサントス元議員の行動を厳しく批判した報告を発表したのを受けて、超党派の賛成多数で元議員を除名処分にした。下院議員が除名となるのは2002年以来で、史上6人目だった。
下院倫理委員会の報告書は、元議員が選挙資金をボトックスやOnlyFansのサブスクリプションなど私的な目的に使用していたと指摘していた。
元議員は自分の家族を含む11人から個人情報を盗んだと認め、有罪になり、ニュージャージー州にある警備の緩やかな刑務所で服役していた。
2025年4月に実刑を言い渡した裁判官は元議員に、「あなたは言葉を駆使して当選したが、そのほとんどが嘘だった」と述べた。
元議員は法廷で涙ながらに許しを乞い求め、「過去は書き換えられないが、これからの道は自分で選べる」と語った。
検察は、元議員が政界の新人として経歴を偽り、選挙資金を私生活のために流用したと主張した。
減刑を発表したトランプ氏は、民主党のリチャード・ブルーメンソール上院議員が軍歴を捏造(ねつぞう)したと非難し、サントス元議員を減刑することを正当化した。「これはジョージ・サントスのしたことよりもはるかに悪質だ。少なくともサントスには常に共和党に投票するだけの勇気と信念と知性があった!」とトランプ氏は書いた(太字は原文では全て大文字)。
トランプ氏は以前、ブルーメンソール氏の軍歴について調査を求めていた。ブルーメンソール議員は、自分の軍歴について誤解を招く発言を何度かしたと認めているが、そうした発言は10年以上前のことだと主張した。
ブルーメンソール上院議員は今月に入りCNNに対して、「15年前の疑惑は、コネチカット州の有権者がその後、3度にわたり私を圧倒的に支持して再選させてくれたことで否定された」と話していた。
サントス元議員を代理するアンドリュー・マンシラ弁護士はAP通信に、いつ釈放されるかはまだ不明だとしつつ、「弁護団として、トランプ大統領が正しい判断を下したことを称賛する。量刑はあまりにも重すぎた」と述べた。
サントス元議員の失脚は2022年、米紙ニューヨーク・タイムズ紙がその経歴詐称を暴いたことから始まった。大学を卒業し、シティグループ、ゴールドマン・サックスで働いたと主張していた経歴は、偽りだった。その後はうそが次々と明らかになり、末期の犬のために集めた募金から金を盗んだ疑惑や、母親が2001年9月11日の米同時攻撃を生き延びたとうそをついていた疑惑も浮上した。
その後、州および連邦当局が捜査に着手。元議員は最終的に重罪の連邦法違反23件で起訴された。
元議員は2022年、民主党の現職議員を破って当選し、ニューヨーク州ロングアイランドとクイーンズの一部を含む選挙区を共和党の議席にした。
今週初めにはロングアイランドの地元紙に、トランプ氏宛ての公開書簡を掲載し、あらためて恩赦を求めた。「トランプ大統領への熱烈なお願い」と題した手紙で、元議員は「家族、友人、地域社会のもとに戻る機会を与えてほしい」と求めた。
元議員は、8月に殺害予告を受けた後、独房に隔離されたと書き、過去の行動について謝罪した。
「大統領閣下、私は同情を求めているのではありません。公平な処置を求めているのです。再出発の機会を」と元議員は書き、「自分が過去に過ちを犯したことは承知しています。自分の行動に全面的に責任を取りますし、そのための罰を応分に受け止めてきました。けれども、どんな欠点を持つ人間でも、国の仕組みの中で忘れ去られ、見捨てられ、正義が要求する以上の罰を受け続けるべきではありません」と訴えた。
トランプ氏は、今年1月に再び大統領に就任して以来、すでに少なくとも2人の元共和党議員に恩赦を与えている。5月には、2014年に税務犯罪で有罪を認めたマイケル・グリム元下院議員と、2004年に汚職と詐欺の罪について有罪を認めたジョン・ローランド元コネチカット州知事に、それぞれ恩赦を与えた。