トランプ氏はアメリカ国家にとって“予想外”の大統領…夏野剛「こういう人がなると想定していない仕組み」(ABEMA TIMES)|dメニューニュース
アメリカ・トランプ大統領によるイランへの軍事作戦が、国際社会を揺るがしている。「ABEMA Prime」では現役の共和党員、離党した元共和党員、そして民主党員という、立場は異なるものの、トランプ氏に「NO」を突きつける3人のアメリカ人が出演。議論を進めると、そもそもトランプ氏のような人物が大統領になることを想定していなかった制度的な欠陥も見えてきた。
【映像】アメリカの空爆でボロボロになったイランのビル
■トランプ氏の危うさとは?
共和党員でありながらトランプ氏を批判するのは、自由主義研究所のマット・ノイズ氏だ。マット氏は、議会承認を得ずにイラン攻撃を継続する姿勢は、”憲法違反である”と断じる。
「アメリカでは、議会が戦争するかを決める。トランプ氏は『作戦』と言っているが、他国のリーダーを殺しているので、もう『戦争』だ」。さらに、大統領という職権がトランプ氏の「個人的なクセ」により、私物化されている現状を指摘する。「個人的なクセが強いし、勝手にやるのをみんなが嫌がっている。憲法の定めている大統領の権限以上を取っている」。
18歳から共和党を支えてきたが、2021年に離党したトム・ローガン氏は、「国民の分断」に危機感を露わにする。トム氏は、かつてのレーガン大統領時代のような伝統的保守から離れ、共和党を「1人中心のカルトに近いような存在」に変質させたと批判する。
その分断は、今や米国社会の最小単位である「家族」にまで侵食。「かつては素晴らしいアメリカであった。今はもう完全に正反対で、分裂国家。大統領は国を統一する人で、分断しないようにするのが仕事なのに、発言が分断ばかり。自分の家族だとしても、感謝祭でもクリスマスでも集まると『政治の話をしないで』となる。そうしないと、もう誰か立って帰ってしまう。ひどい状態だ」。
民主党員のランディ・リース氏は、「昔からのペテン師」と切り捨て、その行動原理に国家への忠誠など一切ないと断言する。「トランプのことを話す時に『共和党』『民主党』で話すことが間違っている。トランプは共和党でもなければ民主党でもなければ、自分のためだけにいる」。
ランディ氏によれば、トランプ氏の姿勢はすべて計算された「ウソ」だという。「トランプは相手が聞きたいことばかりを言って、別にそれを実行に移そうという気は全くない。票を得て勝ってしまえば、あとは好きにしていいと彼は考えている」。さらに、自身のスキャンダル(エプスタイン・ファイル等)から目をそらすために外部に敵を作っているとし、「支持を減らしてしまっているので、目を外に向けてなんとかそれを覆い隠そうとしているのがトランプの手段。結局、自分にとって都合のいいことしか考えていない」と糾弾した。
■アメリカも想定しなかった“暴走大統領”
なぜ、これほどまでに問題視される人物が大統領として君臨し続けられるのか。近畿大学 情報学研究所・所長の夏野剛氏は、この現状を「アメリカの民主主義制度そのものが、トランプ氏のような人物が現れることを想定していなかった」と分析する。夏野氏は、アメリカの大統領制度に埋めこまれた「前提条件」についてこう推察する。
「どんなにひどい政治家でも最低限、民主主義に対するコミットメントや、あるいは一定の倫理観、『ステイツマン』としての資質みたいなものは持っているはずだ、というある意味での”性善説”に基づいた仕組みだと思う。ところがトランプの場合は、そういうものを一切無視して、自分の支持層だけにウケることを言い、かつ自分の利益のために平気で嘘をついたり、制度を悪用したりする。こういう人が大統領になるということを、アメリカの仕組み自体が想定して作られていない。だから今、止めることができずに暴走しているように見える」。
“性善説”と表現した前提はもう崩れているが、仕組みの再構築はまだ追いついてない。「良識があることが前提だから、大統領にすごく強い権限がある。例えば任期中に起こったことについては、あまり責任を持たなくていいなど。ちゃんとした人がなる前提だったが、今はトランプ氏がそれを全部悪用して、やりたいことをめちゃくちゃにやっている」。
夏野氏は今後、さらに好き放題になっていく可能性も指摘する。
「あの人はキング・オブ・キングダム。そのやり方で、大統領になって2期目でもう80歳。もう後のことは関係ないから、やりたいようにやっている。私はトランプ氏の後、共和党でも民主党でも、例えこういう人が大統領になっても、”勝手にやってはいけない”とするための色々なレギュレーションや法案がたくさん出されると思う」と話した。 (『ABEMA Prime』より)