世界で強まる無力感と破滅感、責任の大半はトランプ氏 ミュンヘン安全保障報告書
トランプ米大統領=2日、ホワイトハウス/Bonnie Cash/Pool/SIPA
(CNN) 世界はドナルド・トランプ米大統領が主導する「(解体工事用の)破壊球のような政治」の時代にあり、数十年にわたり繁栄してきた国際秩序が前例のない緊張にさらされている。2026年版ミュンヘン安全保障報告書はそう指摘している。
今月13日から15日にかけて開かれるミュンヘン安全保障会議を前に公表された年次報告書は、トランプ氏を既存のルールや制度に挑戦する最も強力な存在と評し、その手法は長年続いてきた同盟関係や規範を解体する危険があると論じた。
「構築が始まってから80年以上が経過した、米国主導の1945年以降の国際秩序は今や破壊されつつある」(報告書)
報告書は、トランプ氏を特に抜きんでた「破壊者」の1人と呼んだ。
昨年の同会議ではバンス米副大統領が検閲や移民をめぐって欧州の指導者を厳しく非難。欧州大陸にとっての脅威は「内側」から来ているとする演説を行い、聴衆に衝撃を与えた。
トランプ政権2期目の発足からわずか数週間後に行われたバンス氏の演説は激動の1年を象徴するものとなった。この1年には、近しい欧州の同盟国に対する米国の懲罰的な関税、北大西洋条約機構(NATO)加盟国であるデンマークからグリーンランド領有権を奪取するという軍事行動の脅し、ウクライナ侵攻に対するロシアへの配慮などがみられた。
報告書はトランプ氏を「既存のルールや制度を撤廃する人々の中で最も強力な存在」とも表現した。
トランプ氏の行動は「原則に基づく協調ではなく、取引的な合意によって形づくられる世界」をもたらしかねないと報告書は述べている。
批判的な見方をする人々は、トランプ氏の政策が「破壊的な変化に希望を託してきたより広範な人々ではなく、富裕層や権力者に特権を与える世界への道を開く」ことを恐れているという。
報告書は、「個人としても集団としても無力感と破滅感が強まっている」と指摘する。
報告書のために実施された世論調査によると、フランスでは回答者の60%が自国政府の政策は未来の世代の状況を悪化させると答えた。同様の回答は英国で53%、ドイツで51%、米国で45%だった。
調査は、こうした破滅感の責任の大半がトランプ氏にあるとしている。
トランプ氏の政策が世界にとって良いものかを尋ねた質問では、米国、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国、ブラジル、南アフリカで、回答者の半数以上が「やや思わない」「強く思わない」と答えた。
ミュンヘン安全保障会議には、同ウェブサイトによると50人を超える国家元首や政府首脳が出席する見通し。
トランプ氏は出席しない。ロイター通信によると、米国からはルビオ国務長官と50人あまりの連邦議会議員が出席する。