クマ被害の死者“過去最多” 新制度“緊急銃猟”…現場には戸惑いも 「人命最優先で駆除」なのに抗議…ハンターのやりきれない思い

酪農学園大学 伊吾田宏正准教授: ヒグマの個体数はこの30年間で2倍に増加したほか、ツキノワグマも分布域が拡大し、個体数が増加している可能性があります。 同時に、人をおそれないようになっているクマが増えているとみられ、「個体数の増加」と「クマの行動の変化」の両方が、出没や被害の増加につながっているとみられます。 秋はクマにとって、冬眠前、大量の食料を必要とする時期。ドングリなどの堅果類が不作となると、農作物に被害を出したり、人の生活圏に侵入したりしてしまうことがあるんです。

社会部環境省担当 安藤翔記者: クマが市街地に出てくる理由。先月行われた、国の対策会議でも話題にあがったのが“柿”です。兵庫県立大・横山真弓教授の資料によると、クマ出没時、柿が誘引物になっているケースが71%(栗7%、ハチの巣4%など)あるといいます。

森圭介アナウンサー:“柿の木”に対して、何か対策を講じることも必要ですか? 栃木県猟友会 小堀大助事務局長: 講習会でも言っていますが、人の住んでいない空き家の柿の木をどんどん切った方がいいと思います。実が落ちて腐っていくと、遠くまでにおいを発するようになる。 クマの嗅覚はすごいので、どんどん人里の奥へと入っていくことになってしまいます。 森:クマに出会ったとき、“音を出した方がいい”とか、“少し下がった方がいい”とか、色んな対策を聞きます。実際にはどうするのが良いですか? 小堀:私はクマと何度も出くわしたというような経験はないんですが、基本的に皆さんおっしゃるのは“目をそらさない”、“走らない”、そして“じりじりと間合いを遠ざけていく”ということ。 ただ、注意しなければいけないのは、クマには“個性”があるということ。 シカやイノシシは大体みんな同じだが、クマは好奇心がある個体もいれば、臆病なものもいる。遭遇したクマによって対策も変わるのが難しいと思います。


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森:近年、出会いたくなくてもクマが生活圏に出没してしまうことが問題になっています。そんな中、新たなクマ対策として注目されているのが「緊急銃猟」です。 安藤:9月1日に改正鳥獣保護法が施行されたことによるもので、これまで県知事の許可が必要だった発砲を、市区村長レベルに下げ、よりスムーズに駆除できるようにするという対策です。 ①クマなどの危険鳥獣が、住宅や公園など、人の日常的な生活圏に侵入してしまった場合 ②人の生命・身体に対する危害を防止する措置が緊急に必要 ③銃猟以外の方法では、的確かつ迅速に捕獲することが困難 ④避難などによって地域住民などに弾丸が到達するおそれがない場合 この4つの条件を満たせば、危険鳥獣の銃猟をハンターに委託して、実施させることができるというものです。 法改正で想定されているのは、「膠着(こうちゃく)状態」を巡る対応。去年、秋田市のスーパーにクマが55時間にわたって居座るというケースがありましたが、居座ったままだと生活に危害が及ぶ恐れがあった。 そうした状況を打破するため、この緊急銃猟という制度ができたんです。 小堀:この制度が出来たことはとても大きい。銃を撃てる場所はとても細かく決められていました。夜間禁止だったり、半径200メートル以内に10件以上建物があると住宅密集地とされ、発砲できないという判例があったり。林道やサイクリングロードとかでもダメでした。 ほとんどの場合、人の生活圏で銃を撃つというのは難しかったが、それが(市区町村の判断があれば)できるようになった。この意味は大きいと思います。 森:伊吾田さんは、この法改正の審議にも加わったそうですね。 伊吾田:人身被害や出没が相次ぐ中、これまでは、警察官職務執行法に基づき、警察官の命令でハンターが発砲を行っていました。 しかし、「まさに今、人を襲おうとしている」という差し迫った状態でないと指示が出せない。発砲判断が難しいという課題がありました。 それが法改正で、市町村の判断で、人の生活圏に出没したクマに発砲することができるようになりました。

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