中国BYDが日本向け軽EV、本格攻勢に政府・業界は警戒
日本のEV販売は2%にも満たないが、新車市場全体では世界4位の規模がある。軽自動車は新車の3分の1超を占め、そのほとんどはガソリンエンジン車だ。BYDの軽乗用車は、EVよりハイブリッド車に注力してきた日本勢への「警鐘」とみる向きは多い。
自民党の自動車議員連盟会長を務める森英介元法相は、日本の自動車産業の競争力は高いとしつつも、EVに関しては「中国メーカーが世界的に台頭してきており、強い危機感を持っている」と話す。直ちに大きな影響が出るとは見込んでいないが、経済安全保障上の観点からも注視しているという。
別の政府関係者は「日本はBYDに対して保護主義的な措置は取れない」と話す。世界貿易機関(WTO)ルールに反する恐れがある上、世界最大の市場である中国での報復措置を避けるためだ。
SBI証券の遠藤功治チーフエグゼクティブアナリストは、日本固有の規格である軽の投入という非効率にもみえるBYDの戦略について「中国勢として自動車大国の日本で売れることは一つのステータス、真の自動車メーカーになったことの証。自動車大国の日本で一定の存在感を示し、認められたいとの思いがあるのではないか」と指摘する。シェア獲得のために、軽EVには「かなり戦略的な値付けをするのではないか」と推察し、ある程度は売れる可能性があるとみている。
白木真紀、ダニエル・ルーシンク 取材協力:山崎牧子、竹本能文、岡坂健太郎、鬼原民幸 編集:田中志保
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab
Daniel Leussink is a correspondent in Japan. Most recently, he has been covering Japan’s automotive industry, chronicling how some of the world's biggest automakers navigate a transition to electric vehicles and unprecedented supply chain disruptions. Since joining Reuters in 2018, Leussink has also covered Japan’s economy, the Tokyo 2020 Olympics, COVID-19 and the Bank of Japan’s ultra-easy monetary policy experiment.