英国王、晩さん会でトランプ氏歓迎-ウクライナ防衛と環境保護を訴え
英国のチャールズ国王は17日夜、ロンドン郊外のウィンザー城で開かれた晩さん会でトランプ米大統領や米ハイテク・金融大手の幹部らを迎え、ウクライナ防衛と環境保護の重要性を訴えた。
国王は乾杯のあいさつで「独裁者が再び欧州を脅かす今日、われわれと同盟国はウクライナを支援し、侵略を抑止するために団結する」とし、経済・安全保障の逆風に直面する米英同盟の結束を強調。さらに「より良い世界を目指す中で、後世の世代のために自然の驚異と美しさを守り、取り戻す貴重な機会も得ている」と語った。
トランプ氏は国王の話にうなずいていた。だが、ウクライナ防衛と環境保護はトランプ氏が他の同盟国と意見が対立したトピックであり、今回の晩さん会がトランプ氏の機嫌を取るために企画されたことや、国王は伝統的に政治問題への関与を控えていることなどを考慮すると、今回の国王の発言は特に注目に値するものだ。
晩さん会では、エルトン・ジョンやローリング・ストーンズなどトランプ氏の愛聴曲を奏でる弦楽オーケストラに加え、第45代米大統領にちなんだ1945年産のビンテージ・ポートワインが振る舞われるなど厚遇ぶりが際立った。
晩さん会にはアップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)やシティグループのジェーン・フレーザーCEO、エヌビディアのジェンスン・フアンCEO、ブラックストーンのスティーブ・シュワルツマンCEOなど約160人が参加した。
トランプ氏は18日にスターマー英首相と会談する予定だ。
過去最大級
トランプ氏は17日にウィンザー城に到着した。メラニア夫人と共に大統領専用ヘリ「マリーンワン」から降りると、チャールズ国王やカミラ王妃、ウィリアム皇太子らが大統領夫妻を出迎えた。
城に向かう際に使用された金色の馬車は通常、議会開会式で用いられる。故エリザベス女王の結婚式でも使用された王室の儀礼用馬車で、英国の歓待ぶりを物語る。
トランプ氏はその後、チャールズ国王と共に城内広場を歩き、儀仗(ぎじょう)兵を閲兵。41発の礼砲が鳴り響き、バグパイプの音色が中庭に響き渡った。夕刻には米英両国のF-35戦闘機による飛行展示などの軍事セレモニーを視察した。
今回の歓迎式典には英軍兵士1300人と馬120頭が動員され、英国の国賓訪問で配置される儀仗兵としては過去最大規模となった。
トランプ氏は前日、ホワイトハウスを出発する際、「英国との関係は非常に良好だ」とし、今回の訪問を「大変な名誉」だと述べた。その上で「ウィンザー城は究極だと言われているだろう」と話した。
一方で、トランプ氏の訪英に対する抗議活動が影を落とす恐れもある。16日夜には、トランプ氏と少女売春などの罪で起訴され自殺したジェフリー・エプスタイン氏の画像がウィンザー城の外壁に投影された件を巡って、4人が逮捕された。
原題:King Charles Raises Ukraine, Climate at CEO-Laden Trump Gala (1)、Trump’s UK State Visit Begins With Royal Pomp and Protests (2)(抜粋)