FRBの資産構成調整でTビル需要拡大、財務省に追い風-BofA

Alex Harris

  • FRBは保有資産の約50%をTビルに振り向ける可能性
  • 大規模な国債発行が市場の流動性を損ねるとの懸念が和らぎ得る
Photographer: Alex Wroblewski/Bloomberg

米銀バンク・オブ・アメリカ(BofA)によれば、米連邦準備制度理事会(FRB)が米国債保有の構成を見直すため、今後2年間で最大2兆ドル(約294兆円)近い財務省短期証券(Tビル)を購入する可能性があり、これは同期間中に発行されるTビルのほぼ全てに相当する。

  BofAのストラテジスト、マーク・カバナ、ケイティ・クレイグ両氏は、FRBが資産と負債の期間をより適切に一致させるため、ポートフォリオの構成を調整するとみている。これにより、金利リスクなどへの備えが強化されるほか、負債のデュレーションも短縮されるという。

  この動きは、財務省にとっても大きな追い風となる。先月の債務上限引き上げ後、財務省は拡大する財政赤字への対応とキャッシュバランスの回復に向けTビルの大量発行を続けている。

  BofAの米金利戦略責任者を務めるカバナ氏はインタビューで、「FRBがバランスシートの一部を調整し、住宅ローン担保証券(MBS)の償還金をTビルに再投資し、満期を迎える米国債をTビルに乗り換えると、その規模はおよそ1兆ドルになる」と指摘。

  その上で「財務省が1兆ドル分のTビルを発行し、それをFRBが購入するという構図は、どこか不思議な感じだ。短期証券の新たな需要源になる」と述べた。

  同氏らは15日のリポートで、FRBは保有資産の50%近くをTビルに振り向ける可能性があると分析。主に準備預金やリバースレポという短期負債との整合性を高め、財務省のキャッシュ残高変動を吸収するためだという。

  同リポートは2026会計年度に供給されるTビルを8250億ドル、27年度は1兆670億ドルと試算。これは財務省が26年10月までクーポン債の入札規模を維持するとの前提に基づいている。

  FRBがこうした対応を取れば、Tビル需要が下支えされ、大規模な国債発行が市場の流動性を損ねるとの懸念が和らぐ可能性がある。

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原題:Fed Portfolio Shift Could Hand Treasury $2 Trillion, BofA Says (抜粋)

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